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第3話

 

 午前中に作製したポーションを台車に載せて、三人でギルド本館の買取カウンターまでやってきた。ミーシャを探してはみたけれど、どうやら彼女は席を離れているようだ。仕方がないので他の職員に査定を頼み、外食のためギルドの外へと足を向ける。



「ミーシャさんも昼食でしょうか。この時間に訪れると、いたりいなかったりしてますよね。ね、先生?」


「確かに、この前来た時はこの時間に仕事をされてましたね」


「あぁ、職員はローテーションで昼食を取っているからね。たぶん今は休憩中なんじゃないかな。さっきリズも外出したから、たぶん二人で食事に出かけたんだと思うよ」


「へぇ、アメリアさんはいつも昼食はどうなさっているんですか?」


「私はまちまちだね。こうして時間が取れる時は外食に出かけたりするけど、基本的に部屋で済ませてしまうことの方が多いかな。忙しすぎると食べないで研究していることがあって、よくリズに怒られてるよ。君達はいつも外食かい?」


「気分転換にもなるので、だいたい外に出るようにしています。でないと一日中室内作業になってしまいますからね」


「私達も基本的には近場で済ませる事が多いのですけど、今日は宿屋の看板娘のアルマさんにお勧めのお店を紹介されたので、そこに行くことにしたんですよ」


「なるほど、アルマか。彼女も情報通だからね、これは期待できそうだ」


「あれ、アメリアさんもアルマさんとお知り合いなんですか?」


「親同士が仲がいいからね。昔は良く一緒に遊んだものさ。私の幼馴染かな。ちなみに、アテナとも面識はあるんだよ」


「あぁ、アーネストさん繋がりですか」


「そういうこと。最近はお互いなかなか忙しくて会っていないんだけどね。やっと研究も落ち着いたし、今度遊びにでも行くとしようかな」


「査定期間も終了しましたしね。アメリアさんは、次は何の研究をするんですか?」


「う~ん、特には決めていないかな。たぶんまた何かしらの薬剤の研究になるとは思うけど、現在は考え中だね。今はリズの指導を優先しているよ。そう言うナタク君はどうするんだい?私はそっちに凄い興味があるんだが?」


「俺は次の研究では、また食用作物の品種改良をしようかと考えています。寒さに強い穀物類や、痩せた土地でも育つ芋類、栄養価の高い野菜関係、それと調味料の研究ですかね。此方が俺の専門分野なので、今回はそっち方面の研究を進める予定です」


「なるほどね、父上が喜びそうな研究ばかりじゃないか。研究が上手くいったら、また交渉の手伝いは任せてくれたまえ」


「その時はよろしくお願いします。それと、農耕器具の開発もしないとですかね。まだまだやりたいことがたくさんありますよ」


「う~ん、私は何を研究しようかな・・・・。何かしらの薬や病気の研究でもいいのだけれど、この手の研究は時間がかかるからね」


「それでしたら、今度お勧めの魔導具があるので作ってプレゼントしますよ。自分用でも欲しかったので、もう一台作っておきますね」


「おぉ、本当かい!?それは楽しみだ」


「アキはレポートの進みは順調ですか?」


「はい!たぶん今日明日には完成できると思いますよ」


「了解です。、完成しましたら一度目を通して修正箇所がなければそのままガレットさんに提出しておきますね。そしたらアキもブロンズになれますので、今度は自分に合ったテーマを見つけて研究をすることができるようになりますよ」


「うぅ。楽しみ半分、不安半分ですね。私にも上手くできるでしょうか?お二人が凄すぎて、なんだか付いていけるか不安になってきました・・・・」


「最初は誰しもそんな感じですよ。そこから新しい発見した時はたまらなく楽しいですからね。是非その体験をアキにもしてもらいたいです」


「そうだね。私も初めて作った薬剤が人の助けになって、『ありがとう』の言葉をかけてもらってから錬金術にドップリとはまったからなぁ」


「なんか、そういうの凄くいいですね」


「私達は感謝されたくて研究をしている訳ではないけど、そうやって言ってもらえると心がほっこりして優しい気持ちになれるよ。さてと、そろそろ中央通りに到着するけど、その麺料理のお店はどの辺りにあるんだい?」


「えっと、お店の名前は『ラ・デューチェ』って言うらしくて、中央噴水広場から中央通りに入ってすぐのところらしいです。お皿に麺とフォークが描かれた黄色い看板が目印って言ってましたね」


「随分と立地の良い場所ですね」


「なんでも、すぐ近くに大きなレストランがあって、なかなかの激戦区らしいですよ。ちなみに、アーネストさんのところのお弟子さんが独立して建てたお店らしいです」


「おっ、ここじゃないかい?確かに立地はいいが・・・・客足は疎らかな?」


「本当ですね、アルマさんの話だと彼の麺料理はどれも一級品だって話だったので、かなりの混雑を予想していたんですけど・・・・」


「取り敢えず入ってみますか。食べる前から味をとやかく考えても仕方がないですからね」


「そうだね、私もお腹がぺこぺこさぁ」



 当初の目的のお店も見つかったことだし、さっそくアルマお勧めのお店に入ろうと足を向けようとしたら、突如後ろから痩せ型で釣り目の男性から声を掛けられた。



 (先ほどから此方を伺う妙な気配がしていたんだが、もしかしてこの人か?)



