第一話 緊急搬送
今から約5年前某競馬場近くの病院
医療法人社団 馬場会
「馬場共運国際病院」
(ばばきょううんこくさいびょういん)
この病院は、地域医療に根ざす病院、地域医療や国際医療は勿論の事。G1開催日は主に競馬関係者である騎手、厩務員、また競馬ファンなどのケガや病気を診療、治療、リハビリまで行う病院。
近くに日本畜産大学付属小学校がある。
今日も1人 G1開催日の夕方救急車から病院へ救急搬送の一報
本日のドタバタ医療コメディ開幕
登場人物
馬場純子 院長(ベテラン医長)
中山康一 医師(ER(救急救命)医師
芝原瞳 医師(泌尿器科主任医師
砂川麻希 看護師(ER看護師長)
小倉・ヘルマン・ホセ 看護師
(泌尿器看護師 在住25年奥さんが日本人の帰化元スペイン人)
ヴェロニカ・マリリー・ゴメス 新人看護師
(12歳から日本で過ごし在住10年 日本での永住資格を満たし日本の看護師資格持つアルゼンチン人)
古作まなみ 管理栄養士
患者
石川さん当時60歳
付き添い
石川さんの奥さん57歳
石川さん娘28歳
今から約5年前某競馬場近くの病院
「馬場共運国際病院」
(ばばきょううんこくさいびょういん)
地域医療に根ざすこの病院はGⅠ開催日は特に競馬関係者である騎手、厩務員、また競馬ファンなどのケガや病気を診療、治療、リハビリまで行う病院である。
今日も1人断末魔を叫ぶ患者が搬送される。
競馬場から石川さんという患者さんが救急搬送されるという一報が入り中山医師は、救急救命処置室へ到着。
石川さん
「痛ぇぇーっ!はよ何とかしてぇーっ!
おかあぁぁちゃーーん
麻酔銃くれぇぇーっ生まれるーっ」
奥さん
「あんたーっしっかりしぃーやぁぁー
ああぁーっ 何うまれんねーん」
娘
「二人共うるさいねん くらずぞ!
G1見れんかったししかも当たらんかったしはあーイライラするアホ親父が!」
石川さん
「じゃかぁしいーっ!くらしてみ……
ギャァァァーっっ!」
奥さん
「あんたーっ」
既にカオス化している救急現場に中山医師と一緒にベテランの砂川看護師と新人のゴメス看護師が対応する。
中山医師
「痛い場所どこですか?」
石川さん
「いだぁぁーい゛ ここぉーっ!」
悶えながら腰の辺りを差す。
奥さん
「先生!夫が死にそうです!
はよ治してくださいーっ」
砂川看護師
「奥さま落ち着いてください今から対応します。」
ゴメス看護師
「いますぐラクにシテヤリますヨ。」
砂川看護師
「コラッ ゴメスさんっ!なんか違う意味に聞こえるからっ」
中山医師
「ひとまずレントゲン撮影と鎮痛剤いれますね。」
レントゲンを見た中山医師はすぐに泌尿器科医師の芝原医師に連絡する。
中山医師
「尿管結石の可能性が高いです。鎮痛剤は私が入れますので残りの処置お願いします。
今日はG1開催日いつも以上に沢山の方の救急搬送が増えており…
馬場入場前に競走馬に脚を踏まれた厩務員さん。
パドックで競走馬に振り落とされた騎手階段でコケて前歯折ってしまった患者さん。
自転車降りた際に躓いて捻挫した患者さん。
競馬場の帰り道に大きい方が我慢出来ずに道端でもよおして警察沙汰になった患者さん。
立て続けに来るそうなので、私はそちらの手伝いに行きます。
はあ…G1開催日は忙しいな…ホンマに…」
芝原医師
「G1開催日は色々ありますね…
わかりました。
石川さんの件、あとはお任せください…。
ありがとうお兄ちゃん。」
中山医師
「あとは任せたで、優秀な我が妹。」
※この2人、実は兄妹。
もう1人長兄がいる 三兄妹
中山医師
「石川さん鎮痛剤で坐薬入れますので、下着降ろします。あと四つん這いになれますか?」
石川さん
「いやーっっん 恥ずかしぃーっ!
なんの羞恥プレイばいっ!あーっ
でもいたぁぁーいっ たのむばいっ!」
娘
「お父ちゃん汚いもん晒すんか…お゛ぇーっ」
奥さん
「お父さんに失礼や!
