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第29話  転生5日目1-2

 

 冒険者ギルドの卸売市場までやって来た。今日は前回来た時よりも遅い時間であったため、すでに買い付け商人達にみんな良い所は買われてしまっていたので、あまり買い物をすることができなかったのが非常に残念である。



「毛皮は結構あるのですが、なめすための環境がないのでそのまま使うことしかできませんし。外套用に使うのも良いのですが、屋内で使う服装なのであまり合いませんしね。ここは諦めて素材屋で加工品を買う事にしますか。やはり早めに自分の工房が欲しいな・・・・」



 と言いつつも、いくつかのポーション材料はしっかり買い足した後、素直に本来の目的である魔石販売コーナーへと向かう。流石に魔石が売り切れていることはなかったので、だいこん用に結構な数の小粒の魔石を購入し、今回は他にも装備を作る時に使えそうな大きめの魔石も買っていく予定だ。



「思ったよりも品数も多いですね。確かこの辺りではフィジカルで1~25くらいの魔物が殆どだと思ったので、下位~ぎりぎり中位クラスの魔石が取れるだけだと思っていましたが。普通に中位クラスの魔石も結構置いてありますね。そこまで強い魔物って、この辺りにいたっけかな?」



 独り言を喋りながら考えていると、不意に横から答えが返ってきた。



「あぁ、それはですね。この街には魔導具研究の第一人者のガレット・ローレンス氏が居られるからなんですにゃ。彼女や彼女のお弟子さん達も、結構魔石を買っていってくれるので自然と国中から良い魔石が集まってくるのにゃ。冒険者ギルドとしても、商品を独占して販売している以上、ありませんとは言いたくないからにゃ。各街の冒険者ギルドが連携して魔石を確保しているということですにゃ!」



 (むん!と握りこぶしを胸の前に掲げてシッポを振りながら教えてくれたこの女性はどなたでしょ?)



 街中では何度か見かけたことのある獣人族の・・・・、シッポと耳からして猫人族(ケットシー)ではなかろうか。ショートボブの綺麗な水色髪に白いメッシュが何本か入っており、大きな黄色い瞳には獣人特有の模様が見て取れる。顔立ちはまだ幼いのだが、野性味を感じるその瞳が少しだけ大人の女性の雰囲気をかもし出している。服装からして冒険者ギルドの職員のようだが、きりっとした制服姿が板についていた。



「うん?どうされましたかにゃ?もしかして、猫人族(ケットシー)が珍しかったかにゃ?」



 (しまった、キョトンとされてしまった。女性に対して、申し訳ないことをしてしまいましたね)



「すいません、身近な知り合いに猫人族(ケットシー)の方がいなかったので、つい見とれてしまいました。俺は那戳(ナタク)と言います。あなたはここの職員さんですか?」


「此方こそ突然話しかけてしまって申し訳ありませにゃ。私は冒険者ギルド職員のフィーリア・サークレッドと申しますにゃ。先ほど魔石を大量購入されていたので、魔導具の研究者の方なのかにゃ?と思い声を掛けさせてもらいましたにゃ。


 それにしてもすごい量ですにゃ、小粒とはいえ一回にそれだけの数を買われるお客様は中々いなかったので、見ていてとっても驚いてしまったにゃ」


「まぁ、燃費の悪い魔導具を動かしているので、かなりの量を必要とするのですよ。早くこの実験は成功させて次に移りたいのですけどね」


「確かに、これだけの量だと、普通ならかなりの時間使えるにゃ!」


「しかし、ガレットさんのおかげだったんですね。そういった理由で魔石の品揃えがいいのは納得できました。確かに錬金ギルドには珍しい魔導具がたくさんありますしね。あれらを動かすのにも魔石は必要なので、たくさん取り扱ってくれていると、選択肢が増えて助かりますよ」


「そう言っていただけると冒険者ギルドとしても集めてきた甲斐があると言うものにゃ!やはり、錬金ギルドの研究員の方だったんですにゃ。もし、要望があれば商品をお出しして確認できるにゃよ?」


「そうですね、それでは中位の魔石をいくつか見せていただけますか?それと上位の魔石は取り扱っていますか?」


「うぅ、申し訳ありませんにゃ。上位級の魔石はギルドではなく国の管轄になってしまいますので、こちらでは取り扱っていませんにゃ。中位で大きいものならばいくつか在庫はあるんにゃけど・・・・」


