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第61話  エピローグ1-1

 

「・・・ねぇ、キミ起きなって!ねぇってば!!」



 そんな、どこか聞き覚えのある声で目を覚ます。まだ、意識が覚醒しきっていないためか、随分と辺りが明るい様子だった。体の疲労感も消えていたのでどうやら自分はかなりの時間眠っていたようだ。



 (って!明るいどころではない、真っ白ではないか!!)



 自分はここを知っている。そう、丁度一週間前にアルカディアの世界へ招待されたあの空間ではないか。ということは自分は・・・・



「やっと起きた。本当お寝坊さんだね、キミは」


「あなたは、ユーミア様?」


「そうですよ~。超絶ぷりてぃ~が~るのユーミアちゃんです!」


「ということは、俺は死んだのですか?」


「・・・・っぷ。あっははは!流石にあそこまで頑張って、最後にあの蹴りで死んでたら間抜けすぎるね。大丈夫、キミは生きているよ。


 ちょっとお話がしたくてここに呼んだだけですから、びっくりしちゃった?(にやにや)」


「あはは・・・。そりゃ、いきなりここに呼ばれたら驚きますよ」


「うんうん、やっぱりキミは面白いね!ボクの世界に招待してよかったよ」


「それはどうも・・・・」


「むむ?拗ねたのかい?可愛いね♪」


「・・・・降参です。それで、俺をここに呼んだのはどうしてですか?お話があるとの事でしたが」


「おぉ、そうだった!まずは、ボクの願いを頑張って叶えてくれてありがとう。これからもキミの事を気にかけて観ているから、存分に活躍してね。


 それと、周りの人間を育てようとしてくれた事も凄く嬉しいよ。キミってほんと期待以上のことをやってくれるから、観ていて飽きなかったよ」


「まだ地盤を固めている最中ですけどね。これからも頑張らせていただきますよ。正直、今はかなり楽しいですしね」


「うんうん、これからも期待しているよ!しかし、キミに刺激を受けて成長すればいいなと思って相性の良さそうな人物が多いところに転生させたんだけど、予想以上の成果にビックリだよ。これからも切磋琢磨して頑張ってね」


「アキを俺の近くに転生させたのは、そういう意図があったのですか」


「あぁ、彼女かい?その子もそうだけど、他の子達もだね。いやぁ、人がどんどん成長していく姿を眺めるのって堪らなく楽しいよ。キミには本当に感謝だね、これからもよろしく~」


「解りました。粉骨砕身で励むとしますよ」


「そうそう。それとここに呼んだのは、もう一つの理由があってね・・・・」


「あぁ、“悪魔の書”についてですか?」


「察しがいいね。まさにそれだよ」


「俺も驚きましたよ。まさか、転生してこんな直ぐにあの本絡みの事件に遭遇するとは思ってもみませんでした」


「ボクもそこは同意だよ。転生者達は最初はステータスが低いから、なるべく安全な場所を選んで送り出しているんだけど、今回は何者の手によって厄介な代物を紛れ込まされたようだね。


 しかも、あの本は発動するまで普通の魔導書と変わりない代物だから発見が難しいし、腹立つことに『隠匿』のエンチャントまで施されているから、ボクでも見つけるのが困難だったんだよ。


 これを創った魔族の魔導師は素直に凄いと思うけど、これのおかげで何度も国を滅ぼさせられてるから、ボクはあの本がだいっきらいだよ!」


「ユーミア様でも難しいのですか」


「う~ん、その辺は見事と言えるね。発動すれば感知することができるのだけど、第二段階の“進化”時点でかなり厄介な相手になるからね。今回はキミの機転で第一段階の“変化”の時点で倒してくれて助かったよ。“変化”の期間は短いから、殆どのケースで“進化”まで進んでしまうことが多いからね」


「えぇ、今回も後1時間もしたら次の段階に変わってしまうところでしたから、正直危なかったですよ」


「本当、キミがあの場所にいてくれてよかったよ。しかし、よく成長の度合いが判ったね」


「ゲーム時代でさえ散々苦しめられましたからね、かなり念入りに調べましたよ。ちなみに、俺も“変化”の状態のものしか知りませんが、成長度合いは元になった魔物との大きさの比較と、体に浮き出た紋章で判断できますよ。これは、エルフの里の古文書に記載がありました」


「そうなのか、ボクも今度調べてみるとしようかな・・・・」


「しかし、手にした者には『自身の望む結果が真実のように記載されている“希望の書”』、それ以外の者にとっては『厄災を振りまく“悪魔の書”』とはよく言ったものです。今回犠牲になったドロモンさんは、いったい何を願ってあの本を手に取ったんでしょうね?」


「そうだね。ちなみにそのドロモンくんだけど、過去を(さかのぼ)って調べてみたら、本来彼は人の身体を治したい一心で研究をしていた錬金術師だったんだよ。本当だったらキミに刺激を受けて成長してくれていたかもしれない子だっただけに、とても悔しいよ」


「やはり、あの本に性格を歪められた被害者でしたか・・・・」


「そうみたいだね。彼があの本を手に入れたのは5年前。それだけの期間、あの本に侵食され続けたみたいだね。早い者だと数週間で本に飲み込まれて“変化”の状態になってしまうから、それだけ彼の精神が強かったということだろうね。彼の願いは、キメラの研究を通じて『全ての人が健康な身体を手に入れること』だったから。性格を歪められなければ、きっと立派な研究者であったとボクは思うよ」


