彼の親友は愛人?
ぱちくりと瞬きをするロージィー。
「は?」
「驚くと思った。アキは未来が見えるんだ」
「なんだ」
「え?」
「アキは愛人なんだって話かもしれないって思ったんです」
「は?アキは男だよ?」
「分かってます」
「はぁ?」
「なんだ、安心しました。私も不思議な力持っていたりするんですよ?」
「どんな?」
「雨が降る前が分かったり・・・」
「それは、俺にも時々分かったりする」
ロージィーはほほをかく。イクタははっとした。
「そういうことか。そういう感じで分かったりするんだ。アキはその体質に悩んで、高校には通ってないんだ。実家の寺に暮らしている。案外と近くにあるんだよ」
「そうなんですか・・・あの」
「うん?」
「それだけですか?」
「なにが?」
「未来が見えたりするだけですか?」
「ああ、必ずじゃないんだ。時々、ふとした瞬間に見えて、ことが起こるとああ、やっぱり、ってなるらしい。君の雨の降る前の予感、ってやつでなんとなくアキについて理解できたようで俺は今嬉しい」
「はい・・・」
「うんうん。話は今、これくらいだ」
「はい」
「近々、アキに会って欲しい」
「はい・・・」
「うんうん」
ロージーの不安そうな様子に気づかずに、イクタは満足気に何度かうなずいた。
その日は一日中イクタの機嫌がよく、都合も空いたのでふたりは共に下校した。彼女の家まで来ると少し戸惑いながらもキスをして、ロージィーはイクタを見送ったあと、玄関のドアを開けた。
「ただいま戻りました」
メイドがやって来て、カバンを受け取った。
「お帰りなさいませ。奥様がお見えです」
「はい・・・」