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初代:権兵衛と「本能寺の黒幕」
天正十年六月一日。
初代・五代権兵衛は、
明智光秀の馬廻り衆として、
亀山城から京都へと進軍する軍列の中にいた。
世に伝わる「信長の横暴に耐えかねた光秀の謀反」という
美談は、後世の支配層が都合よく書き換えた
「官製のフィクション」に過ぎない。
権兵衛は、出陣直前の光秀の陣幕に忍び寄る、
一人の影を目撃していた。
西園寺 景行。
公家の最高位に近い家系でありながら、
戦国大名を駒のように操る、冷徹な謀略家。
景行は光秀に対し、信長が計画していた
「寺社勢力の解体」と「帝の権威の無効化」が
いかに日本の秩序を壊すかを説き、囁いた。
「光秀殿。
信長はもはや人ではない。
南蛮の魔に魅入られた狂人だ。
奴を消せば、朝廷は汝を真の武士の長と認めよう。
背後は我ら西園寺が固める」
光秀は、真面目すぎるがゆえに
その「秩序」という言葉を信じてしまった。
しかし、権兵衛は陣幕の裏で、
景行が別の密使に渡した文の内容を知ってしまう。
そこには**「光秀を鉄砲玉にして信長を消し、
その後に光秀を『大逆人』として始末し、
西園寺の息がかかった羽柴秀吉に天下を拾わせる」**という、
戦慄のシナリオが記されていた__。