「だからこの“悪魔の書”関係の事件は後味が悪いんですよね。確か“七罪”を制御できなくなるんでしたっけ?」


「そうだね、『色欲』『強欲』『嫉妬』『憤怒』『傲慢』『暴食』『怠惰』これらの感情が抑えきれなくなるはずだよ。ただ、彼の場合“変化”の状態になるまで『暴食』は押さえ込んでいたし、『怠惰』にいたっては死ぬまで律しきっていたからね。だからこそ、本に飲み込まれることもなく5年も耐え切っていたんだろうけど、本当惜しい人を亡くしたよ・・・・」


「彼は、無事に輪廻の輪には帰れましたか?」


「あぁ、さっきキミがここに来る前に浄化をしてボクが直接送ってあげたよ。次産まれてくる頃にはもっと平和な世界にしてあげれるといいな・・・・」


「それなら、なおさら頑張らないとですね」


「そうだね!さっきも言ったけど、凄い期待しているよ」


「ありがとうございます、頑張りますね。そういえば、アキから聞いたのですが『日本人御用達バラエティー三点セット』って日本人全員に配ったわけではないんですか?」


「うっ!そうだね・・・・。今回の転生者ではキミだけだったかな・・・・(遠い目)」


「忘れたんですね」


「ちがっ!・・・入れ忘れたんじゃなくて、1セットしか用意してなかったんだよ!特別って言っただろう!?」


「はぁ・・・・、解りました。日本人としてお米が食べられない辛さは解るので、俺の方で増やして流通させますね。俺も彼等を敵には回したくないので」


「あはは・・・・、よろしく頼むよ。しかし、キミ達日本人って変わっているよね?たかが穀物の一種類でしょ?なんでそこまで拘るんだい?」


「俺は怒りませんが、人によってはキレると思いますのであまりお米を馬鹿にしない方がいいですよ。温厚な日本人を怒らせたかったら、炊き立てのご飯を床にぶちまけて挑発すれば大抵怒り心頭だと思います」


「そ・・・そうなのかい?」


「えぇ、私達は『お米一粒一粒にお百姓さんの愛情がこもっているのだから大事に食べなさい』と教わりながら生きてきましたからね。知らない土地に行くと、必ず恋しくなる食材の一つですよ」


「なるほど・・・・。それじゃ、今度転生者を招待する時までには用意しておくことにするよ。それまでの間、キミに任せるね」


「えぇ、何とか土地も確保できそうなので、帰ったら色々準備に取り掛かるとしますよ。漸く鍛冶仕事もできそうですしね」


「そういえば、キミ鍛冶師なのだと思ったらずっと錬金術ばっかりだったもんね。ボクも炉のことなんて全く考えていなかったよ。そちらでも、きっといい出会いがあると思うからよろしく頼むよ。工業の発展に鉄製品は不可欠だしね」


「えぇ、最初は農耕具の開発になるとは思いますが。まぁ、色々作って楽しむとしますよ。まだまだやりたいことがたくさんありますしね」


「うんうん、楽しく観させてもらうよ!それじゃ、そろそろキミを元の場所に送るとするね。長々と引き止めてしまって申し訳なかったね。とても楽しい時間だったよ!」


「俺も、色々聞けてよかったです。今度教会に行ってごあい・・・・あぁ!!!」


「なんだい!?いきなり大きな声を出して!」


「ユーミア様にお願いがあったんですよ!俺、なぜか此方の世界に来てから女難の相に悩まされて困っているんです。今日ここに飛ばされたのもそれが原因だと思っているんですけど!」


「女難の相?ボクはそんなの付与した覚えはないけど・・・・ちょっと調べてみるね、どれどれ??」


「お願いします。かなり気をつけて生活しているのですが、ふとしたタイミングで発動するらしくてかなり困っているんですよ」


「う~ん、体の方にはやっぱり問題ないから魂の方かな?どれどれ・・・あっ!確かに似た効果を持つ特性が付与されているね」


「本当ですか!?是非消去をお願いします!!」


「できなくはないんだけど・・・・。かなり魂に定着しているから、無理に剥がすと人格崩壊や下手したら死んでしまうかもしれないけど、本当に消していい?」


「俺はこの特性と共に生きる事にしました!消さなくて結構です!!」


「了解、ボクもその方がいいと思うよ。どうやら、前の世界の神様から付与された物みたいだけど、悪いだけの物じゃなさそうだからね」


「そうなのですか。でも、特にステータスには出ていませんでしたよね?」


「これは隠しステータスみたいな物かな?ボクみたいに魂を調べることができないと解らないことだから気にしないでいいと思うよ。ちなみに前の神様の付与だから、ボクはこの内容を教えられないけどね~」


「ぐぬぬぅ。気にはなりますけど諦めるとしますか。それでは、色々ありがとうございました」


「此方こそ!それじゃ、また会おうね♪」


「はい。今度から教会で御挨拶しにも行きますね」


「おぉ、いいねそれっ!もし用事がある時はその場で伝えるとしようかな?それじゃ、また元気にボクの世界を楽しんでおくれ」


「はい!では、また!!」


「それじゃ、送るね!まったね~」



 そう言って、ユーミアはナタクの足元に魔法陣を展開すると、眩い光と共に彼はアキナ達の待つ世界へと再び帰っていった。




「うんうん、やっぱり彼は面白いな。今度はどんなことをやってくれるのか、今からとっても楽しみだ!」




 そう言って、一人残った幼い姿の少女は実に楽しそうにひとりごちるのであった。




やっほぉ~!ユーミアちゃん再降臨だよ~♪ヾ(*´▽`*)ノ



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