試練
「まあ やりゃ分かんだろ」
「え...今やるの?」
「今やらなかったなんのために準備したんだよ」
「確かに…」
「じゃあ始めるぞ」
「う うん」
「俺がやることちゃんと覚えろよ」
そう言い漆黒はナイフを自分の手首に触れさせ軽く切る
そして出た血を黒い鍔の方の刀に垂れさせる
「我が生命果てようとも命結を成し
これを契結と成すことをここに誓う」
と言うと刀が宙に浮く
「今度はお前の番だ」
「わ わかった」
そう言い未だ手首から出ている血をもう一方の地についている刀に垂れさせる
「我が生命果てようとも命結を成し
これを契結と成すことをここに誓う」
そう言うと二振り目の刀も宙に浮く
「結!
…お前も続けろ」
「け...結!」
そう言うと二振りの刀はゆっくり落下し地につく
「これで契結は完了だが重要なのはここからだ」
「ここから?」
「ああ……」
そう漆黒が言った瞬間に意識が落ちる
そして次に目を開けた瞬間に眼の前に真っ黒な空間が広まる
「ここはどこなんだろう?」
闇の中を歩きながら菖蒲は言う
「お前が俺の主か?」
「だ...誰?」
突如菖蒲の前に全身が真っ白な人形のものが現れる
「俺は…」
「もしかしてあの刀?」
菖蒲が食い気味に聞く
「あ...ああ」
「ここはどこなの?」
「そんなことはどうだっていい」
「どうでも良くないよ」
「そんなことよりお前がどのような反応をするかみたい」
「?ってうわぁ…」
そう白いものに言われた瞬間に眼の前に牧夫の背中が現れる
「お父さ…」
「菖蒲...昴のところに行ってくれるか?」
「なんでお父さんが生きて…」
「菖蒲!...頼むお父さんの言うことを聞いてくれ...」
そう菖蒲の眼の前に広がる光景は昨日昴の道場から帰り家についたときの風景である
「そ...そんな事できないよ」
「いいから行け!」
「でも…」
そう言った瞬間に眼前にいた父の体が切られる
「お父さ…」
「早く...行け」
そう言われどうにかその場から離れようと
体を動かそうとしその時に気づく
"体が動かない"ことに
そして父が倒れその前にいた 父を殺した者の姿が見える
「師...匠…」
そうそこにいたのは昴であった
それだけではなくその後ろには染華と彩花が立っていた
「染華お姉ちゃん...彩花お姉ちゃんどうして…」
「そんなの決まっているだろう
こいつが大っ嫌いだったからだよ」
「う...うそだ!
だってみんな仲良かったじゃないか」
「あれはこいつを騙すためだよ
そしてお前もここで死ぬ」
そう言い昴が手に持っていた刀を菖蒲に向かって振り下ろす
その瞬間に菖蒲が感じたのは何かを持つ感覚であった
そして菖蒲が自分の右手を見ると先ほど血を垂らした刀が握られていた
「お前いつの間に刀を」
「この...刀は…」
コイツヲコロセ
コロセころせコロセ殺せコロセコロセ殺せコロセころせ殺せコロセ…
突如菖蒲の脳内には"殺せ"という言葉が無数に浮かんでくる
そして菖蒲の意思とは関係なく体が動き
昴に向かってその刀を振り下ろす
だが昴は微動だにしない
振り下ろした刀が当たるその刹那
「嫌だ...イヤだ」
菖蒲が全力で抵抗し
なんとかその刀が掠る程度のところで止めた
「お父さんを殺したのが師匠でも...
殺すことはできないよ…」
そう言いその瞳にうっすると涙を浮かばせる
すると空間が歪み先ほどの真っ黑な空間が広がる
「お前の反応はわかった...
不合格だ」
「不合格?」
「お前に俺を持つ資格はない」
「で...でも」
「帰り道はあっちだ」
そう言い白い人形のものは菖蒲の背中の方を指す
菖蒲がそちらを見ると白い扉があった
「僕は契結をするためにここに来たんだ」
「だから先程言っただろう
お前は不合格だと」
「でも僕は契結をしないとならないから
君が合格と言うまではここを出ていかない」
そう言い菖蒲はその場に座り込む
「何をしても無駄だ」
「………」
「なんか言え」
「………」
2時間後
「………」
「はぁ…
わかった 合格だ
その忍耐力は認める」
「ありがと…」
感謝を伝えようとした瞬間にまた意識が飛ぶ
そして目を覚ますと物置小屋の中であった
「戻ったか」
第六話お読みいただきありがとうございます。
楽しんでいただけたら幸いです。
続きが気になる!と思ったら是非ブックマークをお願いします