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「贼」の烙印と歴史の消去
本能寺が紅蓮の炎に包まれ、
信長が露と消えた直後、
西園寺景行の動きは迅速だった。
山崎の戦いで光秀が敗北するや否や、
景行は「正義の味方」として表舞台に現れ、
全ての謀略を権兵衛ら光秀の側近に押し付けた。
「明智を唆し、信長公を暗殺せしめたのは、
その側近・五代権兵衛である!
奴こそが、日本を混乱に陥れた真の賊なり!」
権兵衛は主君を売った卑怯者の烙印を押され、
一族郎党、山中へと追われた。
西園寺家は、自分たちの関与を示す
あらゆる記録を焼き捨て、代わりに
「五代という家系は、代々卑劣な裏切りを働く種族である」
という偽りの歴史を公文書に刻み込んだのだ。
「勝てば官軍、負ければ賊軍。
……いつか、この筆の暴力を、
真実の光で焼き払う者が現れるまで、
俺たちは生き抜くしかない」
権兵衛は死の間際、一族の誇りと西園寺家の悪行を、
決して腐ることのない漆塗りの板に刻み、
後の世代へと託した__。




