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第51話  転生7日目1-8

 

 外の気配に気がついていたのはどうやらナタクとガレットだけだった様なので、取り敢えず様子を伺うことにした。



「外が騒がしいみたいですけど、どうしたのでしょうか?何かを言い争っているみたいに聞こえますが・・・・」


「声の感じだとクロードではないね。おい!アレックス!!どうやらお前にお客の様じゃぞ」


「なに?それは変だな。今日はこの後食事をして王都に旅立つ予定だったから、これ以上の来客予定はなかったはずだが?


 もしかしたら今朝会議をしていた魔物について、何か知らせが来たのかもしれん。メアリー、扉を開けて外の様子を見てくれ」


「畏まりました」



 そう言ってメイドのメアリーが扉をゆっくり開けると、そこには廊下で二人の男性が押し問答を繰り広げている真っ最中であった。しかも片方の男性は杖をついているにもかかわらず、騎士(ナイト)風の男性を引きずりながら前へ前へと進んでいる。



「アーネストさん、困ります!現在旦那様は別件で会談中です!!」


「えぇい!それは何度も聞いて知っている!!だが俺には時間がないんだ、アテナを救えるためなら俺はどんな罰でも受けると言っているのだ!!いい加減放せ、モーリス!!」


「なりません!あなたに何かあったら、今度は私がアルマに会わす顔がありません!もうすぐ予定されている会談終了の時刻になりますので、どうか堪えてください!!」



 遠目から唖然としてその光景を眺めていると、反対側の廊下からクロードが丁度戻ってきた様だった。



「これはアーネスト様、お久しぶりにございます。冷静なあなたが珍しくかなり取り乱しておいでですが、いかがされましたか?」


「おぉ!クロードか、久しいな。という事は、アレックスは中にいるだろ。頼む、ここを通してくれ!娘が、アテナの命が危ないのだ!!」


「どうやら只事ではございませんね。解りました、すぐ旦那様にお伝えしますので「それだけ大きな声を出していれば聞こえる!アーネストだろ、中に入れてやれ!」・・・・畏まりました、それでは中にどうぞ。モーリスも付いてきて下さい」


「すまない。恩に着る」


「は!了解いたしました」



 そう言って二人の男性が室内に入ってきた。杖をついた男性は領主と同世代であろうか。銀髪を綺麗にまとめて後頭部で縛り、若干強面だが非常に凛々しい顔立ちをしている。青い瞳には不安の色を浮かべ、非常にこの人が焦っている様子が伺えた。どうやら右足が義足の様で、それを庇う様に杖をついているようだ。だが、先ほど騎士(ナイト)の鉄鎧に身を包んだ男性ごと引きずっていたことを考えると、そのハンデをものともしない程、身体を鍛えているのが見て取れた。この人がアーネストと言うらしい。



 (しかし、どこかであった気がするのだけれど気のせいか?)



 続いて入ってきた男性は、20歳くらいの青年だった。全身を立派な装飾がなされた鉄鎧に身を包み、ひと目でこの人が位の高い騎士(ナイト)の職業についているのが見て取れる。先ほどの対応から察するに、どうやらここの領軍の関係者のようだ。顔立ちは爽やかなお兄さんといった感じで、非常に優しそうである。ただ、アーネストを止めることにかなり体力を使ったのか、姿勢は崩していないがその顔には非常に疲れの色が濃くでていた。



 (この方がモーリスさん・・・って、あっ!!


 この人、初日に宿屋を紹介してくれた領兵さんだ!服装が違ったので最初に気が付かなかった)



「なかなか呼んでも来てくれないお前が、私の所に来るとは珍しいな。先ほど聞こえたが娘のアテナになにかあったのか?」


「会談中にすまないが、どうしてもお前の手を借りなくてはならなくなってな。娘が昨日からこの街に帰って来ていないのだ。必ず門限には帰ってくる子なのに、これはおかし過ぎる。


 どうやら最近出没した大型の魔物の調査依頼をその日の朝に受けたらしいのだが、きっとそこで何かあったに違いない!頼む、お前の力で娘を助け出してくれ!!」


「大型の魔物のことは俺も聞いているし、先ほどすでに小隊をいくつか編成して調査に向かわせたところだから安心しろ。というか、冒険者が一日家を空けるなんて珍しいことではないだろ、流石に慌て過ぎだ」


