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第26話  転生4日目1-5

 

「先生~!終わりました!丁度等級5のポーションの材料使い切っての卒業ライン突破です!」


「おぉ、予定より早かったですね。お疲れさまです。では、俺の方も一旦切り上げることにしますので、片づけをしてしまいましょうか」


「りょうかいです。いや~、ゲームの時を含めても一日でこんなにポーションを作ったのは初めてですよ。疲れました~」


「今日は出かけている時以外はずっと錬成していましたからね。どれくらい作れましたか?」


「えっと、午前中が180本で、午後が270本作りましたので合計で450本作製できましたね。午後の方はコツも掴めたのでスイスイ作れましたし、高品質もかなり多くできましたよ」


「凄い頑張りましたね。俺の方は午後250本しか作れなかったので、アキの方が錬成捗ったんですね」


「等級5クラスですけどね。でもでも、ここまでいい物がたくさんできると、やっぱり嬉しいものですね。凄く達成感がありますよ」


「素材の山を溶かしながらアイテムを作り上げるのは快感ですからね。それでは、そのポーションを査定に出してきちゃいましょう。だいこんの方も、もうすぐ結果が出ますので、ポーションを預けたら査定の時間中に戻ってきて確認してみましょう」


「は~い!今度は当たりが出来ているといいですね!」


「成功率が1%しかないのでなんとも言えませんがね。普通の錬成のように途中で弄って調整することもできないので、完全に運ですからね。加護に期待しておきますよ」


「幸運アップしますもんね。さぁ~査定に、れっつらご~です!!」



 ギルド本館まで台車でポーションを運びながらやって来ると、買取窓口でミーシャが他の研究員への対応中であった。他の窓口も同じ感じの混み具合だったので、せっかくなので彼女の列に並んで待つことにした。程なくして自分達の番が回ってきたので挨拶をすると、申し訳なさそうに謝られてしまった。



「申し訳ございません、お待たせしました。ナタクさんとアキナさんはポーションの買取でよろしいですか?」


「いえいえ、そこまで待っていませんので大丈夫ですよ。やはり、この時間は混み合いますね。アキが等級5系のポーションで、俺が等級4系のポーションの査定をお願いします。まだ少し作業が残っているので、お金は帰りに寄らせてもらった時でもいいですか?」



「はい!むしろ助かります。結構鑑定待ちをされている方がいらっしゃいますので、少しお時間をいただかないといけませんし。この時間は帰宅なされる方がいっせいに持ち込まれますからね。うちのギルドでは、受付業務はこの時間の職員が一番忙しいのですよ」


「成程、では頑張ってください。また後で来ますね」


「は~い、お待ちしています!」



 やはり皆考えることは同じようで、日が落ちる前に仕事を終わらせて帰ろうとする人はたくさんいるようだ。そのまま帰り支度を済ませてからこちらに来ていたら、ここで時間を潰すはめになっていたであろうから、先に査定を頼みに来て正解であった。


「どの世界でも帰宅ラッシュは存在するんですねぇ。ミーシャさんも大変そうでしたし」


「電気で明るくできる分、地球の方がもっと遅い時間まで仕事をしている人は多かったですけどね。こちらでは、日の出・日の入りで仕事をしている方が多いので、どうしても夕方は混み合うのでしょうね」


「ロウソクやランタンだと暗いですもんね。細かい作業をするのには厳しそうですし」


「燃料代も結構バカになりませんからね」


「そういえば、先生は今日泊まりで作業するって言ってましたが、暗い中で大丈夫ですか?」


「あぁ、ゴールドクラスの実験室には特別に照明の魔導具が設置されているので問題ないですよ。ただ、燃料の魔石は自己負担なので、無駄遣いは気をつけなくてはいけませんけどね」


「本当に、ここの施設は便利ですよね」


「俺もそう思います。街に来て、直ぐにここを使えるようになって良かったですよ」



 実際ここの設備の充実具合はとても素晴らしいモノであった。お金を出してこの部屋を借りた場合、いったいいくら掛かるのだろうか?ギルドマスターの方針で、できるだけ研究者に負担なく作業をおこなえるこの環境は、今の自分には非常に有り難かった。


