第4話 自己紹介をしよう
「「あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛っ!」」
皆泣きじゃくりながら土下座のままずっと感謝してくれてる。
さっき気にしないでと言ったんだけどな。
身体が回復して相当嬉しかったみたいだね。
「「ご主人さ゛ま゛あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛っ!」」
こっちからしたら恩着せがましいかなとも思うけど、プラスに受け取って貰えるのはありがたい。
反抗的な態度だったら最悪、洗脳まで考えたけど必要無さそうで良かった。
「「か゛ん゛し゛ゃ゛い゛た゛し゛ま゛す゛っ!」」
放って置くと永遠に感謝の念を叫び続けそうだ。
この辺で良いだろう。
「皆落ち着いて、ほら、取り合えず着替えの服を用意したから皆これに着替えてね」
ここに来るまでの道中で見かけた通行人達の服装と同じような服をパパっと創造して9人全員に配る。
女性は質素な茶色いワンピースにゆったりとしたベージュの上着、男性はこげ茶色のズボンに麻布のシャツだ。
下着は良く分からなかったから全員麻布のシンプルなパンツを配布する。
ちなみにブラはこの周辺では無いっぽいので作らなかった。
この商店を出て少し歩くから目立たない様に通行人に合わせておいた。
自宅に帰ったらもっと綺麗な服を着て貰うから少しの間だけだけどね。
「…あっありがとうございますっ!」
「…ありがとうございますっ」「…ありがとうございますっ」…。
受け取る際に順次お礼を言ってくれる。
皆本当に素直で良い子だなぁ。
でも皆の表情を見ると何だか少し戸惑っている雰囲気も伝わって来る。
もしかして何処から服を取り出したのか気になるのかな。
「あ、あの、失礼致しますご主人様っ、一時の発言をお許し下さいっ」
一番年長者っぽいヒト族の金髪美女が恐る恐る僕に声を掛ける。
「どうぞどうぞ」
眼が合うとこちらを見る年長金髪美女の頬が紅潮する。
人見知りなのかな。
「あっあありがとうございますっ、その、まだお役に立てても無い新米の奴隷が綺麗なお召し物を頂いても宜しいのでしょうか」
日本人の感覚では本気で聞いてるのか疑いたくなるような質問だね。
本人は至って真剣みたいだけど。
「当然だよ、皆気にしないで着ちゃってね」
息を呑む音が聞こえて来る。
そんなに特別な事をしてるかなぁ。
「「ありがとうございますご主人様っ」」
また9人全員で土下座する。
土下座されると嬉しいようでむず痒いなぁ、背中がゾクゾクするよ。
それに土下座するとプリンッと飛び出た女性の肉桃が気になって仕方が無い。
「後ろ向いてるから全員着替え終わったら言ってね、ほら、おじさんもここに居るなら後ろ向いて」
「へっ?あっ、ああ、そうですな…」
呆然と突っ立っていた小太りのおじさんがハッと正気に戻って僕と一緒に後ろを向く。
「じゃ皆着替えてね~」
なんか小太りのおじさんがチラチラこっちを見て来る。
「先ほどの拝見させて頂いた奇跡といい、あなたは、いや、貴方様は一体…」
「詮索しないで貰えると助かるのですがぁ」
「す、すいません、あまりにも神秘的な光景でつい…」
僕が力を使うところを見られちゃってるから小太りのおじさんには悪いけどお店を出る時に記憶を消すつもりだ。
廃棄予定の奴隷が良く分からない誰かに売れたという記憶にすり替えておくよ。
「ご主人様、遅くなり申し訳ございませんっ、只今全員着替え終わりましたっ」
おぉ早いな。
後ろを振り向くと9人全員がビシッと綺麗に着替えて土下座していた。
急いで着替えたのか全員少し息が上がっており、なぜか脱いだボロ布を膝の上に置いている。
「ゴメンゴメン、急がなくて良いって言うの忘れてたよ、それと脱いだ服は回収するね」
何も無い所から布袋を取り出し、ボロ布を回収する。
この布袋の中は大空間になっていて入って来た物体を1日後に完全消去するゴミ箱なのだ。
「それじゃお店を出るから皆僕に付いて来てね」
「「はいっ、ご主人様っ」」
9人は慌てて立ち上がり、僕の前に素早く整列する。
こうして立ち姿を見ると女性陣のスタイルの良い肉感が衣服越しにもわかる。
特に形が丸わかりなほどパンパンに張った爆乳が。
「そんなに焦らなくて大丈夫だからゆっくりね」
「「はいっ、ご主人様っ」」
うん、何度聞いてもご主人様と呼ばれるのは良いものだ。
もうこの店には用が無いので小太りのおじさんに向けて左腕を一振りする。
魔法が発動して僕の左腕から一瞬ピンクの光が放たれた。
記憶が改ざんされた小太りのおじさんはその場でボーッとしている。
2分くらいは頭が鈍くなっているはずだ。
9人を引き連れて店を出る。
僕の恰好のせいか人数が多いせいか、道中に通行人の視線を結構集めてしまった。
まあ力を使っているところを見られた訳でも無いから良いけどね。
路地裏を通り、人気の無い日陰のスペースまでやって来た。
ここまで来れば大丈夫だね。
「皆ここでストップ」
立ち止まってくるりと反転すると、9人全員が既に片膝を地面に着けて跪いていた。
皆の畏まった態度は可愛いけど、ここまで素早く反応してくれると軍隊みたいだ。
ここで改めてちゃんと皆の顔を見てみる。
おほぅっ!、超が付くほどの美男美女っ!
