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隣人  作者: 麩天 央
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正直に言います。

俺は今、はちゃめちゃに舞い上がってました。

寒川さんの衝撃のお誘いを受け、俺は「はい!!」と元気に返事をして直ぐに自宅へ戻った。それから必要な食材・道具類を抱え再度寒川さんの自宅へと突撃した。


そう、突撃してしまったのだ。

寒川さんは、一緒に食事をしないか、と聞いてくれたが、どこで・どのように等は一切言ってもいないし、俺も確認していない。

なのに、俺の脳内ではフレンチトーストを寒川さんの家で作って一緒に食べるに変換してしまった。

ええ、寒川さんとのキャッチボールに浮かれすぎたよ。

過去に戻れるなら、再度寒川さんの家に突撃し、笑顔で家に上がろうとした自分を引き留めたい。いや、ひっ捕まえて説教したい。何を考えてるんだと。

俺の満面の笑みと荷物を見た寒川さんは拒否もできず、そのまま俺を自宅に招いてくれた。いや、招かざるを得なかった。お邪魔します、と元気よく靴を脱ぎ、キッチンに食材を運び置いて寒川さんを見た時、ようやく俺は自分の失態に気づいた。もっと早くに気付こうよ俺。


「あ、俺…すみません、勝手に勘違いして。ここで作って、一緒に食べるんだと思い込んじゃってました…」


口をパクパク意味もなく動かし、目を白黒させ、何とか出た言葉が言い訳。

折角寒川さんとの距離が近づいたのに、この失態は非常に良くない。怒鳴られたり、追い出されたり、もしかしたらもう一生関わってもくれないかもしれない。

サッと顔から血の気が失せ、再度「勝手に上がってすみません」と頭を深く下げた。

寒川さんの顔を見る勇気がない。

どんな反応が返ってくるか分からず、俺の心臓はギュッと縮こまり息をするのも苦しくなってきた。


「…いや、問題ない。」

「えっ」

「いつも作って貰っているんだ、場所が変わったとてやることに変わりはないだろう。」


寒川さんの返事に、俺は虚を突かれ思わず彼の顔を見上げた。

寒川さんに怒っている様子は無く、俺を見る眼差しから温かみを感じた。俺が見続けたせいか、すっと視線を外され、寒川さんは台所へと顔を向け「好きに使ってくれ」と再度受け入れの言葉をかけてくれた。


「っありがとうございます!!台所お借りします。すぐ作るので、ちょっと待っててくださいね。」


今までの交流があったからか、それとも勘違いで慌てる俺を哀れに思ってくれたのか、心の広い寒川さんは俺が自宅で料理を作り、共に食べる事を受け入れてくれた。それに応えるべく、俺は申し訳なさと感謝の気持ちを目いっぱい込めた、俺史上最高の出来のフレンチトーストを作り上げたのだ。



お読みいただきありがとうございました。

ゆっくり更新ですが、頑張って書いていきますので、ぜひ二人の展開を見守っていただけると幸いです。

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