すべての始まり
「はーい」
二人に道場内の子どもの視線が集まる
「もう 二人は会ったらいっつも喧嘩するんだから〜」
「ごめんごめん もうしないよ」
と昴が言う
それに続けて牧夫が
「菖蒲ちょっとあっちであの子達と遊んでてくれるか?」
「うん!わかったよお父さん!」
そう言い菖蒲は道場内の子どもの方へと去っていく
それと同時に牧夫と昴は道場の外へと出ていく
「で、今日はなんの用だよ?牧」
「ここ最近クロユリが活動を活発化してきているんだ…」
「なっ…あの組織は十年前に沈丁花が総力をかけて潰したはずだろ!?」
「それがな 俺等も把握していなかったボスの隠し子がいたらしい
んで そいつがクロユリを復活させようとしているらしいんだ」
そう牧夫が口にすると昴は不思議なものを見るかのような顔をする
「らしい?いつも正確な情報を持ってくるお前にしては珍しいな」
「それが...情報の隠し方が以前のクロユリよりもうまくてな
俺でも正確な情報を掴むどころか組織の全容すら把握ねぇんだよ」
「そうなのか…」
「まあ そっちでも少し調べてくれ」
「ああわかった」
そう言い二人は道場の中へと向かっていく
「菖蒲〜 帰るぞ〜」
「はーいお父さーん
じゃーねーみんなー」
そう言い先程まで遊んでいた子どもに菖蒲は別れを告げる
「じゃーねー」
「また遊ぼーねー」
牧夫と菖蒲は手をつなぎ帰っていった
「クロユリか...どうにも胸騒ぎがするな」
場所は変わり菖蒲と牧夫の家
「こんにちは白羽牧夫さん」
家につくと全身をローブで覆った5人が家の前にいた
その真ん中には一人だけ異質の気配を放つ男が立っている
だがその容姿はおおよそ中学生ほどのものである
「…お前らは誰だ」
「聞かなくてもわかるでしょう?牧夫さん」
「クロユリ…か」
「御名答さすがは僕の父を殺した伝説の男だ」
「そりゃどうも」
牧夫がそう返事をすると菖蒲に向かって
「菖蒲...昴のところに行ってくれるか?」
「や...やだ!お父さんと一緒にいる」
「菖蒲!...頼むお父さんの言うことを聞いてくれ...」
それを聞くと菖蒲はコクリと父の背に頷く
「いい子だ」
そう言い牧夫は菖蒲の頭を撫でる
「いけ!」
そう牧夫が叫ぶのと同時に菖蒲は走り出す
ただ一心不乱に父を救ってくれるであろう己が師匠の元へ
「泣けるねぇ いい親子愛だねぇ」
「ここからは一歩も菖蒲の方へとは行かせない」
菖蒲はただひたすら森の中を走る...
だが5歳の少年が走るにはあまりにも足場は不安定で今にも転びそうな状況である
「お父さんを助けないと...」
その一心で菖蒲が何度転んでも立ち上がりまた走る
そして今また転びそして起き上がり走ろうとしたその瞬間
突如として己が利き腕である右腕に鋭い痛みが走る...
その痛みを感じ腕の方を見ると
「腕が…」
そう激痛の原因は腕が切断されたことであった
あまりの痛みに足を止めその場にうずくまってしまう
「うわぁぁぁぁああ…」
「うるせぇなぁ」
そう声が聞こえ菖蒲が激痛に耐えながら顔を上げると
先ほど家にいた5人のうちの一人であろう全身を黒いローブで覆った人物が眼前にいた
「お前はボスの邪魔になるかもしれないんだとよ
お前ぇ見てえなへなちょこがそこまで脅威とは思わねえが...
まあ命令だからな 潔く死ね」
そう言うと男は手に持っていた刀を菖蒲に向かって振り下ろす
菖蒲はとっさに目をとじてしまう
その男の刀が菖蒲に当たるであろうその瞬間
キイィ―――ン
刀の衝突する音が森中に響く...
菖蒲がその音を聞きとじていた目を開けると
目の前には一人の男の姿があった
「ごめんな菖蒲...来るのが遅れた」
第二話お読みいただきありがとうございます。
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