 実験室に戻って鉢植えを観察してみると、どうやら時間になっていたらしく装置が一時停止していた。



「さぁ、先生だいこんガチャのお時間ですよ!」


「何ですかその言い方は。まぁ、だいたい合ってますが・・・・」


「いや~、確率からいっても似たような物かなって思いまして。それでは抜いてみましょう!」


「では俺はこちらの2本を・・・・ダメですね。両方ハズレでした」



 やはり、幸運アップの力を借りてもすぐに生み出すことはできなかったようだ。ただ魔石のストックはあるので、気長に考えないとかな思っていると、アキナが何かを発見したようだった。



「おっ!先生!!賢そうな顔のだいこんがいます!これ当たりじゃないんですか?」


「本当ですか!どれどれ?・・・・おしい、これは5%の方の当たりですね。その名も『秀菜(シュウサイ)だいこん』です」


「これではないんですか。明らかに顔が違いましたので、てっきり当たりかと思ったのに・・・・」


「いや、これも当たりですよ。なんといっても、この『シュウサイだいこん』は普通に食べても美味しいですからね」


「え!これは食べれるんですか?おバカは駄目だったのに??」


「はい、普通にだいこんとして美味しいんです。しかも、麦の収穫量を上げる効果も変わらずにありますので、十分に当たりの野菜なんですよ。まさか二巡目でこれができるとは思いませんでした。後で種を増やしておきますね」


「こんなに優秀なのに5%の当たりの方ってことは、1%の方はさぞ美味しいんでしょう?凄く楽しみです」


「野菜として食べるなら一番美味しいのは、この『シュウサイだいこん』になりますね。1%の方はまた違う用途があるんですよ」


「そうなんですか?気になりますが・・・・うぅん、やっぱり収穫できるまで楽しみにしてます!」


「分かりました。では、一旦全部枯らして次の種を植え変えることにしますね。そういえば、『シュウサイだいこん』も枯らすと面白い顔になりますよ。今、種を取るために枯らしますので、見ていてください」


「う~ん、なんとなく落ちが見えてるのですが。あ、やっぱりおバカと一緒で苦悶の表情になるんですね・・・・」


「えぇ、こいつも薪材として使える機能は引き継いでいますね。食べ切れなかったシュウサイも同じ末路を辿ることになるんですよ・・・・」


「本当に誰がこんな野菜を作ったんでしょうね?」


「絶対悪ふざけでできた野菜だとは思いますけどね。たぶん、滅んだ文明のどれかでしょう」


「食べ物で遊ぶから滅んだんじゃないですかね、きっと作り出した野菜に滅ぼされたとか?」


「それだと生物が殆ど死滅して、現在は野菜の惑星になっていそうですね。さてと、冗談はこの辺にして。合成した種のセットも終わったので、3巡目を開始しますね。時間も結構潰せたのでミーシャさんの所に戻りましょうか」


「は~い。さて、今回はいくら稼げたのかワクワクしますね」


「アキも頑張りましたからね。きっといい値段になってると思いますよ」



 ポーションの買い取り価格に心を躍らせながら歩くアキナの後ろを、苦笑いしながら付いていった。ギルドの窓口まで行くと、並んでいる人の数も減っており、どうやら山場は過ぎたようである。


 ミーシャも一息ついていたのであろうか、お茶を飲みながらほっとした表情で席に腰掛けていたので、声をかけると嬉しそうに受け答えをしてくれた。



「やっと落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした」


「あっ!お二人ともお待たせしました。こちらが鑑定結果とお金になりますね。いやぁ、お二人ともかなり頑張ってくれましたね。職員みんなで目を丸くして鑑定していましたよ」


 査定金額はもろもろ引かれて俺が金貨240枚、アキが金貨57枚になっていた。明細を見る限り多めに色を付けてくれたみたいだった。


「また結構色を付けてくれたみたいで、ありがとうございます。こんなに貰っちゃってもいいんですか?」


「なんの!これでも少ないくらいだと思ってますよ。いやぁ、高品質の品があれ程あると、ギルドとしても鼻が高いですからね。しかも、等級4クラスになると、どこも品薄になりますので直ぐにでも売れてしまうと思いますよ。このペースで生産していただけたら、将来王都に輸出することも夢ではありませんので、ドンドン頑張って作っちゃってください!」