凄いなぁ、こんな美人さん達がもう僕のモノなんだよね。
これからが楽しみだよっ。
上機嫌で美顔を眺めていると、眼が合う度に皆どうしてか上唇に力を入れて笑みを堪えている。
むっ、僕何か可笑しな事したっけ。
なんか堪えてる顔も少し赤い。
そんなに僕が変ってことなのかぁ。
僕の表情が少し変わると皆のニマニマ顔がサッと止んだ。
ふんっ、元から相思相愛なんて考えて無かったしぃ、こっちが一方的に満足すれば良いと思ってるから別に良いもんねっ!
「ゴホンッ、家に帰る前にここで軽く自己紹介をしておくからっ」
少し機嫌悪く言う僕。
声から変化を感じ取ったのか皆の表情が真剣になる。
むむむ、キリッとした顔も綺麗だ。
「僕はイツキ・タナカ、森に1人で住んでるよ、これから皆よろしくね」
僕の自己紹介に土下座で返す皆。
ガチガチに畏まってくれてるけど、さっき眼が合った時に僕の事笑ったよね?
忘れてないからね。
「私共には勿体無きお言葉にございますっ!、今はご主人様に何もお返し出来ておりませんが、全身全霊を捧げてご奉仕させて頂く所存にございますので何卒よろしくお願い申し上げますっ」
いち早く先頭の金髪年長美女さんが代表して言葉を返してきた。
声からでも分かる真っ直ぐな気持ち。
あれ、さっき笑われたのは僕じゃなかったのかな。
「ありがとう、でもそんなに堅くならなくて良いからね、それと僕の事も好きに呼んでくれて良いしさ」
皆が土下座を解いて跪く。
「畏まりました…い、イツキ様、イツキ様のご意向に沿えるよう敬意を損なわない程度に努めて参ります」
金髪年長美女さん、今僕の名前2回言わなかった?
気にする程の事じゃないけどさ、美女がミスすると可愛いから反応しちゃう。
「それじゃ今度は皆の事を知りたいから名前だけ順番に教えてくれるかな」
何時も9人の代表みたいに反応してくれている金髪年長美女を最初に指名する。
金髪年長美女は立ち上がると凛とした綺麗な姿勢で直立した。
見た目は20台後半から30歳位の金髪碧眼美白ヒト族美女で、重そうな2つの巨峰が茶色いワンピースを窮屈そうに押上げボインと主張している。
大人の美女って感じだ。
「申し遅れました、ジュリナに御座います」
「宜しくねジュリナ、じゃあ次は君」
ジュリナと交代で立ち上がったのは、20代位の金髪蒼眼褐色ダークエルフ美女だ。
ジュリナに負けない爆乳と巨尻の持ち主でワンピース越しでもクッキリと丸い形が分かる。
顔つきはキリっとしているからしっかりしている様な感じがするなぁ。
「二ルティです、よろしくお願いしますイツキ様」
「宜しく二ルティ」
次に二ルティと交代で立ち上がったのは、20代後半位の銀髪緑眼褐色オーガ美女だ。
少し筋肉質な身体つきで、これまた大きなお胸とお尻の持ち主。
お顔は真面目でスポーティな感じだ。
後で角触っちゃおっかなぁ。
「ラムリーですっ!イツキ様よろしくお願い致しますっ!」
「宜しくラムリー、じゃあ次」
次に立ち上がったのは、20代後半位の赤髪紅眼褐色ヒト族美女。
健康的なスレンダー体型で、これまた爆乳爆尻の挑発ボディ。
顔はどっしりしたお姉さんという印象だね。
「マエラです、よろしくお願いします」
「宜しくマエラ」
マエラの次は、10代後半くらいの金髪碧眼美少女エルフだ。
皆程ではないが十分に発育の良い巨乳と巨尻で、思わず触ってみたくなってしまいそうだ。
顔は愛嬌のある元気っ子という感じだね。
「ハニサですっ、よろしくお願いしますっ」
「宜しくハニサ」
ハニサの次は、10歳位の金髪碧眼エルフ美少年。
顔つきはまだまだ子供で可愛らしい。
「こ、コニーです、ハニサ姉さんの弟です、よろしくお願いします」
「へー姉弟だったんだね、宜しくコニー」
コニーの次は、20歳位の金髪碧眼美白犬獣人美女。
例によってダイナマイトボディだ。
経験豊富そうな逞しい顔つきだね。
「エミーです、よろしくお願いしますイツキ様」
「宜しくエミー」
次は、ジュリナと同い年位で赤紫の髪に金色の瞳をしており肌は少し青白い魔族の美女。
雄を誘うような爆乳と爆尻で、顔は少し冷たそうでいて気が強そうな感じだ。
「ご紹介が遅れました、アリシアと申しますイツキ様、どうぞよろしくお願い申し上げます」
「よろしくアリシア」
最後は20歳位の白髪で少し青白い魔族の美青年だ。
顔は仕事が出来そうなイケメンだね。
「アリシアの弟クローリルです、よろしくお願いします我が君」
あ、我が君とか言うタイプなんだこの子…どこの世界でもイケメンは違うなぁ。
「宜しくねクローリル、じゃあ皆の顔と名前を覚えたし自宅に転移するよ」
全員に抗うことの出来ない魔法則が発動し、視界が暗転したのだった。
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