作戦4. 自分の魅力を見せつけよう・地獄の特訓編
俺と一ノ瀬の関係は順調にいっている。順調にいっているはずなのだ。
だが何かが足りない。
そう。一ノ瀬が俺のことを好きにならなくては意味がないのだ。
確かに一ノ瀬が俺のことを好きにならなくても俺と付き合ってくれることはあるかもしれない。
しかしそんな保証はないのだ。俺の魅力を一ノ瀬にアピールしなくてはならない。
「‥‥‥‥もうすぐ中間テストなので、勉強を怠らないように‥‥‥」
「それだ!!」
ショートホームルームの時間の担任の言葉に、俺はついつい反応してしまった。恥ずかし過ぎる。
だが!そんなことは置いておいて、中間テストはチャンスだ。ここで俺ができるヤツだということを見せつけてやるのだ。
早速俺は一ノ瀬に連絡をとってみる。
《明日の放課後、またいつもの場所に来てくれ》
《え?要件があるならそのままここで言いなさいよ》
《頼むっ!直接言いたいことなんだ!》
《なら電話でいいじゃない》
電話?電話ってあれだろ?なんかこう、あの、凄いやつ!
《じゃっ、じゃあ電話で!!》
《わかったわ》
プルルルル‥‥‥‥、プルルルル‥‥‥‥‥‥
「もしもし、それで要件って何よ?」
「次の中間テスト、俺が一ノ瀬に勝ったら前に言った通り、遊園地に行ってくれ!」
「はあ!?!?!?意味分かんないだけど、なんで私がアンタと遊園地に行くことになるわけ?」
「遊園地に行ってくれるって言ったじゃないか」
「あ、あれは忘れなさい!!!はぁ‥‥‥それで、アンタは前回何位だったのよ」
「240位だけど?」
「私が何位だったかわかってる?」
「トップ20はキープしてるって聞いたぞ」
「知ってるのは謎だけど‥‥‥。まあいいわ、そんな順位で私に勝てるわけがないし、勝負してあげる」
「ということで、頼むっ!!俺に勉強を教えてくれ!!」
俺は学年2位の成績を持つ、彰に教えを請うことにした。
「また俺に借りを作るのか?」
「この前奢ってやったじゃないか」
ここで引き下がるわけにはいかない。
「まったく‥‥仕方ないな」
「彰‥‥‥‥!」
やっぱりコイツはなんだかんだ言って最高の友人だ‥‥‥。
「ただしこの前の2倍は奢れよ」
最低の友人だ。
そんなこんなで彰による地獄の勉強会が幕を開けた。
「まずは教科書の問題、全部5回やれ」
「ここの理解が甘いな‥‥。解説してやるからその後そこだけあと3回な」
「ここ全部暗記するまで終わらねえぞ」
・
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「ぜぇ、ぜぇ、死ぬかと思った‥‥‥」
なんとか彰の地獄の勉強コースは乗り切った。そして今日はテスト前日。
あとはギリギリまで復習をしまくるだけだ。
一ノ瀬への想いを集中力に代え、俺は歯を食いしばって勉強した。
そしてテスト当日。
「これなら、トップ5も夢じゃない!!」
俺の自信はそこまでのものだった。
ジャンプルーキーにてコミカライズ版を掲載してしております。漫画はツイッターにてイラストなどを投稿している棈木恒賀先生です。
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