デートの帰り
月日は流れ、秋に入った。
「東京で雪降ったって」
「わ~、雪かぁ。来るの早いですね」
「こっちも今年降るんかね」
「どうだろう?降ったら嬉しいですか?」
「うーん・・・なんだろ、それ」
「ん?」
「君って不思議なひと」
「また言われた・・・」
「手、つなぐ?」
「え?」
「今、それで頭いっぱい」
「え、え、え」
イクタはロージィーの片手を、自分の上着のポケットに入れて、手をにぎった。
「しばらく、こうしてないか?」
「それがいいですね」
「それがいいの?」
「はい」
ロージィーの顔が赤らむ。その様子を見て、イクタは微笑んだ。
「一歩前進、っと」
とある日の日曜日、ふたりは遊園地にいた。コーヒーカップや、メリーゴーランド、ジェットコースターなどなどを楽しみ、昼食の腹具合。ロージーはお手製の弁当を示した。
「サンドイッチと・・・これ、ドーナツ?」
「オニオンリングの肉巻揚げです」
「ほうほう」
「オーロラソースにディップして下さい」
「ソースまで手作りなの?」
「マヨネーズとケチャップを混ぜるだけ」
「ほうほう」
エビとゆで卵、刻んだ玉ねぎとツナ、細切りにしたキャベツとカツのサンドイッチにもイクタは感動する。昼食をすませ、午後も遊園地を制覇にまわり、そして夜頃。ロージィーを彼女の家の前まで送って、イクタは帰ろうとした。
「あ、あの・・・」
「ん?」
「今日は楽しかったです」
「俺も。これ何回目?」
ふたりの微笑。
見つめ合う二人。
イクタが言い出す。
「キス、したい・・・」
「わたしもです」
近づくふたり。戸惑いは少しおいて、甘いひととき。
唇と唇と離すと、イクタはロージィーを抱きしめた。