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第39話  転生6日目1-6

 

 さて、アキナの錬成が終わるまで2時間程は時間が空きそうなので、ポーションを作って時間を潰すことにする。装備もアクセサリーだけだが、ちゃんと装備したことによって、前よりも遥かに楽に錬成することができるはずなので、前回までとの違いを見るために、少し丁寧に確認しながら錬成をしてみることにした。



 実験道具と素材を倉庫エリアから持ち込み、アキナから少し離れた机で錬成を開始した。今から行う錬成では等級4の各ポーションを様子を見ながら作成する予定だ。錬金術師のレシピは、等級4から難易度が一気に上がるため、“錬金術師の最初の壁”として立ちふさがる錬成になるのだが、アクセサリーが無かった状態でもナタクはそれなりの速度で錬成をしていたので、装備を得たことによってどれだけ錬成の安定性が向上したのか、今から錬成するのがとても楽しみだ。


 案の定、錬成が始まると作業はスムーズに進み、着々と完成品のポーションを作製することができた。



「アクセサリーだけでも、ここまで錬成が楽になるとは。やはり早めに装備作りに着手して正解でしたね。これに、アキの装備とエンチャントが加われば、遠くない未来、上位の錬成にも手を伸ばせるようになるかもしれませんね。夢が広がるなぁ、まだまだ作りたいアイテムは山ほどあるし」



 錬成の成果に感動しながらも、手を止めることは無く次々に錬成を繰り返してポーションを作製していく。ナタク自身はそこまで急いでいるつもりは無いのだが、見る見るうちに素材の山が溶けていき、予定の2時間の前に、かなりのポーションが完成していた。



 素材の在庫も心もとなくなってきたので、明日はまた冒険者ギルドで買出しかなと考えつつ、アキナの進捗を見ると、もう少しだけ時間がかかりそうだったので、せっかくなので残りの時間を使って今度は等級3のポーションにも挑戦してみる事にした。


 素材的には一応早いかとは思ってはいたのだが、前もって購入はしていたので、材料を用意するのは問題は無い。それに、等級3のポーションはギルドに着た初日にすでに一度作っていたので、失敗せずに作製することもできるであろう。


 一応等級3相当の錬成は、中位クラスのレシピで最終段階に該当するので、それなりの難易度になるのと、今回は一回限りではなく連続で錬成をしてポーションを作製するので、高い集中力と技術力を求められるのだが、今日はすでに散々このクラスのアイテムの作製をしていたので、いまさら慣れ親しんだポーション作製でドジをするつもりも無かった。


 ただ、錬成陣を描く紙が1回ごとに使用不能になると、新しい錬成陣を用意するだけでもかなり時間がかかってしまうので、先に錬金術を使って錬成陣を描く専用の用紙を作製することにした。


 これには、用紙と魔石を使って、アキにも教えた錬金術師のスキル『形質変化』を使い、用紙の強度を大幅に向上させる錬成になる。今回は形を変えるのではなく性質を変換する作業なので、できればアキナにも見せながら教えたかったが、現在追い込み作業の真っ最中の彼女の手を止めさせるのは悪いので、またの機会に詳しく教えることにして、サクッと錬成をしてしまうことにする。



 アイテム名


 『錬成用強化用紙』(高品質)×100


 錬成陣を記入し錬成を行うことに特化した用紙。非常に丈夫で破れ難い。


 作成者:那戳(ナタク)



 後々、もっと使うことになりそうだったので少し多めに作製しておいた。これだけあれば、無駄使いをしなければ数日間は持つであろう。この用紙であれば、多少無理に錬成をしたところで焼け焦げたりはしないで錬成ができるはずだ。


 さて、道具が揃ったので、続きの錬成をおこなうことにする。ただ、時間もあまりなさそうなので『治癒のポーション』と、いくつかの特殊な効果を持つポーションを数個程度しか作ることができなさそうではあるのが。


 いつものように新しい用紙に錬成陣をサラサラと描き込み、さっそくポーションの作製に移る事にする。やはりと言うか、流石というべきか。それなりの難易度にもかかわらず、ナタクは『治癒のポーション』を問題なく作製し、しかもテストの時とは違い今回は高品質で錬成を終えてみせた。


 一回だけなら偶然かもしれないが、二回・三回と同じ作業を繰り返してみても、品質を落とすことなく全て高品質でポーションを作製し続けていった。


 『治癒のポーション』作製の感触は悪くは無かったので、引き続き違うタイプの等級3のポーションを作製してみたが、そちらも問題なく錬成は成功していた。



「ふむ、やはり単純にレベルが上がった事や、他の職業のスキルも得た事、それに装備の影響も大きそうだな。この感じならば、一足先に等級3のポーションでレベルを上げでも問題なさそうな気がしますね。