「うぅ、本数で勝っていましたが、やはり等級が違うと金額もかなり変わってきますね」


「アキナさんも凄いですよ!アイアンでここまで高品質を作れる人なんていませんから!たぶん、ナタクさんの推薦状がなくても、近いうちにブロンズ昇格試験の話が上がると思いますので、頑張ってください!」


「等級4からは難易度が極端に変わりますからね。そのせいもあって、やはり買取金額が高く設定されてますから。ただ、もう等級5は抜けたので、アキも今度ポーションを作製すればこちらの金額に近いものになりますよ」


「いえ、ナタクさんは全品高品質というとんでもないことしてますので、普通ここまではいきませんよ?ナタクさんを基準にすると物差しのメモリがおかしなことになるので止めた方がいいです!!」


「確かに!そう考えると気が楽になりました」


「二人とも酷いです・・・・」



 三人で笑いあった後、ギルドの外までアキナと一緒に歩いてきて、ここで明日まで一旦別れて行動することになった。それと、一応明日の衣類の材料費として金貨が数十枚詰まった革袋をアキにこっそり渡したのだが、あまりの金額に受け取る手が震えていた。



「あの、先生?私を信頼してもらえて非常に嬉しいんですが。いくらなんでも、これは渡しすぎではありませんか?革袋が金貨でパンパンなんですが・・・・」


「妥協しないでいい物を作るにはそれだけお金がかかりますからね。使い切るつもりで材料を買ってきてください。アキの分もそれを使っちゃって構いませんので、最高の仕事に挑戦してみてください。お金なんて、物ができてから考えればいいんですよ」


「はぁ・・・・。先生がそれでいいなら、もうツッコミは止めておきますね。ここは、特大のスポンサーが付いたと思って頑張ることにします!今夜はデザイン画の作業に没頭することにしますね」


「しかし、本当に送っていかなくても大丈夫ですか?まだ明るいですが、直に暗くなりますよ?」


「はい、真っ直ぐ帰るだけなので問題ないですよ。たいした距離でもありませんし。それに、もし何かあったらPTチャットなどで知らせるので、その場合は助けてくださいね」


「それは勿論。では、無事に着きましたら、連絡だけはお願いしますね」


「なんか先生、年頃の娘を持つお父さんみたいですね♪分かりました、ちゃんと連絡入れますよ。それでは、少し早いですが、おやすみなさいです!」



 そう言って手を振りながら、アキナは足早に宿へと帰ってしまった。なんでも、早く宿に帰ってデザイン画を書きたくてしょうがないらしい。まぁ、PTを組んだままなので、もし何かあったらすぐに駆けつけることはできるので、確かに心配し過ぎたかもしれない。



「まだ、年頃の娘を持つほど年は取ってはいませんでしたけど。なんか、危なっかしい会社の後輩を見ている気分で、つい世話を焼いてしまうんですよね」



 まだ日が落ちるまでには暫く掛かる時間なので、この辺り一帯にある素材を扱っているお店を回って、明日に使う予定の魔導具の材料を買い集めることにする。流石職人ギルドが集中しているだけあって、様々な種類の素材を扱っている店舗が数多く点在していた。


 何店舗か回ってある程度の素材を買い集めることができたのだが、やはり日が暮れきってしまうと店じまいをしてしまう所が多かったので、欲しいものを全て手に入れることはできなかった。



「ある程度、部品を作れる工程までは進めておいて、明日朝一で市場巡りをして買い揃えることにしますかね。魔石もそろそろ買い足したいですし、明日は最初に冒険者ギルドでお買い物になりそうですね」



 最後に訪れた素材屋を出た時に、丁度アキナから『宿に無事に着きました』と連絡が入ったので、ナタクも明日への準備作業に入るため、足早にギルドの自身の実験室へと帰っていった。

おとうさん?(*・∀・*)


そんなに年上じゃないから!( ̄□ ̄;)!!


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