蒼穹の生贄:四代目・五代 隼人(昭和・大戦編)
父・誠の死後、
五代家は「売国奴の家系」として
さらに激しい差別を受けた。
その息子、四代目・隼人を
待っていたのは、
昭和という狂気の時代だった。
一九四四年、学徒出陣。
隼人は、その類稀なる操縦センスから、
最新鋭機「烈風」の
試作機テストパイロットに選ばれる。
しかし、彼が軍の内部で目にしたのは、
美談に塗り潰された「国家の腐敗」だった。
西園寺家の当代
**西園寺 景元**は、
日本の敗戦を確信しながら、
あえて特攻という戦術を推進していた。
「一人でも多くの若者が死ぬことで、
国民の悲しみと憎しみを極限まで高めろ。
その間に、我々は大陸に隠した
資産をスイスへ移す」
隼人は、西園寺家が皇室の財宝や
軍の極秘資金を私物化し、
戦後も自分たちが支配階級に
居座り続けるための「時間稼ぎ」として、
若者たちを死地に送っている
証拠の帳簿を見つけてしまう。
「俺たちが守っているのは国じゃない。
西園寺の財布だ」
隼人は、その帳簿をマイクロフィルムに
収め、密かに父・誠の形見の
万年筆の中に隠した。
しかし、
その動きは西園寺に察知されていた。
景元は、隼人を英雄として祭り上げつつ、
彼を生きて帰さないための
「究極の口封じ」を命じる。
一九四五年、南の海。
隼人に下されたのは、
故障を装って帰還することを許さない
「片道分の燃料」しか積まない特攻命令だった。
「五代隼人少尉、お前は美しく散れ。
それが賊軍の血を引くお前の、唯一の忠義だ」
無線機から聞こえる司令官の声は、
西園寺景元その人の声だった__。
隼人は、最期の瞬間に無線を切り、空へと叫んだ。
「俺の魂は、お前たちの支配する歴史には屈しない!
いつか、このフィルムが、お前たちの嘘を焼き尽くす!」
隼人の機体は、戦果を確認されることもなく、
蒼い海へと消えていった__。




