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ぱわーぷれい~英雄志願S  作者: azuma
一つ目の世界
14/18

変身


 「変身」



 「さて、と・・・ベル準備を始めようか」

 

 「はい、マスター」

 

 網膜透写と耳内音声でいつもの妖精甲冑姿のベルが現われる。

 

 そのままコクーンの外れまで歩いて人影の少ない場所を目指す。

 

 「先に前分解した外装をもっかい作りたいんだけど・・・」

 

 「了解、現在のマスターの着衣を素材に組み込みますか?」

 

 「それは無しで・・・着たままってできるかな?」

 

 少しベルは考えて(最近再計算中のモーションと判明、段々表情が豊かになってきたようだ)

 

 「可能ですがやはり体の操作性に若干の抵抗が生じますのでお勧め出来ませんね」

 

 「外装の下は素っ裸しかだめって事か? 多少の抵抗覚悟で作れないかな?」


 昔の鎧の延長で考案してみる。


 「可能ですが・・・本来のマスターの能力を著しく低下させます」


 「服ぐらいで・・・なんでだ?」


 「では、イメージロードで説明します」


 そう言ったベルが目の前で立体映像化した光る操作ボード(キーボード)を出し、同じく出した6枚のモニターウインドを操作しはじめる。


 見ててなんだが別段ベルがプログラムを手動でうったりPCみたいにウインドウを閲覧しなくてもNMナノマシンを瞬時に操作して作業できる。


 だがこれも余剰動作の一つなんだがデータの計算や取得、画像への変換等の構築をする間に実際の流れをチュートリアルの変わりに映してるとのこと。


 まあ、マスターこと俺にもできることが判らないので実演でやってくれと頼んでおいた副産物的なものだ。


 ためしにウインドウを出せるかやってみたら『ピボッ』って起動音と『ジャジャ~ン♪』ってOS立ち上がりの効果音とともに瞬時に立ち上がった。(念じて起動立ち上がりに1秒かからず)


 「・・・でもなんで自宅PCの起動プロセスやねん(笑)」


 ツッコんでたらイメージが頭に流れ込んできた。


 なるほど・・・外装は一種のパワードスーツの仕様で装着者の動きに対しダイレクトに反応する仕組みと・・・その為インナーに黒い全身ボディスーツで体と外装の隙間を塞ぎ一種のジェルのような潤滑剤の効果を持たせている。


 だが、ここで衣服が入ると空間がいたるところにでき摩擦で強化された皮膚といえ擦過傷や火傷の恐れと長時間の戦闘で服が損傷、塵等の繊維が蓄積して内部で発火の恐れあり・・・確かにこりゃだめだな。


 「じゃあベル・・・外装を着る度衣服を材料にするのか?」


 構築の「チキチキ」の速度を考えたら変身なんて便利なもんではないよな・・・20~30分かかる変身ダメスギル・・・。


 「今の設定ではマスターの考えるとおりです


元々はホルダーの身体をNMナノマシンで改造


戦闘に特化した進化を目的とした仕様だったので元に戻すことは考えられてませんので・・・


ただ加速で限定リミッター解除すれば時間を予定で1分以内に抑えられますが?」


 「リミッター解除!? 何、そのこころ揺さぶられる言葉は!」


 「最初に素材としてマスターに許可をもらった医療用ジェルですが、その対象を固定せず周りの物質を使って構築します


その中で禁止物があれば逐次高速処理で選別をお願いしますが」


 ちょっと考えてみる・・・回り人影無し、コクーンからそれなりに離れてるから大丈夫だろう。


 あ、この前の3Dホログラム・・・試してみるか。


 「じゃあ、やってみるか・・・あ生物は無しは絶対ね、後・・・変更箇所を少し」


 「変更箇所ですか? ・・・了解、それは可能です


では、構築開始します・・・周囲散布NMナノマシンハッキング・・・3・2・1クリア・・・加速リミッター解除推定完了時間算出55.34・・・」


 いつもと同じ周りに小さな光が灯りはじめる。


 それは急速に増え広がり。


 幻想的な光景は一気にめまぐるしく変化した。


 光は俺中心に渦を巻き物理的に風が起こりそれは次に光を宿した旋風、竜巻に変わる。


 光る風の壁に覆われまず学ランが内側から弾ける様に吹き飛び黒い塵に、それはシャツや下着に至り着てる物が無くなる。(ある意味視界を遮る壁があって助かった)


