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第33話

 

 時間も無いことだし、実験室に戻って来てさっそくアイテム作成に取り掛かる。今回作る眼鏡は以前アキナに作った『錬成職人の眼鏡』と殆ど同じ構造をしているのだが、レンズに特殊な処置をしなくて良い分、それほど時間も掛からないであろう。


 今回は特に材質にも拘り(こだわり)は無く、そういえば廃棄処分品扱いになっている魔導具パーツがあったことを思い出したので、その廃材から寄せ集めて作ることにした。一応金属の種類別に『分解』ができないだけで、そのまま使う分には問題ないのだし、ゴミとして置いておくよりは幾分マシであろう。それに、この廃材パーツにはミスリルも多く使われているので、エンチャントの効果も多少上がるだろうし、無駄にならずに済んでよかったと考えることにした。


 彫金作業台に設置してある魔導具を起動して、金属を一旦炉で溶かしながら必要な形へと加工していく。錬成を起動しながら手早くハンマーで叩いて加工を加えていき、特に失敗することもなく、程なくしてフレーム部分が完成した。後はレンズの加工に取り掛かることになるのだが、今回は元からあるガラス板を整形して用意するだけの作業になるので、こちらはあっという間に完成してしまった。



 アイテム名


 『お洒落な眼鏡』(高品質)


 材料にミスリルと金、銀を含む金属で出来た眼鏡。器用さにプラス効果。


 作成者:那戳(ナタク)



 ただエンチャントを乗せるためだけに作ったのだが、無駄に高品質な品ができあがってしまった。取り敢えず、高品質ならばもう一つ性能を追加できるので良しとしよう。


 さっそく眼鏡にエンチャントを施し、無事に時間内で目的の物を用意することができた。ちなみに今回は『看破』と『射撃精度上昇』を付与しておいた。たぶん、使う人のことを考えるとこれがベストであろう。



「アキ、幻術対策用のアイテムができたので、さっそく装備してもらってもいいですか?」


「えっ!私が装備するんですか?」


「はい。アキは以前メイン職業が忍者系ということだったので、探索系スキルもたくさん持っていましたよね?」


「あぁ、なるほど。確かに取得してましたね。勿論『看破』も持ってましたよ」


「俺も一応取得はしていたのですが、持っていただけで探索系はそこまで使ってなかったので、使いこなすなら本職の人に任せた方がいいと思いましてね。それに、アキなら忍術の『影縫い』でスタン効果も狙えますから」


「そういうことでしたら、りょうかいです!必ずお役に立ってみせます」


「それではギルド本館に向かいましょうか。そろそろ出発すると思うので」



 できたばかりの眼鏡をアキナに手渡し、簡単に使い方を説明してから自分の実験室を後にした。しかし、アキナは元が凄い美人なので、眼鏡姿も非常に似合っており。その姿を真近で見てしまい、つい見惚れてしまいそうになった。


 ちなみに今回表向きは錬金術師として仕事に行くことになるので、二人ともしっかり錬金術師用の衣装に着替えておく。この格好でもそれなりに動くことは可能なので、まず問題はないであろう。



 ギルド本館に着くと、ガレットがロビー入り口付近で待っていた。どうやら馬車の用意も既に終っていたようだ。



「坊主の用意は済んだのかい?こっちはたった今馬車の準備ができたから、これから迎えを向かわせようとしていたところじゃ」


「なんとか無事に用意することができました。アキが装備している眼鏡がそうですね」


「ほぉ、また随分と可愛らしいもんを作ったな。それで、効果はどういったものなのじゃ?」


「それは移動中にご説明しますね。何となくですが、行動力のある二人を待たせてると思うと不安になってきたので・・・・」


「しまった、それをすっかり忘れておった!ほれ、すぐに出発するぞ!!」


「あはは・・・・。流石に二人だけで突撃したりはしないと思いますよ?」



 アキナの言う通り、いくらなんでも二人でそこまで無茶なことはしないと思うが、あまり待たせるとやりかねないとも思えたので、馬車に乗り込み大急いで向かっていく。通りを走り抜けアーネストの店がある近くまで到着すると、大通りに通じる入り口ところで二人が待っている姿が確認できた。どうやら、すでに準備をして外で待機していたようだ。



「遅かったじゃないか。準備に時間が掛かったのかい?」


「すいません、幻術対策のアイテムを作っていました。アーネストさんも、忙しい時間なのに来てくれてありがとうございます」


「いや、礼を言うのはこっちの方だ。ウィルを助けてくれて感謝する。店の方は仕込みは既に済んでいるから、他の連中に任せてきたので大丈夫のはずだ。


 それなりに腕のいい奴も育っているからな。試しに任せてみるのもいいだろう。それに弟子が世話になったんだから、師匠の俺にできることであれば何でも手伝わせてもらうさ。


それと、戦闘になるかもしれないと聞いたので一応弓も持ってきてはいるが、室内戦ではナイフを使うことになると思うぞ?」


「はい、お願いします。俺も室内では太刀は使いづらいので格闘で対処する予定です。まぁ、戦闘にならない可能性の方が高いですけどね」


「あれ?でもアーネストさん、今は手ぶらじゃないですか?」


「俺はアイテムボックス持ちだからな。アテナは俺から受け継いたんだ」


「父上と冒険者をしていた時もアーネストさんが荷物を大量に収納できたから、ポーターを雇う必要がなかったらしいよ。この話を、私と弟は酔った父上から何度も聞かされたものだよ」


