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第62話  エピローグ1-2

このお話で、長かった一週間の奮闘記は終焉となります!


 

 浅く覚醒した意識と共に重たい瞼をゆっくり開けると、どうやら何処かの室内に運ばれたようで、ちゃんとしたベッドに上に寝かされていた。



「知らない天井だ・・・・」


「驚きました、先生もそういったお話をお読みになっていたんですね」



 つい転生してから一度は言ってみたかった台詞を口にしてしまったところで、まさか返事が返ってくるとは思ってもみなかった。これは実に恥ずかしい。


 横を振り向くと、少し呆れた表情のアキナがベットの横の椅子に腰掛けて此方を伺っていた。



「アキナサン、イツカラソコニ?」


「先生が倒れてから、ずっと先生の傍にいましたよ。凄く心配したんですからね!」


「お恥ずかしい、今のは忘れてください」


「はぁ、分かりました。それで、お体は平気ですか?」


「そうですね、特に問題なさそうです。俺はあれからどれくらい寝ていましたか?」


「まだそれほど時間は経っていませんよ。そうですね、だいたい三時間程でしょうか」


「成程、それでここは?」


「今は領主様のお城の客室にいます。先ほどまで、お医者様や皆さんも一緒にいたのですが、診察でも特に命に別状は無いとの診断でしたので、今は交代で看病しようという事になりました。まさか、こんなに早く目が覚めるとは思ってなかったので、少し安心しましたよ。お医者様のお話だと、疲労もあるから長くて丸一日は眠っているかもと言われていたので」


「そうだったのですか、心配をお掛けして申し訳ありませんでした。それで、あの後ってどうなったか聞いてもいいですか?」


「それでは先生が蹴られた辺りから話しますね。まず、領主様ですが、あの後かなり皆から怒られていましたね。特に、アメリアさんが凄い激怒して、何度もガントレット付きのコブシで領主様を殴り飛ばしてました。もしかしたら、今の先生より重症かもしれません・・・・」


「あはは・・・・」


「私も最初かなり怒っていましたが、あそこまでボコボコにされた人をそれ以上追及することができませんでしたよ。それに一緒に戦ったメンバー全員が先生がどれだけの活躍をしたかを話して、さらに顔を青くしていましたね。それで急遽予定を変更して、王都への視察は明日に見送るって言ってました。目が覚めたら先生に謝りたいそうですよ」


「お忙しいのに申し訳ないですね」


「いえ、それこそ自業自得じゃないですか?最初アメリアさんが領主様を縄で縛り上げて王都へ送りつけようとしていたのを、モーリスさんが必死で止めていましたし。今は、別室で皆からお説教を受けている最中だと思いますよ」


「針の(むしろ)というわけですか。それでは、目も覚めたことですし助け出しにいくとしますか。領主様とはこれからも良好な関係でありたいですしね」


「お体は本当によろしいのですか?」


「はい。少し節々が痛いですけど、これは戦闘での動きすぎが原因ですので問題ないですよ。倒れたのは、脳震盪と疲労からだと思いますし。単に領主様の攻撃は運がなかっただけだと思います」



 そう言ってベッドから立ち上がると、少し眩暈を覚えたが、それをアキナに悟られないよう毅然と歩き始めた。アキナも最初は心配そうにしていたが、ナタクの様子に諦めたのか、皆が待つ部屋まで案内してくれた。



「此方が皆さんがお待ちのお部屋ですね。領兵さん達は自分達の休憩所に戻られましたが、冒険者の方々や他のメンバーは全員此方でお待ちです」



 そう説明を受けて部屋に入ると、まさに領主様が部屋の真ん中でアメリアとガレットに囲まれてお説教されている真っ最中であった。ガレットも忙しいだろうに、またも此方に戻ってきたようだ。



「なんで、お前は娘のことになるとこうもポンコツになるんじゃ。いい加減その癖を直せとさっき言ったばかりではないか!この馬鹿息子!!」


「父上には失望しました。いくら誤解をしたからといって、今回の事件解決の立役者を昏倒させる領主がどこにいますか?しばらく口をきいてあげませんから覚悟してください」



 (大柄の領主様があんなに小さくなってる・・・・。特に最後のアメリアさんの一言がかなり響いている感じだ。話がこじれる前に、急いで助け出そう!)



