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ツンデレ美少女の堕とし方  作者: 藤木一花
6/10

作戦6.自分の魅力を見せつけよう・結果編



 私、一ノ瀬未来は小学生のころから多くの告白を受けてきた。恋愛というものがよく分かっていなかった私はいつも断ってきたが、私に振られる人が増えれば増えるほど、私に降りかかる面倒事も増えていった。


 他の女子からの嫉妬、振った男子からの逆上……。


 

 それを避けるため、私は告白を受けたときに過剰に強い言葉で相手を振るようになっていった。それからは私に告白をする人も減っていき、面倒事も減っていった。

 優しさ0と呼ばれていたのも知っていたが、全く構わなかった。



 しかし、私史上最大の悩みの種とも言える男が現れた。


 前田進。まず驚いたのは一週間連続の告白だった。この時点で私に告白した回数のトップに躍り出たこの男は、私にどれだけきっぱりと拒絶されても諦めるそぶりを見せなかった。

 さらに、私に面倒に言い寄る先輩を追い払っても告白を遂行する熱意を見せた。


 面倒事を招くどころか減らしたこの男は、私のこれまでと矛盾する存在となってしまった。

 でもその熱意には、向き合ってみる価値があるのかもしれないと思った。



 葵や潤子にも相談し、私は前田進からの好意に対して真剣に向き合ってみることにした。


 手始めに連絡先を交換し、さらにテストの結果次第で遊園地に行く約束までしてしまった。




 問題はこのテストである。


 私は、今回のテストでいつも以上に真剣に勉強に取り組んだ。

 別に、遊園地に行きたくなくてそうしたわけではない。そもそも前田の普段の成績から考えて、私がいつも通りにやったところで負けることはないだろう。


 しかし、私の今回の姿勢を客観的に見れば、前田に対する拒絶に他ならない。


 私はどうして、あんなに必死に勉強したんだろう。前田を拒絶する意図はなかった。でも、前田とのことを除くと明確な理由も見当たらない。潤子たちに言ったのは完全にでまかせだ。


 いくら考えても答えは出ない。



 

まあでも、もしかしたら実際は大した点数じゃないかもしれない。結果を見るまだは何とも言えない。




 「さあ、テスト結果配ってくぞ」



 

 ―――一ノ瀬未来 学年順位9位


 過去最高だ。努力は人を裏切らないとはよく言ったものだ。


 もちろん嬉しいが、それでも素直に喜べないのは前田との約束のせいだろう。



 あの自信ありげな顔が頭に浮かぶ。


 

 複雑な気持ちのまま昼休みを迎える。前田とは結果を昼休みに照らし合わせる約束をしていた。





 「最初に言っておく。今回お情けは無用だ。お互い結果は素直に受け止めよう。」



 前田のその言葉は自信故だろうか。


 

 結局私は変われないんだ。自分に好意を向けてきた相手を拒絶し続けて、ようやく真剣に向き合いたいと思える相手ができて、しかしその相手を拒絶する結果になってしまう。



 「ええ。今回の私の順位は9位。これより上ならあんたの勝ちね」



 なんにせよ、今回は諦めてもらうしかないだろう。前田にこの順位を越せるとは到底思えない。



 「俺は8位だ。俺の勝ちだな」



 「え?」


 今なんて言った?



 「ちょっと待って、本当に?」



 「ああ。ほら」


 差し出された成績表を見る。たしかにそこには、8位と書かれている。



 「凄い…」



 9位を取って悩んでいた自分が馬鹿らしくなってくる。



 「約束通り、遊園地に行ってください!」



 ここまでされたんだ。応えないわけにはいかない。



 「もちろん。次の週末、二人で行くわよ」 



 こうして、私にとって初めてのデートの日程が決まった。

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