プロローグ
ひんやりとした空気を頬で感じ、次に全身に肌寒さを感じ、雷人は目を開けた。
「布団掛けずに寝ちまったか~」
大きなあくびをしながら目をこすり体を起こしていく。
「あぉ~あ、にしても暗いな。いま何時だ?」
雷人は周囲を見渡し、時間のわかる物を探した。しかし何もない。脳がまるで揺れるような感覚が襲ってきた。
目の前の世界は、果てしなく茶色の地面が広がり、空は薄暗かった。
「………っ!?」
「何で俺、こんな白い服を着ているんだ~!?」
白い服というよりは、着物のようだった。困惑しつつも立ち上がり懐を探ると、古銭が出てきた。
「?」「三日月村の古銭かな?」←知らない人はググってみてね
雷人は他には何も持っていないことを確認し、振り返った。
「!?」
そこには、ただただ水が流れていた。川にも見えなくはないが、まわりに石や草もなく、ただただ地面が半円にえぐれて出来たような所に水が流れていた。
「まあこれだけの状況証拠があれば薄々気付くが……」
「はぁ俺もついに仏の仲間入りか。まあでも現世じゃ休みは引きこもりゲーム三昧。仕事しても上の空。彼女も当然いない。毎日刺激のない生活、いつまで続くことと思っていたが…」
「それにしてもこれが三途の川か?やけに簡素な作りだな」
渡るのに迷いはなかった。現世に未練が…、とかより、この先に何があるのか?という好奇心しかなかった。
女神にチート能力で異世界転生、記憶リセットで生まれ変わり!
どんな選択肢があるのかワクワクするぜ!
わたり終えた瞬間、目の前が真っ白になった。
気絶したわけではない、意識はある。だが真っ白な世界が眩しくも見えるだけだった。