「わかりました、では大きい物をいくつか見せてください。それと通常サイズの中位の魔石も買いますのでそちらの方もよろしくお願いします」


「はいにゃ!それでは、すぐにお持ちしますので、こちらの席にお掛けになってお待ちくださいにゃ!」



 そう言ってフィーリアはバックヤードへと下がっていってしまった。どうやら大きな物は売り場の奥で管理しているようだ。しばらく待っているとトレイの上にいくつか綺麗な布に包まれた魔石を持って戻ってきた。



「お待たせしましたにゃ。こちらが今現在当ギルドで保管されている魔石の中でも良品にあたる物になりますにゃ」



 手にとって確認させてもらうと、確かに他の中位の魔石よりも大きく保持しているエネルギーもかなり上質な物といえる品であった。こういった魔石は通常の魔物からは取る事はできないので、所謂(いわゆる)ネームドといったゲーム時代で言うところのボスクラスが落とす魔石になる。その中でも上質なものを、魔核といって魔導具作りには欠かせない素材の一つになっていた。



「こちらはサンドティガーの亜種の魔石になりますにゃ。他の中位の魔石に比べてエネルギー保管量が1,5倍も保持しており、これ1個で金貨20枚になりますにゃ。多少お値段は張りますが、買って損のない性能を発揮してくれると思いますにゃ。


 続いてこっちはレッドサイクロプスの魔石ですにゃ。こちらは先ほどのものより大きく、ダンジョンで長年力をためていた魔物から取れたものになりますにゃね。お値段は大きさとエネルギー量を考えて金貨23枚ですにゃ。魔核といわれるほど力を持った魔石は現在当ギルドではこの二つになりますが、いかがいたしますかにゃ?」



 正直ナタクにとっては、ゲーム時代にもっと高位の魔石や魔核を湯水の様に使っていたので、どちらの性能もたいした違いなく感じてしまうのだが、少しでも性能を上げるためには大きい方がいいので、今回はサイクロプスの魔核を購入することにした。



「それではサイクロプスの魔核を1個と、中位の魔石を取り敢えず20個ほど用意してください」


「にゃにゃ!!中位の魔石も20個ですかにゃ??そうなりますとお支払いが金貨50枚を超えてしまうのですがよろしいのですかにゃ!?」


「はい、構いませんよ。また足りなくなったら買いに来るのでその時はお願いしますね」


「毎度ありですにゃ!お客さん太っ腹にゃ!すぐに用意するのでそのまま待っててにゃ!」



 サンドティガーの魔核を買わなかったのは単純に『今使わないから』である。なんとなく無駄使いをすると、またアキナに怒られそうな気がしたので今回は我慢することにした。『どうですか、先生も我慢できるんですよ!』と心の中でアキナへの報告をしてからお金を払って魔石を受け取る。トータルですでに今日だけで金貨70枚以上は消費してるので間違いなくアキナにはどやされるであろうが、ナタク自体は節約に成功したと自画自賛していた。



 かなりの上客に、魔石販売コーナーで働いていた職員全員に笑顔で見送られながら、冒険者ギルドを後にした。元々魔導ミシンには小粒の魔石を何個か回路で連結させて使おうかと思っていたのだが、サイクロプスの魔核ならば1つでも十分に稼動してくれそうなので、こちらを加工して使うことにする。



 さて、残りは昨日買いそびれた西大通りの素材屋巡りの続きになるので、足取り軽く元来た道を歩いて戻ってきた。


 残りの買わなくてはいけない物は、革系の材料、これはすでになめし革になっている物を買うことになる。自分で錬成でなめし革に加工できなくはないのだが、薬品の匂いが強烈なのでできるだけ人里はなれた場所に行っておこなわなければならないためだ。流石にそれだけのために、そこまで時間が取れないので今回は選択肢から除外しておいた。


 他に、昨日作り損ねた回転砥石用の石材と、指輪などに使う宝石の原石なども購入する予定だ。


 宝石などと言うとかなり高価に感じるだろうが、実は中には安い物もたくさん存在する。無理をして現状で最高級品を揃えようとしても、加工するための施設や資金的に問題があるため、今回はある程度グレードを落とした物を選んで作製していくつもりだ。



 その後は特に問題なく素材を買い集め、トータル出資が金貨100枚を超えたところでお買い物が終了した。きっとアキナと一緒に巡っていたら、彼女の胃にストレスで穴が開いていたかもしれない。



