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第28話  転生5日目1-1

 

 おはようございます、ナタクです。本日も快晴で、清清しい朝がやってまいりました。


 研究棟の周りは木々に囲まれており、時折抜ける風は春の草花の香りを纏い、差し込む日差しのシャワーはまるで夜の闇を洗い流すかのごとく、とても煌びやかに輝いています。


 こんな素晴らしい朝日を浴びているにもかかわらず、どうして俺が死んだ魚のような目をしながらフラフラと街に向かって歩いているのか!


それは今朝、仮眠室のベットで目が覚めた時間まで巻き戻ってお話しする必要があるでしょう・・・・



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 昨晩は夜中まで錬成作業に没頭し、疲れ切った為そのまま仮眠室のベットに横になり3時間ほど仮眠を取ることにした。すると大量の苦悶に表情を歪めた『おバカだいこん』に追いかけまわされる夢に魘され、元々3時間しか寝ていないのに、更に疲労困憊な目覚めとなってしまい、寝汗も大量にかいてしまっていた。そこで、一旦宿屋の近くの共同浴場で汗を洗い流してから、冒険者ギルドまで買い物に出かけることにした。


 ちなみに、研究棟の入浴施設は朝は女性限定で解放されているのを冊子を読んで知っていたので、そこに立ち寄るつもりは最初から選択肢には無かった。唯でさえ、こちらの世界に来てからというもの女難の相が出ていそうなので、今そのような場所に近づいたらどんなトラブルに巻き込まれるか分ったものではないので、極力自分でも気をつけるようにしていた。


 必要そうな物はインベントリの中に全て入れてあるので、忘れ物の心配も無し。それと、朝のだいこんチェックを確りおこない、安定のハズレを確認した後に、再度セッティングをしてから部屋の外に出る。



 (というか、この乾燥した『おバカだいこん』って呪いのアイテムじゃなかったよな?)



 出かける準備を済ませ部屋の扉を開けると、そこにはしっとりと濡れた髪のまま、体に緩くバスタオルを巻いただけの状態のアメリアが、ナタクの実験室の前を通り過ぎようとしているところであった。あまりの出来事に唖然として、その場で佇んでしまい反応が遅れてしまっていると、こちらに気がついたアメリアの方から声をかけてきた。



「やぁ!おはようナタク君、いい朝だね!キミも泊まりで研究かい?感心感心、いったい何を錬成していたんだい?」


「いやいや!普通にいい顔で挨拶してないで、先に服着てください!なんつぅ格好で廊下を歩いてるんですか!!」


「いや~、私も昨日は泊まりで研究していてね。つい寝ぼけながら入浴施設まで行ってしまったのだけど、代えの下着や服を持っていくのを忘れてしまってね。それで取りに戻るのもめんどくさいし、こんな時間にここにいるのはいつも私ぐらいだから、『まぁ、いっか!』と思ってそのまま出てきたところなんだよ。君には恥ずかしいところを見られてしまったね」


「恥ずかしいのは現在進行形であなたの格好です!!落ち着いて話していないで、早く部屋に戻って着替えてください!!」


「おっと!私としたことが。そういえば今もバスタオル1枚だったね、これは失礼。しかし、ナタク君も年相応に照れたりするんだね。この反応を見れただけでもこの格好で出歩いてた価値があったってものだよ」


「なんでバスタオル一枚の人より、それを見た人の方が慌ててるんですか!あなたはもう少し羞恥心を持って行動してください!!」


「むむ!ナタク君も言うねぇ。お姉さんがこんな魅惑的な格好をしているのに、襲い掛かってこないのかい?ほら、もう少しで見えてしまいそうだよ?」


「どう考えても、襲った後が恐すぎる獲物なんて手を出しませんよ!!絶対ひどい返り討ちにあうのが目に見えているし、明らかにからかって楽しんでますよね!!」


「あっはは!ばれてしまったかい。これで襲い掛かってきたら、逆にひん剥いて研究棟の中庭の花壇に飾ってあげようと思っていたのに、実に残念だ」


「もう頼みますから部屋に帰って着替えてください。唯でさえ疲れているのに、疲労が倍に溜まりましたよ・・・・」


「何っ、溜まっているのか!うんうん、それはよくないね。よし、それではこれを見せて元気付けてあげようではないか!」



 そう言ってアメリアは緩く体に巻いていたバスタオルに手をかけて一気にそれを外してしまった。




 堪らず彼女を凝視してしまったが、そこには何時ものチューブトップにホットパンツ姿のアメリアの姿があり、こちらを見て満面の笑みを浮かべていた。


 なんだろう、すごい敗北感である。



「いやぁ、あれだけ言っていても、しっかり見つめてくるナタク君は実に可愛いねぇ!さぁ、お風呂上りのお姉さんの珠の肌をしっかりと見たまえ!ナタク君のくれた石鹸で身体を洗うようになってから、肌まで肌理(きめ)細やかになってね。色々な人に自慢しているのだよ」


「えぇ、途中からあんまりに落ち着いていたアメリアさんを見て、だいたいの落ちは読めていましたが、残り数%の可能性を捨てきれずに凝視してしまった自分がとても情けない。


 お願いです、暫くそっとしておいてください・・・・ぐすん」


「ごめんごめん。つい反応が可愛くて、ついからかいたくなってしまってね。ナタク君はいつも凄い事ばかりやってのけるから、キミも年頃の男の子だったみたいで安心したよ。それでは、私は部屋に戻るとしようか。では、まったねぇ~!」



