二振りの刀
「俺は”貍?サ偵?謌ヲ螢ォ”だ」
「なんだって?今なんて言った?」
菖蒲?が放った言葉を聞き取れず昴が聞き返す
「あ゙ーそうか...こっちじゃ使えねぇの忘れてた...」
「どういうことだ?」
「コホン…改めて言おう
俺は漆黒だ」
「くろねぇ...」
そう言い昴は記憶の中から関係する情報がないか探し出す
「う〜ん さっぱりわか…」
バタンッ!
そう音が鳴り寝室の扉が開く
「あっやめー」
そう言い一人の女声が菖蒲の方へ飛びかかる
「彩花お姉ちゃん!?」
菖蒲がその女性に向けて言う
「彩花?どうしてお前がここに...」
「染姉が連れてきてくれたから!」
彩花の発言を聞き昴が扉の方を見ると
「久しぶりだな昴」
「お前が彩花に言ったのか?」
「だめだったか?」
「そういう訳では無いが...」
昴と染華が話してると
「み...右腕どどどうしたのあやめ」
と彩花が叫ぶように言う
「ちょっと悪い人に切られちゃって」
「"切られちゃって"じゃないでしょ
大丈夫なの?痛くない?
もー昴は相変わらず処置が雑っすねー」
「そりゃ悪かったな」
「こんなときに牧夫さんは何してんすかー」
そう彩花が行った瞬間に場の空気が凍りつく
「え え...私なんかまずいこと言いました?」
「お父さんは...死んじゃった…」
「え...あの牧夫さんが?そんなわけ...だってあの牧夫さんですよ?」
そう言い彩花が周りの顔を見るとみんな暗い顔をしている
「彩花 染華ちょっとあっちで話そう」
「は...はい」
昴は二人にそう言い菖蒲を一瞥してから部屋をあとにする
「ごめんね あやめ…」
そう言い彩花も昴について部屋を出ていく
そしてしばらく騒がしかった部屋は静寂に包まれるのであった
ここは昴家のリビングルーム
「どうして牧夫さんは死んじゃったんすか?」
「クロユリによって殺された...」
そう彩花と昴が言うと割って入るように
「クロユリだと あの組織は私たちが十年前にぶっ潰したはずだろ」
と染華が言う
「俺も牧夫から初めて聞いたときは同じ反応した…
しかもそれだけじゃなくクロユリのボスに隠し子がいたんだとよ」
「そ...そんな…」
「てことはまさか牧夫さんはその隠し子に殺されたんすか?」
「おそらくな...俺が駆けつけた頃にはもうそいつらはいなかった…」
「くそ...十年前の戦いですら多くの犠牲を払ったのに…」
「菖蒲いわくその隠し子だけでなくあと6人一緒にいたらしい」
「そ...そんな事あっていいんすか
牧夫さんが殺されただけでなくクロユリが復活して
クロユリのボスに隠し子がいて…」
「落ち着け彩花...私も同じ気持ちだ」
「染姉...」
その発言を皮切りにしばしの静寂が訪れる
そして何かを考えた昴はどこかに行こうとする
「昴さんどこに行くんすか?」
「ちょっとここで待ってろ」
そう言い昴はどこかに行ってしまう
一,二分経ち昴がリビングへ戻って来る
その手には二振りの刀が握られていた
「その刀は...まさか牧夫のか?」
「ああ...この二振りの刀は牧が死の間際に菖蒲に託したものだ」
「牧夫さんが…」
「だが持ち帰ってきて何度か鞘から抜こうとしたんだが
俺の力ではどうにも抜くことができなかったんだ…」
「お前の力で抜けないだと?」
「ああ 不思議なことにな...
何なら試してみるか?」
そう言い昴はその二振りの刀を染華に渡す
そして染華はその刀をじっくりと観察する
「…私の力でも無理だな 特別な施しがされてある」
「やっぱりか…」
そう頭を悩ませる二人の横で彩花が何かをひらめいたように手を叩く
「つまりその刀の鞘を抜ければいいんすね なら………」
第四話お読みいただきありがとうございます。
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