契約 起
「なら菖蒲にやってもらえばいいんじゃないすか?」
「そうして菖蒲に?」
そう言った彩花に対し昴は頭上に?が浮かんでいるかのような顔で尋ねる
「だってその刀は牧夫さんが死の間際に菖蒲に託したんすよね?
なら菖蒲なら鞘を抜くことができるんじゃないかと思って…」
「なるほど その手があったか....いいアイディアだ彩花」
「ありがとうございます!染姉」
「だが今の菖蒲にそれをやらせるのは…」
そう言った途端に ガチャッ という音がなりリビングの扉が開く
そしてそこにいたのは菖蒲だった
「どうした菖蒲?」
そうスバルが言うと菖蒲が一拍を起き
「ごめんなさい」
と部屋中に響く声で言った
「ずっと三人の会話を盗み聞きしてました」
そう この三人の会話を菖蒲は壁越しに聞いていたのだ
「…いや お前が謝ることは何もない」
「そうだよ菖蒲」
「そうだ」
と三人が続けて言う
「で...でも…」
「逆に菖蒲が聞いていたからわざわざ説明する手間が省けたっす」
「そうだな 逆に良かったのかもしれん」
彩花と昴が菖蒲に言う
それに続いて染華が
「じゃあ菖蒲 早速試してくれるか?」
といつもは硬い表情を柔らかくし菖蒲にい言う
「う...うん わかt…」
「待て」
その言葉を聞いた途端に染華と彩花が臨戦態勢に入る
「二人とも大丈夫だ こいつは漆黒というやつらしいが
今のところ襲ってくる気配はないし殺気もない」
「本当に大丈夫なんだろうな」
「大丈夫なんすか?」
二人に対し昴はコクリと頷く
「大丈夫だよ彩花姉ちゃんと染華姉ちゃん」
「別に誰も襲おうなんて考えてないから安心しろ」
と菖蒲と漆黒が続けて言う
「で なんで止めるんだ?」
「この刀の鞘抜くのはこいつと俺だけでやったほうがいい」
「どうしてだ?」
「それは言えない」
その返答にしばし昴は悩むが…
その後首肯し
「わかった」
「できればここと同じくらいの大きさの部屋がほしい」
「なら家の外にある物置小屋を使うといい」
「ありがとな昴」
「なんか...菖蒲に昴と呼ばれているみたいで違和感がすごいが…」
「ありがとう師匠!」
そう言い菖蒲二振りの刀を持っては外へ向かっていった
物置小屋にて
「そういえばなんで部屋が必要だったの?」
「正直部屋はそこまで必要じゃなかったんだが…」
「じゃあどうして?」
一部蜘蛛の巣が張っている部屋の中の戸棚をあさりながら漆黒は
「お前の記憶じゃ確かここらへんにあったような…」
「何を探してるの?」
「ナイフだよ ナイフ」
「ナイフ?どうして?」
まあ見てろって
そう言い倉庫の中でも一番広いところに二振りの刀を置く
刀はどちらとも同じ形状・色・大きさではあるが
唯一それぞれのつばの色のみが異なっていた
形は延びた炎のようなものでそれぞれ黒色と白色となっている
「この刀改めてみるとすごいね!」
「ああ...父さ…あいつの最後の作品だからな...」
置いた刀を眺めながら言う
「いま父さんって言おうとしt…」
菖蒲が言った言葉を遮るように
「さて...そろそろ始めるか」
「そういえば何をするのか聞いてなかった」
「契結だよ」
「ケイケツ?なにそれ?」
「契結ってのは簡単に言えば刀との契約だ」
「随分とざっくりな説明d…」
「まあ やりゃ分かんだろ」
第五話お読みいただきありがとうございます。
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