「俺はアテナほど容量は無いが、それでも人並み以上には収納することが出来たからな。たぶんアイツは先祖がえりなんだと思う。それに、アンジュの家系にもそういった能力者はいないらしいからな」


「先祖がえりってことは、ご先祖に魔力が高かった方がいたってことですか?」


「何代か前に俺側の家系へエルフの血が混ざったのだと、聞いたことがある。ただ、だいぶ代替わりをしてしまっているから、今じゃ殆ど純血の人間種(ヒューマン)と大差ないがな。その証拠に俺やアテナにはエルフの特徴が現れているのに対して、姉であるアルマは完全に母親似だ」


「なるほど、ということはアテナちゃんのナイスバディー成長計画は・・・・」


「アキナ君。それは面白そうだから黙っていよう!」


「また、とんでもない満面の笑みですね」


「ふむふむ、可愛い系の洋服の出番がまだたくさんあるってことですね。なんか燃えてきました!」


「お前ら、馬鹿なこと言っていないで早く馬車に乗ったらどうじゃ?急いでおったんじゃろうに・・・・まったく」


「それでは、馬車に乗って目的地に向かいましょう。移動中に、作戦を説明させていただきますね」



 調理ギルドに向かうメンバーも揃ったことなので、向こうでの行動についてや幻術の対処方法などを詳しく説明してゆく。まずは錬金ギルドから新しく生み出した野菜を、調理ギルドに売り込みに来たという主旨の話をガレットから伝えてもらい、先にある程度の料理を完成させてから領主に売り込みたいと考えている旨を話してもらうことにする。


 そして、なんとかギルドマスターとの直接交渉をおこない、調理依頼の契約を結ぼうとした際に、この契約書を見せて揺さぶりをかける。この辺はガレットの交渉に掛かっているのだが、まさかガレット相手に他の職員を宛がって交渉はしないだろうから、その辺は大丈夫であろうと信じたい。


 回りくどいことをせずに直接契約書を見せて聞いてみればよいと思われるだろうが、誰が犯人なのかがハッキリしていないため、できるだけ相手側の警戒心を解いた状態でギルドマスターと話をしたいのであれば、それなりに魅力のある“エサ(商品)”の用意が必要だと考えたからだ。


 なるべく穏便に、かつ平和的に解決するには、この作戦がもっとも有効だと思う。後は現場で動きやすい位置取りを、メイン戦力になるであろうアーネストとアメリアに確保してもらい、交渉はナタクとガレットで執りおこなうことになるだろう。アキナは常にナタクの後ろにいてもらい、幻術などを察知したら直ぐに知らせる役割をしてもらう予定だ。



「本当に、よくこんな短時間でそれだけの作戦を思い浮かぶもんだね」


「となると、俺とアメリアは席には座らず出入り口付近に陣取っていた方がいいということだな」


「アーネストさんは、できるだけ不快な態度を前面に押し出して、けん制してくれると助かります。そうすれば、有事の際に犯人も動揺してポカをしやすくなるでしょうしね」


「まったく、悪知恵もよく働くな。それじゃ、交渉はワシと坊主が担当すればいいんじゃな?」


「そうなりますね。そして有事の際は、俺はあくまで出入り口付近に相手を追いやるように動きますので、確保はお二人にお願いします。一応死んでいなければ回復させる手段もありますので、存分に痛めつけてやってください」


「私は先生の後ろで全体の監視兼、相手が行動を起こした時に動きを封じればいいんですね。りょうかいです!」


「しかし、時間のない中でよくそんなアイテムを作り上げたもんだね」


「寄せ集めの材料で作っただけなので、あまり褒められた出来ではないですけどね。ですが、対策用としてなら十分効果を発揮してくれると思います。それに、まだどれだけの幻術かは分りませんから、皆さんも先ほど教えた対処方法をしっかりおこなっておいてください」


「心得た。俺はなるべく目線を下げておくとしよう。その方が演技しやすいしな」


「さて、いよいよ対決だね!」


「アメリアさん、最初は穏便にですよ。あくまで『トマト』の紹介に来た(てい)をとるので」


「分ってるさ!ただ、前回は私は殆ど戦力になれなかったからね。それに今回は室内で人間の相手だから、私も存分に立ち回らせてもらうとするよ!」



 (あはは・・・・大丈夫かしら?)



 まぁ、戦闘の可能性は高くないといっても、アメリアが一番適任なのにも違いないので、今回は存分に頼らせてもらうとしよう。そうこうしているうちに馬車は調理ギルドへと到着した。



 さぁ、いよいよ作戦開始だ!気合を入れて取り掛かるといたしましょう!!



あんな服や、こんな服。色々試してみたいですね(*´▽`*)


(この嬢ちゃんも坊主に似てきたな・・・・)( ̄△ ̄;)


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