 意気揚々とアキナに戦利品を見せるため、急いで実験室に戻ってきたのだが、どうやら彼女はまだこちらには来ていなかったみたいなので、待ち時間でミシンの残りを完成させることにした。



 ちなみに、だいこんは当たり前のようにおバカオンリーであった。


 気持ちを切り替えて、再度セットし直して、さっさと錬成作業に移る。



 まずは昨日作れなかった回転砥石からである。こちらも大掛かりなものではなく今回は卓上に置ける低出力の物を用意することにした。流石にこれで武器の手入れはできないが、宝石や金属パーツなどに使うにはこのサイズが非常に便利なのである。ちなみに、ナタクがゲーム時代に鍛冶で使用していた回転砥石は直径1mを超える大岩をかなりの速度でゴンゴン回転するように魔改造された特注品で、流石にこれを作れる材料も、設置する場所もなかったので諦めるしかなかった。


 砥石には何種類か硬さに違いがあるので、それぞれを機構に合う様に加工していく。この時に余計な力が石に伝わってしまうと変な割れ方をしてしまうのだが、ナタクは慣れた手付きでカンカン石を割っていき、あっという間に全種類の加工を終えてしまった。



 アイテム名


 『回転砥石:卓上タイプ』(高品質)


 宝石や金属パーツに特化した研ぎ石。石の部分を変えることで様々な材質の加工が可能になる。


 作成者:那戳(ナタク)



 これで魔石の加工ができるようになったので、早速サイクロプスの魔核を加工してしまうことにする。


 とはいっても、回転砥石でゴリゴリ削ってカッティングを施す作業なので、見ている分にはそれほど難しくはないように見える。しかし、このカッティングこそが隠匿されている魔導ミシンの基盤の肝となるので、実はとても高度な作業をナタクはおこなっていたりした。しかも、魔石とは非常に脆い石なので、本来削る作業には向かない材質をしているのだが、そんなことはお構い無しと、鼻歌を歌いながらナタクは作業を進めていたのであった。


 そして、あっという間にサイクロプスの魔核を磨き終えてしまい、それをミシン用の基盤にセットしてから試運転を始める。


 加速・減速・停止確認・縫い目変更・ライトチェックetc・・・・


 ある程度の動作確認を終えて問題がなさそうだったので、基盤をミシンの中に収納し、カバーを付けたら完成である。



 アイテム名


 『魔導ミシン』(高品質)


 布材や革材を縫い合わせるのに使う道具。様々なモードありその選択で縫い方が変わる。魔核の力で稼動する。魔核は一定時間で魔力を回復する。


 作成者:那戳(ナタク)



「ゲーム時代もそうだったけど、なぜかミシンの説明ってシンプルなんですよね。機能満載で作っているのにこれだけってのは、さびしい気がするのですけど。てか、やっぱり魔核って表記になるのか、魔力の自動回復機能は今までなかったから、これは非常に便利ですね」



 本来は裏面に設置してある動力炉に小ぶりの魔石を投入して使用するのだが、どうやら魔核自体の魔力でまかなえてしまっているようなので、これは嬉しい誤算である。もし、魔力が足りなくなれば動力炉の方も活用できるので動力面では問題はないであろう。


 そういえば、ゲーム時代は規格を合わせる為に上位のある魔物の魔石を加工して基盤にセッティングしていたのだが、どうやら魔力保有量は負けるものの、中位でも魔核を使用した方が性能はよかったのかもしれない。



 完成した真新しい魔導ミシンをアキナがよく座る机の上に置いておき、インベントリにしまってあるシーツを取り出して上に被せて置いておく。さて、後はアキナを待つだけだが、彼女はまだ来ないのであろうか?


 時計を見ると丁度12時を回ったところだったので、朝に屋台で買いだめしておいた様々な料理を試しながら待つ事にした。


 お茶の準備もできたので食事を始めようとすると、PTチャットで『もうすぐ着きます。先生、何かお弁当を買ってから行きましょうか?』と連絡が入ったので、屋台で自分も少し買ってきている旨を伝えて、お茶を用意して待っていると伝えておいた。



 さてゲーム時代ですら、超が付くほどの高級魔導具である魔導ミシンを見て、アキナがどんな顔をして喜ぶかが今からとても楽しみである。



アキ、見てください!俺もやっと節約に成功しましたよ!!

。:.゜ヽ(´∀`。)ノ゜.:。 ゜


素晴らしい上客だにゃ!さっそく個別の顧客リストを作成するにゃ!

(=^・∀・^=)~♪


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