第40話 転生6日目1-7
さっそく完成した装備達にエンチャントを施す準備に取り掛かる。魔石はだいこん育成用にこれでもかと買っているので、それを少々使わせてもらいながら一つ一つに施していく。
まずはアクセサリー関係だが、此方には『プロテクション』と『効率強化』を施した。
『プロテクション』は同名称のスキル名を持つ中位職:騎士の物とは違い、装備の保護に使うエンチャントであり、これが施されているアイテムは損傷しづらくなるという効果がある。スキルの方は使用者の防御力を上げるものだ。
『効率強化』は装備の持つステータスの性能を数%上昇させる効果があるのだが、1つだけでは微々たる物なので、同じエンチャントのかかった装備を幾つか合わせて使うことでその真価発揮するものになる。
続いて衣服と革細工関係。此方には『クリーン』と『オートメンテナンス』を施した。『クリーン』は『効率強化』と悩んだのだが、性能より使いやすさ重視で此方を選んだ。ちなみに、もう1つの『オートメンテナンス』はかなりレアなエンチャントで、高品質のアイテムにしか付与できない物になる。
『クリーン』はゲーム時代はそこまで重宝されてはいなかったが、ここが現実になってくると話は変わる。洗濯も量が増えるとかなりの手間になるので、汚れる作業の多い職業で使われる装備が自動で綺麗になってくれるなら、これはかなり有用なエンチャントではないだろうか。
『オートメンテナンス』は名前の通り、損傷箇所を装備者の魔力を使い、ゆっくりだが修復してくれる機能になる。ただ、あまりに大きな損傷や欠損は直すことができないのだが、その場合は自分で直すかアキに頼んで直してもらえばいい話なので、あくまで細かいキズなどを直してもらうために施した。
これだけでもかなりの数のエンチャントになるのだが、流石のナタククオリティー。全て失敗することなく完璧にエンチャントを二つ全てのアイテムに施して終了させた。流石に『携帯型ドレッサー』はノーマル品だったので『プロテクション』のみになってしまったが・・・・
「これが先生の言っていた『便利系魔導具』の腕輪ですが?綺麗な腕輪ですね、とってもお高そうです」
「これは本来の物のグレードダウンさせたアイテムになりますね。確かに結構お高いアイテムになるとは思いますよ」
「こんな高価な装備を、私なんかが装備してもいいんでしょうか・・・・」
「アキのために作ったのですから、是非使ってくださいね。まずは、腕に填めて真ん中の色の違う石に触ってください」
「こうですか?おっ、ポップアップが表示されました。『所有者登録を行いますか?』って出ていますけど、『はい』でいいんですか?」
「そうですね。それでアキの所有物として登録されて、機能を使用できるようになりますので『はい』を選択してください」
「今度は『インベントリとのリンクを開始します』って表示が出ましたね。あれ?腕輪のサイズがぴったりな物に変わった??」
「えぇ、使用者の腕に合う様に自動調節される様になっています。外す時は先ほどの石を触りながら『装備解除』と念じれば外す事ができますよ」
「結局このアイテムはどういった効果があるんですか?インベントリと関係するところを見るとアイテムボックス関連のアイテムって事ですか?」
「そうですね、アキはゲーム時代に『携帯型ドレッサー』ってアイテムを使ってはいませんでしたか?」
「えっ?あの丸の数がとんでもなく多い値段で売られていたアイテムですか?無理ですよ、高すぎて買おうとも思えなかったアイテムですもん。すごく便利なアイテムらしいですね」
「今アキが手に填めているのがそれになりますね。まぁ、魔石の関係で性能は若干落ちていますが、機能は同じ物になりますよ」
アキナは物凄く驚いて、腕輪と俺を交互に見だすと、次第にオロオロし始めた。これは新しい驚き方のパターンで、中々に面白い。
「なんて物を気軽に装備させるんですか!!私このアイテム、登録してしまいましたよ!!」
「いやぁ、説明してからだとなかなか受け取らないで、他所に販売してくださいって言われそうだったので。ちなみに、所有者の変更はできませんので、それはもう完全にアキの物ですよ」
「あわわわぁ。たしかこれ一つでみぃ~ちゃんが10台は余裕で買えるアイテムですよね!とんでもない物を装備してしまいました・・・・。本当に私なんかが装備していいんでしょうか・・・・」
「もう1度言いますがアキのために作った物ですので、とっても便利なので是非使いこなしてください。機能の説明をしますが。アキ、大丈夫ですか?」
「今日は先生から不意打ちばかり喰らってる気がします・・・・。はい、大丈夫なので説明お願いします」
「機能を簡単に説明しますと、インベントリ内に保管されている装備を登録されたセットに一瞬で着替えることが出来るアイテムになります。ちなみに下着姿は登録対象外になりますので注意してくださいね。
それとインベントリ内にアイテムが無ければ装備変更はなされないので、いきなり下着姿や裸になったりはしないので安心してください。それと、装備は一瞬で変わりますので下着姿を他人に見られる心配もありませんよ。
このアイテムは、うちのギルドが運営する商会の目玉商品の1つでしたので、その辺の安全策は念入りにプログラムしましたからね、俺の自信作です!
