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ツンデレ美少女の堕とし方  作者: 藤木一花
1/10

作戦1.テンプレ展開を利用しよう

 俺の名前は前田まえだ すすむ、高校2年生の帰宅部員だ。突然だが俺には好きな人がいる。


 彼女の名前は一ノ瀬(いちのせ) 未来みらい、誰もが認める美少女だ。しかしそんな彼女は、優しさ0と言われている。これは過去に告白してきた男子をあまりにもバッサリと斬り捨てたかららしい。 


 だがそれでも俺は彼女を好きになってしまった。

 きっかけは一週間前、



 教室移動でみんなが物理室へと向かった後、俺は行方不明になった筆箱を探していた。授業が始まってしまうと焦っていたその時、


 「どうかしたの?」


 と、筆箱を忘れて戻ってきたらしい彼女が右手に筆箱を持って声を掛けてきた。


 「えっと‥‥筆箱が見当たらなくて‥‥‥‥」


 俺は恐る恐る答えた。もうその時から優しさ0との噂は流れていて、俺は彼女を怖い人だと勘違いしていたからだ。


 「はい」


 そう言って彼女は俺に一本のシャープペンシルと一つの消しゴムを差し出してきた。


 「え‥‥?」


 いきなりのその行動に戸惑った俺に彼女は、


 「貸してあげるわ。ないんでしょ?筆箱。」


 と、付け足した。

 この瞬間、俺は彼女に惚れてしまった。



 こう考えてみると滅茶苦茶チョロいな、俺。

 まあそんな感じで俺は彼女に夢中になってしまったのだ。

 まあその10秒後に俺の筆箱を彼女が見つけたのはここだけの話だ。


 そして俺は次の日、勇気を振り絞り彼女に告白し、


 「好きですっ!付き合って下さい!!」


 「え?嫌よ。ほとんど話したことも無いのに。」


 見事に振られた。


 それから毎日告白したが、彼女の反応は変わらなかった。いやむしろ、日に日に呆れていった。


 そして俺は思った。このまま続けても意味がないと。

 ラブコメの漫画や小説のようにめんどくさい奴に絡まれている所を助ける、なんてテンプレ展開があれば楽なのに。


 まあそのためしっかりと作戦を考えて挑まなくてはならない。

 だが、今日もう一度告白してからにしよう‥‥。


 今日も校舎裏に呼び出してある。ウキウキして校舎裏に向かうと、彼女が誰かと話す声が聞こえた。

 先約がいたようだ。


 「だから嫌だって言ってるでしょ。いいからもうどっか行ってよ。」


 「いいじゃねえか付き合っても、イイ思いさせてやれるぜ。」


 何やら無理矢理迫られているようだ。まさかのテンプレ展開きた! 


 俺は全力で飛び出した。


 「無理矢理迫るのは良くないと思いますよ。」


 「あ?なんだお前、関係ねえだろ。」


 「関係ありますよ、この後予約入ってるんで諦めて帰ってくれます?」


 「なんだと?ふざけんな!」


 何もふざけてないのに鬱陶しいな‥‥。

 面倒だったので俺はありったけの圧を込めて言った。

 

 「とっとと失せろって言ってんだよ‥‥‥!」


 男は怯み、俺の顔をもう一度見たので睨みつけたら走り去って行った。 


 「くっ、くそ!覚えてろよ」


 使い古された捨て台詞を放って。


 「大丈夫だった?」


 俺は未来に優しく声を掛ける。これであの日の恩返しができただろうか。


 「う、うん。ありがとう//」


 未来は顔をほんのり赤くして言った。そして俺は重大なことに気付く。


 これ、いけんじゃね?


 「っていうことで付き合ってください!!!」


 「嫌。」


 ツンデレ美少女ヒロイン攻略への道はまだまだ遠かった‥‥‥。


 

 


 


 




 


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