「あのぉ、その辺で許してあげていただけませんか?俺は大丈夫ですし、気にもしていませんので・・・・」


「なんだい!って坊主じゃないか!?体はもういいのかい?」


「おぉ、ナタク君!もう目が覚めたんだね。よかったよ、凄い心配したんだ。私の馬鹿親父がほんと済まない事をして申し訳ない。今たっぷりお灸を据えていたところさ!」


「はい、身体の方は大丈夫ですので、領主様を許してあげてくれませんか?勘違いとはいえ、娘であるアメリアさんの身を案じての行動ですので、悪気があったわけでは無いと思います。それに、これからの大切なビジネスパートナーである領主様が、俺のためにこれ以上責められるのはあまりよろしくないですし、俺も全く気にしていませんので」


「とは言ってもね・・・・。まぁ、本人が許しているのにこれ以上私達が怒ってもしょうがないか。父上、ちゃんと反省していますか?」


「はい・・・海よりも深く反省しております。だからお願いだ、アメリア。口をきかないとか悲しいことを言わないでおくれ・・・・」


「まったく。坊主や、許してくれて感謝する。それと、息子が迷惑をかけてすまなかったね」


「いえ、勘違いされるような状況だったのもいけませんでしたし、本当に気にしていませんから。運が悪かったということにしましょう」


「ナタク君、本当にすまなかった。本来であれば真っ先に感謝を述べなくてはならない私が、勘違いとはいえ君を昏倒させてしまうとは。てっきり私は、君はアドバイザーとして現地で活躍していると思ったのだが、まさかそこまで大活躍してるとは思ってもみなかったよ。街を救うために戦ってくれて本当にありがとう」


「いえ、当然のことをしたまでですので、どうか顔を上げてください。そういえば、他の方々はどこに行かれたのですか?この部屋にいると伺ってきたのですが?」


「流石に領主に説教をするところを皆に見せるわけにはいかないからね、先に別室に用意してある食事会場に移ってもらったのさ。まったく、ワシも忙しいというのに何度も世話をかけよってからに」


「あはは・・・・お疲れ様です」


「母上も申し訳ありません。以後気を付けます・・・・」


「それじゃ、ワシはギルドへまた帰るとするさね。今日は向こうに泊まって仕事をするから、もう呼ぶんじゃないよ!」



 そういって、ガレットは部屋を後にしていった。本当に忙しそうだ、それなのに申し訳ない。



「さて、それでは私達も会場に移動するとしようか!アーネストさんの手料理も捨てがたかったけど、せっかく家の料理人が頑張って用意した食事が無駄になってもいけないからね!今日は領兵も含めて無礼講で宴会にしようじゃないか!父上よろしいですね?」


「あぁ、祝賀の空気を壊してしまったせめてもの償いだ。旨い飯と酒をできるだけ提供させてもらうとしよう。ナタク君、お礼は正式な場でまた改めて言わせてもらうが、今日は本当にありがとう。それと、さっきはすまなかった」


「いえ、お気になさらず。領主様のアメリアさんに対する愛情が痛いほど伝わりましたから」


「ナタク君は上手いことを言うね、確かにあの蹴りは痛そうだった」


「うぐっ、ホントウニスマナイ・・・・」


「もう!本当に気にしていませんって。今のも偶然ですからね、アメリアさんも許してあげてくださいよ!」


「しかたない。君がそこまで言うなら許すとしようか。さて、それではさっそく会場に向かおうか。クロード、案内を頼むね」


「畏まりました、お嬢様。旦那様も、いじけていないで行きますよ。領主として、あちらでの挨拶もあるのですから」



 (おぉ、クロードさん部屋にいたのか!気配が全くしなかったから気がつかなかった。流石は、一流の執事といったところか)



 クロードの案内で城の一階に降りて、大きな部屋へと通される。そこには今日共に戦ったメンバーが全員集まってすでに宴会を開始していた。



「よぉ、色男!!もう身体はでぇじょうぶなのか!?」


「おぉ、思ったより早く目覚めたようだな。親友がすまなかった。俺からも後できつく言っておく」


「・・・・無事でよかった。料理とってもおいしいよ?」


「ナタクさんご無事そうで何よりです。旦那様を止められなくて申し訳ございませんでした」



 皆心配をしてくれていたようで、一人ずつ声をかけに来てくれたので全員にお礼を言って回った。その後は、領主の挨拶が始まり、御礼と謝罪を述べた後に感謝をこめてと領主の秘蔵のお酒をかなりの量振舞われた。此方の世界では今の年齢での飲酒は合法らしいので、気にせずに頂くことにする。



 (うむ!初めて此方で飲んだが、どれも美味い!!)



 こうして、長かった転生してからの一週間を無事過ごす事ができたのであった。


さぁて、今日は飲むぞ!ヽ(*´∇`)ノ


ここまでのご愛読、また今までたくさんのアクセス、並びに評価・ブックマーク・感想など誠にありがとうございました!これからも皆様に楽しんでいただけるよう頑張って執筆は続けていきますので、この作品をよろしくお願いいたします!このお話で本編としては第一章完結とさせていただきます。続きます、第二章もどうか変わらぬご愛読、何卒よろしくお願いいたします。


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