「お兄さん達、そこの店に入ろうってのかい?それなら止めときな。そこの店は不味くて不衛生だし、料理人もヘボいから食ったら絶対後悔するぜぇ。


 それよりオレのお勧めは、通りの反対側の大型レストラン『ドン・ボリラ』だね!料理は美味いし、お洒落で品数も豊富、しかも店員も美女ぞろいときてる!もう、行くっきゃないだろ!」



 (随分と胡散臭そうな人物に絡まれましたね。なんとなくだが感じた気配は複数人のものだったので、もしかしたら仲間が居るのかもしれませんし、一応警戒はしておきますか)



「なっ!何ですかあなた・・「態々ご忠告ありがとうございます。ですが、此方のお店は知り合いのお勧めのお店なので、今のは聞かなかった事にしますね。それに美女ならご覧の通り、飛び切りの二人で間に合っていますので。それでは失礼しますね、二人とも行きましょうか」・・・・」



 普段冷静なアキナが珍しく食って掛かりそうだったので、被せ気味に断りを入れておいた。この男性なりの親切心なのかは分らないが、確かにいきなり知り合いお勧めの店を馬鹿にされたらそれは腹が立つだろう。


 しかし、ここで口論をしたらどんな騒動に巻き込まれるか分らないのと、もしかしたら、悪意があってそれがこの男性の狙いかもしれないので、下手に騒いだら余計に店に迷惑がかかるかもしれない。ここは無難に対処しておいた方がいいだろうと判断した。


 振り返って二人にアイコンタクトの代わりにウインクをしてから店内に入ろうとしたのだが、二人が付いてくる気配がなかったので、もう一度振り返ってみると二人揃って顔を真っ赤にしてその場に立ち尽くしていた。



「うぅ、だから不意打ちはずるいです(ぼそ)」


「な・・ナタク君が私のことを美女って(ぼそ)」


「??」



 少し遅れたものの、二人が再起動したので、そのまま一緒に店内へと向かう。後ろの方から「けっ、後悔してもしらねぇからな!」と先ほどの男性が何か言っていたが、あえて聞かなかった事にした。


 店内に入ると、先ほどの男が言ったような不衛生とは間逆で、かなり隅まで掃除が行き届いている清潔感のある店内に、家具や小物もセンスの良い品々が綺麗に並べられていた。だが、昼時なのに空席が目立つので、もしかしたら先ほどの男性のような人物がなにかしらの妨害でもしているのかもしれない。


 勝手に席に座って良いものかと悩んでいると、すぐにウエイトレスの少女が此方に駆け寄ってきてくれた。



「お待たせしてすいません!三名様でよろしいでしょうか?」



 どうやら奥の席に居るお客さんへ接客中だったようだ。年の頃は今の自分達より少し幼いくらいだろうか、クリッとした目が特徴的な、可愛らしい少女だ。



「はい。三人で座れる席をお願いしますね」



 にっこりと微笑みかけると、なぜかこの少女まで顔を赤くして固まりだした。


 (何だろう?ここ最近こんな現象に良く立ち会うな。それと、何故か背後から寒気がするのは気のせいだろうか?)



「はっ!そ、それでは席にご案内しますね。こちらの窓際の席へどうぞ!!」



 我に返ったウエイトレスの少女の案内で席に着くと、隣の席に意外な人物が一人で席に腰掛けて食事を楽しんでいた。



「・・・・むぐむぐ。あれ、アメリアとお客さん達だ。やっほ~」


「アテナじゃないか。この時間に街にいるなんて珍しいね、今日は非番かい?」


「アテナちゃんこんにちは。昼間に街でお会いするのは初めてですね」


「・・・・私は悪くないのに謹慎中。パパから後一週間街から出ちゃダメだって言われたから、現在食い倒れなぅ~。リリィおかわり~、はやくね~」


「はぁ、太っても知らないよ。同じのでいいの?」


「・・・・お~け~。ちなみに、私どんだけ食べても太らないから大丈夫~」


「あの時のアーネストさんはかなり心配してましたからね。家の外に出してくれるだけもまだ優しいのでは?」


「・・・・♪」


「ナタク君、たぶんだがアテナは抜け出してきたんだと思うよ。この時間お店はかなり混雑してると思うから・・・・」


「ですよね。この前私が昼に宿屋にいた時は、アンジュさんとアルマさん大忙しでしたし・・・・」


「あ・・・、なるほど」


「・・・・この時間は抜け出すのとっても簡単。お店忙しいから追っ手もなっしんぐ♪」



 確信犯か。まぁ、本職は冒険者なのだからいいのであろうか。街中でも冒険者の仕事はあるにはあるのだが、高ランクの者は護衛以外そういった仕事を請け負わない暗黙のルールが存在すると聞いたことがある。なので、アテナは暇を持て余しているんだろう。



 (それに彼女、接客とか苦手そうだしなぁ)



「さてと、私達も注文をして食べましょうか。アテナちゃんのお勧めってありますか?」


「・・・・お勧め?ここの、どれもおいしいよ?でも、私は『香草と干し肉のパスタ』が大好き!」


「最近アテナはそれしか食べないよね。お冷お持ちしました。此方がメニューになります」


「おぉ、なかなか種類が豊富だね。そうだな・・・、では私は『シェフのお勧め、日替わりランチ』というのにしようかな?」


「私は、アテナちゃんのお勧めにしようかな。それと、サラダのセットをお願いします」


「俺は『ホーンラビットのステーキ』と『六種の野菜と特性ハーブのスープパスタ』ってのにしましょうかね。どんな野菜とハーブを使っているか楽しみです」


「は~い。それでは暫くお待ちください」



 そう言って、リリィと呼ばれていたウエイトレスの少女は足早に厨房の奥へと戻っていった。



 さてさて、どんな料理が出てくるのか楽しみにしていましょうか!

うぅ・・(〃・ω・〃)


きゃは♪(*/▽\*)


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