表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「賊軍」  作者: 此花 陽
1. 令和の流砂
12/12

血塗られたインク:三代目・五代 誠(明治・大正編)

第四章:言論の墓標と生贄いけにえの翼


 令和の闇の中、

 無一郎は地下壕に遺された

 埃まみれの軍用無線機に指を触れた。


 スマホの画面には、三代目・五代誠まことが遺した、


 明治末期から大正にかけての膨大な記事の草案が展開される。


 三代目・誠は、明治維新という

「偽りの革命」の犠牲となった父・宗一郎の汚名を

 雪ぐべく、ペンを武器に選んだ。


 彼は帝都日報の記者として、急激な近代化の裏で肥え太る

 **西園寺さいおんじ 景信かげのぶ**の足跡を追い続けた。


 当時の西園寺家は、貴族院に議席を持ちながら、

 新聞社や通信社を次々と買収し、

「世論」という名の巨大な操り人形を作り上げていた。



「民に考えさせるな。

 ただ、我々が用意した敵を憎ませ、

 我々が用意した英雄を崇めさせろ」


 

 景信が放ったその言葉通り、

 新聞は国民の目と耳を塞ぐ道具と化していた。


 誠が掴んだのは、西園寺家が欧州の兵器産業と結託し、

 あえて大陸での緊張を煽ることで株価を操作し、

 武器を売り捌いている決定的証拠だった。



「戦争は悲劇ではない。

 西園寺にとっては、最大級の収益事業なのだ」



 誠はその真実を記事にしようとした。


 しかし、印刷機が回る直前、

 編集局に踏み込んできたのは警察ではなく、

 西園寺が飼っている暴漢たちだった。


 誠は「社会主義の扇動者」という濡れ衣を着せられ、

 暗い地下室でペンを握る右手を粉々に砕かれた。



「五代、お前の正義など、一滴のインクで塗り潰せるのだ」



 景信の冷笑と共に、誠の築き上げた真実は

「誤報」として処理され、彼は獄中で静かに息を引き取った。


 享年四十二。

 公式記録には「精神錯乱による自死」と刻まれた__。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