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目覚めし者とそれに続く者。そして本物。
「ーー君は魔法が存在しない現実を知って悲しんだことはない?」
水面に映る自分に向かって問いかける。
水面に映る私は残念そうな顔をしている。
その時。
水面に映る自分から声がした気がした。
「存在しないのなら存在すると思い込むことにすれば
いいんじゃない?」
そう、そんな声がーー。
それは月村麻耶が厨二病に目覚めた瞬間だった。
その頃、
また別の場所にも目覚めかけている者がいた。
彼は空を眺めながらつぶやいた。
「もし魔法か使えたら空だって飛べるんだろうな。
そんな異能の力が自分にも授かっていたらよかったのに……」
空知慎は厨二病にかかりつつあるが、まだ目覚めてはいない。
そしてその二人の意識を遠くから傍観する者がいた。
「また現世で楽しいイベントが見られそうね!」
長い金髪の美女はオッドアイの赤と青の瞳を輝かせて妖しく微笑んだ。
アイザ・キリング。
別名キリングキャット(妖艶な猫)
の二つ名をもつ正真正銘の魔法使いである。