三人称の天の声
神1「もー、どうしてくれるんですか。これまで人類が築いてきた文明がめちゃくちゃですよ」
神2「いやー、つい好奇心に負けてあの袋を授けてみてしまったよ」
神1「人間なんかにそんなものを渡してしまったら、どこかで変な使い方をするやつが現れてこうなるに決まっていたでしょう。そもそも、あなたはUFOの件も幽霊の件も別の宇宙から変なものを持ち込み過ぎなんですよ」
神2「まあまあ、私たちが思いつかないような使い方が見られて面白かったじゃないか。特に10日ほどで爆発する時限爆弾を袋に入れたやつなんて格別だろう」
神1「どんなところがですか」
神2「そうだなあ、人間の安全を欲する心理を上手く利用している。自分のところで爆弾を解除するのはリスクがあるからみんな取り出さずに放置したままだった。最後の最後に地球のあちこちで爆発が起こったときなんて最高だったぞ」
神1「どんな趣味してるんですか。そういうのは貴重な知的生命体のいる星ではなく、シュミレーターを使ってください」
神2「でも、今回は袋を使って地球を複製しておいたから良いではないか」
神1「後片付けが面倒くさいんですよ。いつも私がやってあげていますけど、知的生命体のいなくなった宇宙って利用価値がほとんどないんです。だからそんなもので余計な場所を取らないようにギュって小さくしておかなきゃいけないんです」
神2「それはすまなかった。私もたまには手伝おうか」
神1「いいえ、人類を滅ぼしたことの始末書でも書いていてください。バックアップを取っていた事により少しは減刑されると思いますが、あなたの普段の悪事を鑑みて始末書1光年コースでしょう」
神2「ほう、そんなもので良いのか。それなら数億年で終わるだろう」
神2「ところで、この袋は一体何なのだろうなあ。人類ならその謎を解き明かしてくれるのではないかと密かに期待していたが結局分からずじまいだったわ」
神1「これは先代が見つけたものなので詳しくは分かりませんが、これも一つの生命体なのだと思います。地球には強い引力が働いているのでだめでしたが、本来この袋は宇宙空間内を亀のようなスピードで動き回るらしいのですよ」
神2「ふむ」
神1「で、地球の引力でも動けなくなるくらい貧弱だから、みんなで固まって移動するにはリスクがあるわけです。だから単独で動いたとしても数を増やせるように、分裂するだけでなく、分裂した身体が別の仲間の元へ移動するようにしたのかと。こうすれば一人ぼっちの袋のところに仲間を送り込むこともできますし、たとえ身体が動かなくなったとしても他の袋に入り込めば最後の1匹を除いてそこから退散することができますしね」
神2「それなら袋が発光するのもその生殖的な行為をする相手を探し出すためと考えれば腑に落ちるな。しかし、まさか先代は見つけた袋をすべて持ち帰ったわけではあるまい。ともすれば、袋がコピーした物は地球上に存在する袋の中に入るのではなく、別の宇宙にある大量の袋のどれかに入るはずであるが……」
神1「その部分はきっと、宇宙を超えて複製は行われないなどのいい感じの力が働いているんじゃないですかね」
神2「少しご都合主義のような気がするが、そんないい加減なものなのか」
神1「そんなものなんですよ。きっと」
神1「さて、あなたは早く始末書でも書き始めてください。終わったら2億年後にできる予定の酒場にでも飲みに行きましょう」
神2「ああ、そうすることにするよ」
以上。
宇宙管理局技術革新科第1班 会話記録(地球語訳-日本語訳)
蟹卓球です。7作目です。
読んでくださりありがとうございました。
タイトルの嚢は「のう」と読みます。




