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錬金術士エンザの物書きの話
「ど、どうしよぉ……」
時刻は昼時です。
色々なものが所狭しと領土侵犯し合っている部屋で唯一、敵になりさがった子が今、目の前に居ます。
「原稿が終わらないよぉ……」
錬金術士としてだけではどうにもならなかった私は、子供の頃から好きだった小説を書いては行商人に委託販売しているのですけど、間に合わなそうです。
「はぁ、困ったな。何も思いつかないや」
コンコン。
「はぁ〜い、開いてますよ〜」
どうやら来客です。まあ、僻地にある私のアトリエに来る人なんて……
「こんにちは、エンザ!アンタの小説できてる?」
彼女、ジエシテさんは同い年の行商人で、幼なじみだったりします。




