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特別じゃないので
「で、できてない」
物語の終盤という訳でもない。最初の1行すら描けてないのだから。
つまりどんなものを書くかすら決まってない。
「うーん、そっか。残念だなエンザの次回作はお預けか」
ジエシテさんは、大きな身長を丸めてしまっている。
本当に期待してくれていたんだなあと思うのと、出来てなくてごめんという気持ちが強くなる。
「ま、まあ。他の道具、薬ならあるから」
「うん、それらも大事なんだけど、長い行商の旅にはね、癒しがいるんだよ」
「ご、ごめんなさい」
「こーんな、摩訶不思議なことが出来るのに」
「錬金術は珍しいかもしれませんけど、特別な訳じゃないので」
「特別だよ」