作戦7. 万全の態勢で臨もう
「というわけで、デートの約束ゲットだ!」
俺は優鈴と彰にテストの結果と一ノ瀬との勝負の結果を報告していた。
「まさか8位とはねー」
「流石に驚いた。とはいえやったな」
楽しそうに言う優鈴と誇らしげに笑う彰。
「ああ。ここまでやれたのは彰のおかげだ、本当にありがとう」
「おう」
あらためて彰に礼を告げると、優鈴が思い出したように言う。
「それで、当日の下調べは済んでるの?」
「え?」
「回る順番とかお昼どこで食べるのかとか」
「あ」
「着ていく服も重要だな」
「ギクッ」
「「はあ~」」
息の合ったため息が吐き出される。
確かに、今日はもう水曜だ。週末まであまり時間はない。
「お願いします助けてください」
***
1時間後
「まあ、こんなもんかなー」
「いいんじゃないか?」
俺たちは近くのショッピングモールに来ていた。
そして今、優鈴プロデュースの下、俺の勝負服が完成した。
「おお…なんかいける気がする!
ありがとう!」
着ているだけで自信が湧いてきた。
「ふっふっふ。私にかかればこんなもんよ!」
「流石に今日は俺に奢らせてくれ!」
「まあ、そこまで言うなら」
「遠慮なく」
フードコートにて、二人は特大パフェを頬張っていた。
「いくらなんでも遠慮なさすぎだろ」
「「だって何でもいいって言うから…」」
息ぴったたりだ。
「まあとにかく、おかげで準備は整った。改めて礼を言う、ありがとう。」
「あとは下調べも忘れないでねー」
「頑張れよ」
「おう!」
俺は本当にいい友達を持ったな。
協力してくれた二人のためにも、俺は必ずデートを成功させる。
そして、改めて一ノ瀬に告白するんだ。
きっとこれが最後のチャンスだ。
「よし、下調べはこんなもんかな」
時刻は午前二時。遊園地のことをあらかた調べて計画を立て、脳内シチュエーションを繰り返すうちにかなり遅くなってしまった。
「それにしても、俺と一ノ瀬がデートか…」
一週間連続で振られてた時には考えられなかったな。
最初に一ノ瀬のことが好きになったあの時より、一ノ瀬への恋心はずっと大きくなっている。
あの子の恋人になりたい。ずっと一緒にいたい。俺があの子を幸せにしたい。
好きだ…
そして、もうそれは夢物語じゃないんだ。
俺が誰かを好きになったのは、一ノ瀬が初めてだった。でも、すぐに心にストンと落ちた。これが恋なんだって。
何かにここまで全力になったのはいつぶりだろう。
思えば高校に上がり、帰宅部になって、本気で何かに取り組む機会はなくなってしまった。
一ノ瀬を好きになって、告白を繰り返したり、作戦を立てたり…
上手くいかないことも多かったけど、楽しかった。
でもまだ、スタートラインにも立ってないんだ。一ノ瀬への告白が成功して、恋人になれたら、そこから始まる。全力で一ノ瀬を幸せにして見せる。
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二日後。
「ごめんなさい、待った?」
「いや、」
「今来たところだ」
初めてにして、最後の作戦が始まる。
「いや、それは絶対嘘でしょ」
「……」