 その塵は風に舞い竜巻から高速で流星群のように撃ち出される光弾に貫かれ消えていく。


 ただ、その光弾の射線の先は中心の俺で体中いたるところに当たるというかブチアタル。


 「アッチィ!?」


 正直めちゃくちゃ熱い。


 光が当たった場所から溶けた蝋が固まるように黒いインナーに固定されていく。


 その間に竜巻の内側で冷風が吹き急速に冷却。


 黒い身体にフィットしたダイバースーツのようなインナー。


 頭髪部分と頭部センサー、頬以外の顔面を除きインナーの黒に覆われた。


 スーツ全身にNMナノマシンの連結帯が基盤の配線のように細く繋がって、神経の様にデータの送受信を行い全身に奔る幾多の光


 『チ・・・チキチキチチチチチチ・・・ヂ・・・ギ・・・ギャアア~~~~ン!!!・・・・』


 いつもの構築の音が虫の鳴き声から耳障りな金属で金属を削る音に変化。


 『ボコッ!!』


 右足の地面がイキナリ陥没? いや、服と同じで塵になってブーツ部分に纏い付くように光束。 (光が収束するからこれからこう言おう)


 「おおう!?」


 それは連続して起こり左足を同じように光束すると膝、腿に侵食するように白い装甲が構築されていく。


 下半身が白と黒に覆われる頃足元は身体が収まるぐらいに半円に抉られ、身体中から小さな放電を『パチッバチッ!』と起こし宙を浮いた状態からイオノクラフト効果でゆっくり着地。


 「えっ・・・おお!?」


 着地すると勝手に身体が操作され両手を『パンッ!』と拍手のように一打ち、打って離した掌はNMナノマシンの紅光で輝いていた。


 それを舞の様にゆっくり半円の縁に向かって両腕を拡げ。


 『ボコ、コ!!』


 掌を向けた双方の場所が離れているのにまるで噛み付いた跡のように抉れ塵となり燃えあがる。


 火の粉は赤熱の光になり、時計回りに振るう掌の先は無骨な切削音とは無関係のように舞踏に踊り火の粉と舞う。


 紅を纏って舞う舞台は直径5mほどで停止頭部以外の外装が出来上がるがその周りは光風の壁が狭まり迫っていた。


 風に煽られ長く伸びた髪が一定方向にブロウされ後頭部に光束したパーツに通され頭部に纏められ1次装甲に、その上から2次、3次装甲でバイクのハーフヘルメットの形で固定。