 後で、ミーシャさん辺りに買取価格を教えてもらわないと。等級3のポーション類は店頭には並んでいなかったので値段を把握できていないんですよね」



 中々の好感触に満足しながら、時間の許す限り錬成を進めてゆく。それから暫くすると、アキナの方でも最後の錬成が終了したようで、アキナから元気な声で話掛けられた。



「先生、お待たせしました。やっと全ての装備が完成したのでさっそく見てください!」



 今しがた、大量の作業を終えたばかりだと言うのに、アキナに疲れた様子は全く無く、むしろ早く頑張った成果を見て欲しい子供の様に、その表情は溌剌(はつらつ)としていた。



「お疲れ様です。それでは、お互いの装備の説明会とエンチャント作業を済ませてしまいましょうか」


「はい!今回はゲーム時代から見てもかなりの自信作達なので、先生にも気に入ってもらえると思いますよ。それでは、こちらに来てアイテムを順番に見ていってください。ふっふふ、ちなみに先生の弟子らしく、ご依頼通りに全部高品質ですよ~、凄いでしょ!」


「おぉ、流石ですね!俺の方は『便利系魔導具』だけ高品質を逃しましたので、今回はアキの勝ちですね。今度どこか美味しいお店を探してご馳走しますよ」


「やった~!それでは期待して待っていますね、別に高いお店ではなくてもいいので!ではでは、順番に作品達を見ていってください。デザインは殆ど変えていませんが、あれから細部にこだわって色々手を加えたので、デザイン画よりも、もっと良い物に仕上がっているはずですよ!」



 アイテム名


 『錬金術師の白衣』(高品質)×2


 錬金術師専用の白衣。錬成作業の安定効果。器用さ・精神・魔力にプラス効果。


 作成者:アキナ



 純白の真新しい白衣には、袖と裾の部分に目立たない程度に銀糸で刺繍がなされ、そこに魔導回路が組み込まれており、遠目からでは普通の白衣に見えるのだが、細部にこだわりの詰まった様々な機能が追加されていた。また、内側に目立たぬよう多数のポケットが設置されており、様々な道具を使う錬金術師には非常にありがたかった。



 アイテム名


 『錬成職人のシャツ』(高品質)×2


 サブ職業専用のシャツ。錬成時スキル使用回数増加+2。体力・器用さにプラス効果。


 作成者:アキナ



 アキナの物は淡いブルーのシャツで、俺の物はワインレッドの色をしたシャツになる。どちらかと言うと地球で言うYシャツに近い形をしており、普段から着ていた馴染みのある形に、ふと懐かしさを感じた。ちなみに、どうやら彼女にとってナタクは赤い色が似合うイメージだそうで、それでこの色にしたそうだ。



 アイテム名


 『錬成職人のベスト』(高品質)×2


 サブ職業専用のベスト。疲労回復効果。体力・器用さにプラス効果。


 作成者:アキナ



 こちらは依頼にはなかったのだが、シャツだけだと少々味気なかったらしく、アキナが追加で作ってくれたものだ。黒字に金糸で刺繍が施されており、多少目立つが下品にはならない素晴らしいバランスでデザインが施されていた。



 アイテム名


 『錬成職人のズボン』(高品質)

 『錬成職人のスカート』(高品質)


 サブ職業専用のズボンとスカート。錬成作業効率化に効果。器用さ・精神・魔力にプラス効果。


 作成者:アキナ



 俺の物は黒地のスラックスタイプ。アキナの物は赤のチェック柄のスカートタイプになる。形は違うが効果は同じ物になるらしく、こちらも金糸で派手になり過ぎないように魔導回路の隠された綺麗なワンポイントのデザインの刺繍が施されていた。もし、自分でこのズボンを作ったとしたならば間違いなく学生服の様になってしまう自信があったので、その見事なデザインのバランスに素直に賞賛を送りたい。



「ここまでは、先生と私で共通している装備になりますね。説明は同じ物ですがサイズとデザインはまったく違いますので。詳しくは後でお話しますね、次は専用装備になります!」



 アイテム名


 『鍛冶師の前掛け』(高品質)


 鍛冶師専用の前掛け。金属加工の錬成安定効果。炎耐性・耐熱効果。筋力・体力にプラス効果。


 作成者:アキナ



 こちらはゲーム時代でお馴染みの鍛冶師のエプロンになる。ナタクもゲーム時代は大変お世話になっており、このエプロンをしなければ鍛冶師ではない!と思えるほどのアイテムであったので、こちらの世界でまたこの前掛けに出会えて非常に安心した。



 アイテム名


 『錬成職人の作業用シャツ』(高品質)


