Run honey run(その、いずれ消え去る思い出のためのうた)
掲載日:2018/01/21
皿をついばむ嘴のほうへ
画面は流れ 生活を映す
テーブルクロスを敷いて
ナイフとスプーンで覆う
斜め上へ吹き上がる嘘が消え
風呂場で紋白蝶が蟻に運ばれている
光苔の洞窟へいざなう海辺の町に
かすかな西日が射す
光は輝きを増し
星となり
嘘を飲み込み 毒を飲み込み
地を這う物語の真実を照らしてくれる
残された笑い声の欠片があり
描きつづける川に夢の欠片がある
止められない箸が廊下に落ちたとき
落とされたガラスコップの傷が静かに消える
たえず流れつづける時間を
子供たちは眺めつづけている
瞬きは停止し
白と黒の思い出が風に吹かれる
白と黒の写真の女は
毒と苺の夢を見ている
森の海に迷い込んだ女は
黒髪振り乱して道無き道を駆ける