てか人間誰でもあそこは汚いやろ!」
娘
「いけん想像してもうた…う゛お゛ぇぇえぇ゛…」
娘さん近くのゴミ箱へ…
ゴメス看護師
「スナガワさん ザヤクってなんでしたっけ?」
砂川看護師
「…。どストレートな言い方すると…お尻の穴に痛みを和らげる薬いれるの…。
う〜ん、スペイン語で何ていうのかしら。
まあ先生の動き見てて…」
ゴメス看護師メモとりながら中山医師の動きを見る。
ゴメス看護師
「ザヤクはベンでるとこにイレテ
ツカウのクスリ…あー el supositorio…」
中山医師
「入りますー。」
ブスッ
石川さん
「あぁ~ははぁぁっっっ 入ったーっ」
ここで中山医師から引き継いだ泌尿器科の芝原医師と小倉看護師が到着し石川さん家族へ説明
新人のゴメス看護師は残り研修も兼ねて見学と小倉看護師の点滴の手伝いをすることに…
芝原医師
「石川さんは尿管結石です。レントゲン観る限り大きさは推定6mm。
この大きさなら安静で様子見です。
あとは鎮痛剤がきいてくるとは思います。
膀胱に落ちれば痛みは無くなります。
その間に点滴入れます。
また様子見に伺いますね。
小倉さん、点滴とご家族からお話の聞き取りお願いします。」
小倉看護師
「はい。ヴェロニカ(ゴメス看護師)点滴おねがい。」
ゴメス看護師
「了解デス。」
小倉看護師
「石川さん…競馬場でナニか飲食しました?」
石川さん
「えーっと… あっ…いたた…さっきよりマシになっとるがまだ痛い…
母ちゃん説明頼むわ…」
奥さん
「旦那はビール2杯とモツ煮込み。
わたしと娘はピザとポテトとジュース旦那は内馬場エリアで焼き鳥5本とまたビールかな〜
そのあと喫煙室でタバコを一服して、メインレース前にたこ焼きとハイボール2杯ですね。」
小倉看護師
「その間にトイレは行きました?」
石川さん
「ワシ普段あまりトイレ行かんわ。」
奥さん
「あっメインレースのあとトイレ行ってその後、旦那がしばらくして背中痛いって喫煙室の前で倒れたの。
すごい痛いって叫んでいて係の方に救急車呼んでもらいました。」
小倉看護師
「なるほど…トイレは一回、飲酒多い…
んー食事内容がな〜まいったな〜
あ〜…ヴェロニカ…
こっちきて今からする話メモね…」
ゴメス看護師
「はいわかりました。コクラさん。とりあえずスペイン語でカンケツに説明オネガイします」
小倉看護師
「Vale bueno ...Esta persona es "Kesseki" por tonta forma de comer.
Es enfermedad que también afectó al héroe de tu país, Diego Maradona.
Como podrás ver al mirarlo, es una enfermedad que tiende a afectar a personas que tienen una dieta desordenada.
Y… “自業自得…”」
ゴメス看護師
「アーハハハッ ジゴウジトク!Ya veo...」
奥さん
「自業自得以外ナニ話してるかわからんけど、看護師ちゃんがめっちゃ笑ろてる…」
小倉看護師
「今のハナシを簡単に言いますと…
あの有名なアルゼンチンのサッカー選手
『ディエゴ・マラドーナ』もかかった尿管結石は食生活がハチャメチャな人に多いという話をしました。」
奥さん
「なるほど…マラドーナもかかったんかいな。
まあ、あんた食生活元々悪いもんな〜
ハチャメチャやな…
水分補給はほとんど酒やしな〜」
石川さん
「くっ…なんも言えん…」
約2時間後芝原医師と馬場院長も一緒に石川さんの元へ。
芝原医師
「石川さん、お痛みどうですか?」
石川さん
「だいぶマシになったたい。先生ありがとう。」
芝原医師
「再発防止の為に、後日検査で来院していただくのと、診察後は管理栄養士から食事指導を受けてください。
私から予約いれます。
この病気の5年以内再発率は50%です。
正直な話、尿管結石の原因の多くは運動不足と乱れた食生活です。」
石川さん
「いや、言うても今の生活は簡単にはやめられん…
酒飲まん生活なんてありえへんっ!そんなんワシやないっ」
奥さん
「おとうちゃん…」
娘さん
「ダメだコリャ。また石を産むでアホオヤジ。」
芝原医師
「お気持ちはわかりますが、また繰り返しては欲しくないので…。」
石川さん
「結石防止の薬無いん?薬でなんとかならん?」
芝原医師
「結石を直接予防できる薬はありません!」
石川さん
「そんなぁぁ〜 いややぁ〜」
絶望に打ちひしがれる石川さん。
馬場院長が石川さんに激励と金言を伝え彼らに希望の道へ導く。
続く。