 そう言ってアメリアは笑いながら自分の部屋に帰っていった。


 なんか、残りの体力を根こそぎ持っていかれるような感覚に襲われたのは、はたして気のせいであろうか。ちなみに、肌はとても綺麗であった。



 そして話は冒頭へ戻る。



 疲労感を引きずりながら、当初の目的通り共同浴場を目指してフラフラと歩みを進めた。目的地についてさっそく身体を清めてから湯船に浸かっていたのだが、疲労が汗と一緒に流れ出ていくような感覚に、思わず眠ってしまいそうになったので、ここで溺れるわけにはいかないと、最後に水風呂に浸かって多少目を覚ましてから出ることにした。


 浴場から出て、何時もの服に着替えようかと思ったのだが、せっかく風呂でさっぱりしたのに、寝汗をかいた服をそのまま着るのもあれなので、リックの店で買った服を着えて先ほどまで着ていた服は洗濯に出すことにした。たしか、宿屋のサービスで朝に頼めば有償で洗ってくれたはずだ。


 そんなわけで、予定にはなかったが洗濯を頼むついでに美味しい朝食にありつこうと宿屋へと向い、到着するとアンジュが何時もの席で笑顔で迎えてくれた。



「あら!ナタクさん朝帰りですか?ダメですよ、あんな可愛らしい彼女がいるのに、夜遊びなんてしたら!」



 訂正、からかう気満々で待ち構えていたようだ。今日はいったいなんなのだろうか・・・・



「・・・・いえ、昨日は夜中まで錬成していて帰ることができなかっただけですよ。それでですね、洗濯を頼みたいのですが、どこに持っていけばいいのでしょうか?」


「なんか目が死んだ魚みたいになってますけど、そんなにハッスルされたんですか?」


「だからしてませんって!一人寂しく実験室で缶詰めでしたよ!!」


「まぁ、本当にお疲れのようだし、そういう事にしておきましょう。洗濯物ですが、洗い場で洗濯物を部屋番号の付いたカゴに入れてもらって、この木札を上に置いていただけましたら、後で乾いたら部屋まで運んでおきますよ。木札は銅貨5枚でお渡しできますが?」


「では1枚お願いします。それと朝食はいただいて平気ですか?」


「勿論です。先ほどアキナさんもいらしたばかりなので、まだお食事をなさってると思いますよ」


「ありがとうございます。では、洗濯物を置いたら向かうことにしますね。昨夜は簡単な物で済ませてしまったのでお腹が空いてしまってて。少しでも美味しいものを食べたかったので、助かります」


「あら大変!ダメですよ、まだまだ育ち盛りなんだから、しっかり食べないと。旦那様に大盛りで作る様に言っておきますね」



 惚気話が始まりそうだったので、素早く洗い場の方に向かい、洗濯物をカゴに収めてから食堂へと向かった。部屋に入るとアキナは何時もの席で、ゆっくりとした動作で食事をしていたので、向かいの席に座って声を掛けることにした。



「おはようございます。ってアキもだいぶ疲れた顔してますね。ちゃんと寝ましたか?」


「あれ?先生だぁ・・・おはようございますぅ。宿屋に帰ってきてたんですか?」


「今さっきこちらに来たところです。ちょっと寝汗をかいてしまったので、お風呂と洗濯を頼みにこちらに寄ったのですが、朝食もまだだったので食べに来たんですよ」


「あぁ、だから服装が違ったんですね。着物もいいですがシャツ姿も似合ってますねぇ。あっ、また新しいアイデアが・・・・」


「本当に大丈夫ですか?」


「だいじょうぶでふぅ・・・、元々私は朝が弱いので。昨夜は帰ってきてからデザイン画に没頭してしまって、気がついたら空が明るくなり始めていました。なので、タイマーかけて2時間ほどは仮眠を取りましたよ。


 結構いいのがたくさん書けたので、後で先生にもお見せしますね。それとサブ職業の“画家”とスキルもいっぱい取れました・・・ふふふ♪」


「俺が言うのもなんですが、無理はしないでくださいね。こちらはこの後、冒険者ギルドに行って魔石の補充と素材を少し買い揃えてから、その後西大通りの素材屋巡りをして実験室に戻る予定なので、部屋に着くのはお昼ぐらいになりそうです。アキはどうしますか?」


「そうですねぇ。それではお言葉に甘えて、もう少しだけ仮眠を取ってから私も裁縫ギルドに寄った後、西大通りで素材屋巡りをしに向かおうと思います・・・・」


 アキナはよほど眠いのであろう、船を漕ぎながら食事をしていた。


 その後、出された大盛り具だくさんのスープと焼きたてのシロパンを4つほど平らげてからアキナと別れて冒険者ギルドに向かうことにした。やはり体は正直で、よほど空腹だったのか、あっという間に皿の上の料理が消えてしまい、平らげた自分でもびっくりしてしまった。



「やはり、若くなった分食事の量も増えているのかな。あれだけ食べてまだ余裕があることには驚きますね。少し屋台で昼の分も含めて何か買いながら向かいますか」



 アキナも言っていたが、たしかに食事量が増えているので、そろそろ運動も考えないと太ってしまいそうだなと思いながら、冒険者ギルドへと足を進めた。それと、職業の見習いが今日か明日には終わりそうなので、手が空いたら本格的な戦闘訓練のプランを考えるのも良いかもしれない。



ナタク君も男の子だねぇ~(*´∨`*)


もてあそばれちゃった!(つд;`)


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