 額に頭部センサーの透明カバーと目を防護する青いゴーグルマスクが光束。


 最後に口元に両側からマスクシャッターがブラックスモークのシールドが目元を上から覆い全身装甲が完成、シールドの奥の闇からゴーグルが目を開くように『ギン!』と輝く。


 「マスター設定どおり視覚器官の保護のゴーグルを外部に向けて出力モニターにしましたがどういった意味があるのですか?」


 「ロボットアニメ特有の視覚的効果と威圧効果


動物って警戒色とかに敏感だしね闇に光る眼とか、あと・・・」


 「あと?」


 「かっこいいから♪」


 「なるほど」


 急速な構築の為余剰エネルギーと切削の熱で全身が赤く光り陽炎に揺らめく中で、放熱フィンがマフラーのように首と肩から風にはためき2mほどに伸びていく。


 「マス「おお~変身みたいにできるじゃない~♪・・・ドウェ!?」」


 止めに急速に冷やされた上空の大気がダウンバースト現象で強襲赤熱化した全身を強制冷却された。


 『ドオン!!!』


 「マスター最後に強制冷却で衝撃がきますと警告しようとしたんですが・・・」


 「そういうことはもっと最初にいってくれな・・・」


 困ったような仕草でカエルのように潰れた俺をホログラムのベルがツツイテル。


 「マスター車両のモーター音が近づいています」


 「何!?」


 『ボコ!・・・カラカラカラン・・・』


 身体を起こし音の聞こえる方に眼を向けると小さく車両が一台走ってくるのが見えた。


 頭部センサーが反応して拡大された画像が網膜透写される。


 「あれ、ミレイユだ・・・かなり真剣な表情だな、どうし・・・ああそうか」


 ミレイユが自警団のメンバーだったを思い出した。


 ここから隠れてもなんだし謝るか・・・。





 「ごめんなさい!」


 案の定多数の異音と最後の局地的小型ダウンバーストの爆音を調べにきたミレイユに平謝りしてます。


 とりあえずは、あの変身モドキの光束は考え物だ何とかしないと変身ヒーローでなく変身災害になりかねない。


 「・・・はい、敵襲ではないので安全です・・・はい・・・では」


 自警団本部への連絡は終わったようだ・・・でもミレイユはマジメで真剣な表情だけならできるお姉さんなのに・・・ザンネンな人だ・・・。


 「何か失礼なこと考えてない?・・・ナンカ目がナマあったかいんだけど」


 「イイエ、ソンナコトナイヨ」


 何気に鋭いな・・・ミレイユ。


 「まあ、いいわ・・・それよりこんなことはもうしないでね


一回目だし被害は・・・まあ空き地だからいいか、ということでやるなら自警団詰め所か団員の許可とってね」


 苦笑してウインク一つ・・・活発な印象のミレイユだとイヤミが無いというか仕草が様になってるな・・・初対面の時のことはゲフンゴホン!・・・忘れてあげよう・・・。


 「了解です」


 「ん、よろしい


あ、帰るんなら送ったげようか?」


 いって乗ってきたジープっぽい車をさしてくれてるが・・・まだやることがあるから辞退することにした。


 「ところでさっき敵襲とかって聞こえたんだけどここってそんなに治安悪いの?」


 「う~ん・・・まあそれぞれアルファベット中央区の方はそうでもないんだけどアルファベット後半でナンバーも後になるほど田舎だからね~野盗バンデットとか野生生物とかね」


 なんでも野盗バンデットて言うのは開拓惑星に無許可で入植するやつらで司法組織が曖昧なうちに遺跡や辺境の集落を荒らして回るやつらだそうな・・・どこにでも悪党はいるもんだ。


 今回のキャラバンの遅延もそいつらのせいらしい。


 迷惑この上ないがそういったやつらを支援する大きな闇結社とかギルドがあるらしい、さもないと開拓惑星の位置なんかわからないだろう。


 そういえば・・・遺跡に昔のお宝やロストテクノロジーの品物があるってマルさんが言ってたっけ・・・ベルもそれの一つだし・・・機会があればそういうのも行ってみたいな~。


 「それじゃあ私は帰るけど無理はしないように、なんと言ってもソウマが怪我してから1週間もたってないんだから」


 「了解~気をつけます!」


 走り去るミレイユを眺めながら思う。


 そういえばここにきてまだ少しなんだよな~転移する力が貯まるのってどれくらい掛かるんだろ?


 それになまじ戻ったとして・・・猿橋を一緒に守れるだろうか?


 純粋な物理的な爆炎は知ってる技じゃあどうにもならないし・・・。


 問題はどこまでベルを使いこなせるか・・・か?


 「マスター?」


 物思いにふけそうになった俺を心配そうに見つめてくるベルに感謝しつつ、今できることを片付けていくしかないかと思い直す。


 「ん、ちと考え事だすまんな・・・心配かけたか」


 「いえ、マスターのフォローをするのはヨメである私の仕事です」


 ベルの爆弾発言。


 「え!? ・・・なんだって?」


 「マスターの記憶の中で私のような存在を『脳内ヨメ』とか『オレ嫁』といって頭の中でハーレムを楽しむとか?」


 「チッガ~う! 同じ脳内でもそれ意味違うから!!


 えらく勘違いしているな・・・いやワザとか?


 「そうなのですか? それはザンネンです」


 さしてザンネンでなさそうにおっしゃる。


 フ・・・と笑みがもれた。


 じいちゃんが言ってたっけ・・・「笑えるならそれが作り笑いでも余裕を持てる」って。


 それが自然に出たなら俺もまだまだ余裕を持てるってことかな?


 「ありがとうな、ベル」


 「やはりヨメになったらうれしいと?」


 「それはないから」


 「私、フラレマシタ?」


 可愛く小首をかしげるベル


 「プッ・・・くく!」


 「笑わないでください、傷つきますから」


 腰に手をあて前かがみにムクレルベル


 ベルとの掛け合いが暗い考えを溶かしていく。


 「ククク・・・なあ、ベル・・・」


 腕を組んでソッポを向いてるベルに今送りたい言葉を送ろう。


 「・・・なんですか?」


 「これからもヨロシクな・・・相棒パートナー


 「!・・・了解マスター!」

 




 そして今度はゆっくりと改良に取り掛かることにした



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