アイテムはインベントリ内のどこにあっても引っ張り出すことができますので、大きな箱にまとめて装備を入れて収納しておくと圧迫することなく装備を保管できますので非常に便利ですね。
登録方法は、4つの磨かれた魔石にそれぞれ登録したい装備を着た状態で『装備登録』と念じれば装備を記憶することができます。合計で4セット記憶することができますので、好きに登録して使ってください。
例えば、俺だと『普段着』『鍛冶師』『錬金術師』『寝巻き』で登録予定です。戦闘職関係の装備が増えたら『普段着』か『寝巻き』は変更する予定ですけどね。
登録した装備を呼び出す時は、装備を登録してある石に触れながら『セット』と念じればその装備に変更することが可能です。
本来であれば1つの石で全ての装備のセットを変更可能だったんですけどね。魔石が用意できなかったので分割して機能を持たせることにしたので若干不便ですが、ここは目を瞑って頂けると助かります」
「目を瞑るも何も、これでも私にとっては十分便利すぎるアイテムなんですけど!先生の理想が高すぎるだけですって!」
「そうですか?本来はもっと便利な物なので申し訳なくてしょうがないのですが・・・・」
「本当に先生の頭の中がどうなってるのか非常に気になります。先生が常識の枠から外れている方だということを失念していました」
「まぁ、褒め言葉と思っておきますね。ではさっそくアキの作ってくれた装備を着て登録してみましょう!俺はここで着替えるので、アキは仮眠室を使ってください。あそこなら鍵もありますし、誰にも見られる心配もありませんからね。一応、全てのセットを試してから戻ってきてください。ないはずなのですが、もし事故があっても色々恐いので・・・・」
「分かりました。ではあちらの部屋をお借りしますね。箱もいただいていって良いですか?」
「はい、構いませんよ。先ほどポーションを作っていて幾つか箱を空にしましたので持っていってください」
「何時の間に・・・・って、私の錬成を待ってる時か!あれだけの少ない時間でポーションをこんなに作っていたのですね。先生も十分錬成が早すぎると思いますよ!」
苦笑いしながらアキナは箱に装備をしまって、奥の仮眠室まで出かけていった。さて、それでは自分も着替えを済ませるとしよう。まずは転生した時の装備のままの格好を『セット1』に登録して、名称を『普段着』に変更しておく。次はインベントリに入れたままになっている、リックのお店で買ったらラフなシャツとズボンに着替えて『セット2』に『寝巻き』として登録しておいた。この格好でも全然外を出歩けるのだが、この格好が持っている服の中で1番寝巻きとして使いやすかったからだ。
続いては新装備である鍛冶師の装備達だ。これに早く着替えたくてしょうがなかった。着替えてみると、流石としか言いようの無いほどジャストサイズに仕立てられていて、動きやすさも申し分ない。また、ゲーム時代は普段着かこの格好で過ごしている時間が非常に長かったので、この姿でいると非常に落ち着いた。ついでなので、インベントリにしまってあった手拭いを取り出して、それを頭に巻いた状態で『セット3』に『鍛冶師』として登録をおこなった。
最後は錬金術師の装備である。この装備はデザイン画の段階でかなり気に入っており、更にアキが手直ししたことで非常に見栄えの良いコーディネイトに仕上がっていた。此方もサイズに問題はなく、白衣を着ていなければ、どこかの国の貴公子に間違われるかもしれないほどナタクに似合った服装に仕上がっていた。
流石にこの服装に、髪を和紙で縛り上げてる今の格好では似合わないので、靴底を作ったときに余ったラバーと、アキの作業していた机に余っていた幾つかの布切れをぱぱっと錬成して『ゴムの髪留め』を作ってそれで髪を結いなおしておいた。ついでに、アキも使うと思うので何種類かの布切れとゴムを錬成して何個か追加で作っておく。
此方の装備を『セット4』に『錬金術師』として登録してナタク自身の装備の更新は終了である。先ほど着替えた装備を全て同じ箱にたたんでしまいインベントリに収納してから装備の変更を試してみると、問題なく全ての装備が変更可能になっていたことを確認して一安心する。ついでに一度箱を取り出し、装備の変更しようと試みてみて、エラーメッセージが表示されて装備が変更されないかの動作チェックも試してみたが、こちらも問題なくセーフティーが作動していた。
これで全てのチェックも終了した。各装備でステータスを確認してみて、その理想的なステータスのブースト効果に思わず笑みがこぼれてしまう。これで、錬成作業が更にはかどること間違い無しである。アキナの方はまだ時間がかかりそうなのでお茶を用意しながらだいこんのチェックもおこなって待っている事にした。
心なしか、だいこんも微笑んでいるように感じられる。さて、アキナの新装備姿はいかがなものか?あの美少女があれほどの可愛らしい服で着飾ったらどれだけ似合うのか、今から非常に楽しみである。鼻歌交じりにだいこんのセットを行いながら、まだかまだかと心を高ぶらせながら待つナタクであった。
まだかな~♪(*´꒳`*)