 サブ職業の専用の作業用シャツ(タンクトップ型)。疲労回復効果。筋力・体力・器用さにプラス効果。


 作成者:アキナ



 懐かしのタンクトップ!ナタクの鍛冶仕事では常にこの格好で作業をしていたので、こちらに来てもこのスタイルで作業することを決めていたので、アキナに無理を言って作ってもらった物だ。この世界にはタンクトップ型のシャツは無く、袖の無い残念な感じのシャツしか店には置いてなかったので、もし彼女がいなかったら、自分で針仕事をしてでも作りたかった装備になる。



 アイテム名


 『錬成職人の作業用ズボン』(高品質)


 サブ職人専用の作業用ズボン。錬成作業の作業効率の上昇効果。俊敏力・器用さにプラス効果。


 作成者:アキナ



 こちらは先ほどのスラックスタイプの物と違い、厚手の生地を使ったカーゴパンツとなっている。少し大きめに作られているので屈んだ作業も行いやすくなっており、また生地が厚いため怪我もしにくく考えられている。



「これで先生からご依頼された装備は以上になりますね。後は私の裁縫師関係の装備になります。こちらも本職用の装備なので、中々可愛く仕立てましたよ。後で着て見せてあげますね!」



 アイテム名


 『裁縫師のエプロン』(高品質)


 裁縫師専用のエプロン。仕立て作業難易度減少効果。俊敏力・器用さ・精神にプラス効果。


 作成者:アキナ



 こちらは鍛冶師の前掛けと違い、フリルや刺繍が多く施された可愛らしいエプロンになる。少し大人びたアキナには若干子供っぽ過ぎる気もするが、本人が気に入っているので黙っておく。クッションに続き、ネコの刺繍が施されていたので、どうやら彼女はナタクと同じネコ派の人間のようだ。



 アイテム名


 『錬成職人のブラウス』(高品質)


 サブ職業専用のブラウス。疲労回復効果。俊敏力・器用さ・精神にプラス効果。


 作成者:アキナ



 このアイテムも女性らしいゆったりとしたデザインの生地にフリルやレース・リボンが要所に使われている可愛らしいデザインの服になっている。また肩が大きく出ているのでアキが着れば大層映えるであろうデザインをしている。



 アイテム名


 『錬成職人のロングスカート』(高品質)


 サブ職業専用のスカート。錬成時の安定性上昇効果。器用さ・精神・魔力にプラス効果。


 作成者:アキナ



 このスカートは最初に見せてくれた膝上丈(ひざうえたけ)のスカートと違い踝丈となっており、かなり長めのスカートになっている。先ほどのブラウスに合わせるために作られたためであろう、各所にアキナの拘りが垣間見れる。きっと、合わせて着ると、とても良く似合いそうな美しいデザインをしていた。



 アイテム名


 『錬成職人のカーディガン』(高品質)


 サブ職業専用のカーディガン。疲労回復効果。器用さ・精神にプラス効果。


 作成者:アキナ



 毛織物で作られた、少しゆったりとしたデザインのカーディガンだ。先ほどのブラウスとスカートに、このカーディガンを纏うと凄まじい破壊力のを生み出すコーディネイトになるのではないか?女心どころか、男心まで刺激するとんでもないアイテムがそこにはあった。



 (アキ・・・恐ろしい子!)



「これで私が作った装備は以上になりますね!ふぅ、実に楽しい仕事でした」


「かなりの量でしたね、お疲れ様です。しかし、アキも仕事が速いですね。流石に俺でもここまで早く作れませんよ?」


「ふふ~ん♪そこは本職ですからね!裁縫関係は慣れているので結構手早く作製する事が可能ですよ。それにみぃ~ちゃんの存在も大きかったですね。いくら錬成を使っているといっても、これを手縫いで仕上げるとなるとかなりの時間になってしまいますからね。とってもいい子ちゃんでした。作ってくれた先生にはほんと感謝です!」


「しかし、追加で更に色々作ってもらっちゃて。本当にありがとうございます。デザインも物凄くお洒落な物がたくさんありますね」


「はい!作っているうちに物作りの神様が降りてきて、新しいデザインが湯水のごとく溢れ出てきましてね。つい楽しくなっちゃって色々追加で作っていたら、ここまでの数になっていましたよ」


「あぁ、俺にも経験がありますよ。そういう時は、本当に良い物がたくさん作れますよね」


「そうですね。私も久々にあんなにハイになって作製しましたよ。本当に作っていて楽しかったです!」



 それでは、さっそくできた装備にエンチャントを施した後にでも、携帯型ドレッサーのお披露目会と試運転をおこないますか!



どやぁ~♪(*`゜w゜´*)


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