「いや、あの子に限って無断外泊などするはずがない!きっと怪我をして動けなくなっているに違いないんだ!一刻も早く・・・・」



 (なんか、領主様と同じタイプ(娘スキー)な気がしてきましたね。隣にいるクロードさんにでも聞いてみますか)



「クロードさん、あのお二人はどういったご関係なんですか?」


「アーネスト様は旦那様の幼馴染にございます。昔からとても仲がよろしく、よく共に行動をなされておりまして、時には身分を隠して冒険者としても大活躍なさっていた時期もあったのですよ。お二人とも当時は非常にヤンチャでしてな、我々も散々手を焼かされたものです。


 その後も数多くの活躍をなされて、いつしかPT全員でゴールドクラスまで駆け上り、一時期はこの街で話題の冒険者として有名になった程なのです。引退した今でも仲はよろしいままなのですが、お互い仕事が忙しく、たまに酒を酌み交わす程度しか会えてはいないのですがね」


「なんとなく想像できます、お二人ともかなりお身体を鍛えられていらっしゃるので。引退はやはり、アーネストさんのお怪我が原因ですか?」


「左様でございます。あの怪我は、とあるクエストでアーネスト様が旦那様を庇った時に負ったモノらしいのです。本人は何度も気にするなと言っておられますが、今でも旦那様はそのことを気に病んでいらっしゃる様で、今回ナタク様のポーションを購入しようとしているのは、そういった経緯もあるのですよ」


「領主様なら再生のポーションなんて、すぐにでも取り寄せることができそうな気もしますけど」


「実は、同時に左腕も負傷されて以前の様に上手く動かすことができないそうなのです。どうやらどこかの筋を完全に断裂してしまったようで、日常生活は問題なく過ごせるまでに回復はできたそうなのですが、以前の様に弓で獲物を射抜くことができなくなってしまわれたそうです。


 両方同時に治療しようとすると、お医者様の話だと等級1の再生ポーションか等級2の高品質の物でないと治す事ができないと言われてしまったらしく。なんでも、通常の等級2の再生ポーションですと、一生に一度どれかの部位しか治療できないらしいのです」



 確かゲーム時代にも似たようなクエストが存在していたのを覚えている。プレイヤーには通常の等級2の再生ポーションでも何度も治療可能だったが、NPCにはそれが適応されてはいなかった。あれは、てっきりクエストの難易度を上げるために設定されていた条件だと思っていたが、どうやらプレイヤーの身体が特別仕様なだけだったようだ。



「現在はお二人とも落ち着いてそれぞれ別の仕事をなされていて、たまに会って昔話に花を咲かせながらお酒を嗜む間柄でございます。それにアーネスト様は料理の才能が御在りでして、街で宿屋を経営なされながら、人気のレストランとしても有名なんですよ」



 これで話が繋がった。どこかでみたことがあると思っていたら、宿屋で会ったアルマとアテナに似ていたのだ。特にアテナはアーネストに良く似ている特徴が非常に多かった。だから、初対面なのに会ったことがあると感じてしまったのか。


 今も話し合っている2人の会話を聞いていると、今度は自分でも探しに行こうとしているアーネストを、アレックスとモーリスが必死に止めているところであった。



「モーリスさんも随分とアーネストさんと親しそうですけど、あの二人もお知り合いですか?」


「ほほぅ、ナタク様はモーリスをご存知なのですね。彼はアーネスト様の娘であられるアルマ様の婚約者ですな。それにうちの領軍の期待のエースでもあり、旦那様達からもとても可愛がられているのですよ」


「えぇ、初めてこの街に着いた時にとても親切にしていただいた領兵さんだったので覚えていました。ちなみに、今泊まっている宿屋はアーネストさんのところだと思いますよ。“満月亭”ですよね?」


「ほっほっほ、こんな偶然もあるのですな。まさしくそちらがアーネスト様のお店です」




 さて、そうと解れば日頃お世話になっているアーネストさんに恩返しでもするとしますかね。それに、知ってしまったからにはアテナさんのことが気がかりですし、そちらの方も手を貸すことにしましょうか。


 助ける手段が目の前にあるのに、知り合った人が不幸になるのは見逃せないですからね。丁度良く手持ちにポーションが帰ってきたことですし、ここはクロードさんに頼んで一芝居うってもらうとしましょう!


は~な~せ~!! ( `Д´)


なりません!!!(; ̄□ ̄)


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