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第18話  転生3日目1-5

 

 アメリアはハーブティーも好きらしいので、せっかくなので先ほどのお手軽な入れ方ではなく本格的な淹れ方で持て成すことにする。


 ヤカンのお湯も沸いたので、いったんポットに何も入れないままお湯を注ぎ、ポットそのものを温める。その間にパレンの実を薄くスライスしてお皿に並べておく。


 次に茶葉になるハーブだが、転生初日にとっていた物を背負い籠に吊るして干していただけなので少し乾燥が足らなかった。なので錬金術を使って完全なドライハーブに加工する。


 準備をしているとポットもだいぶ温まっていたので、中のお湯をいったん捨てて、今度はポットの中にドライハーブとヤカンから高温のお湯を再び注ぎ込み、蓋をして5分ほど蒸らす。こういう時のステイタスボードのタイマー機能は非常に便利である。


 軽く片づけをした後、茶器とパレンの実のスライスをみんなのいる机に運び、最後に蒸らしているポットを運んでいると、丁度タイマーが鳴ったので、茶漉しを使ってそれぞれの均等になるようにティーカップに注いでいく。


 注ぎ終わったものをみんなの前に配ると、なぜか皆不思議そうにぽかんとしていた。



「随分と丁寧にお茶を入れていたが、ナタク君は給仕の仕事の経験でもあるのかい?」


「いえ、特にそういったことはありませんよ。昔からお茶は好きなので入れ方を勉強したことがあるだけですね。今回は本格的に淹れましたが、普段飲む時はもう少し簡易的に淹れていますよ」


「なるほどね、このパレンの実を入れて飲んだ方がいいのかな?」


「好みなのでお任せしますよ、そのまま飲んでも美味しいと思うので。ただ、ちょっとこのパレンの実は加工がしてあるので、甘みを強くして飲みたいならばお勧めです」


「ほほぉ。それは気になるね、では最初はこのまま楽しんで途中で入れさせてもらうことにするよ」


「はい、他の二人も好きにして飲んでください」


「あ、ありがとうございます。それでは、いただきます」


「はい、先生。私は先ほどと同じ飲み方で楽しみますね」


「ふむ、なかなか美味しいね。気に入ったよ、後で茶葉を分けてもらってもいいかい?」


「構いませんよ。ハーブも結構たくさんありますので、後で容器にいれてお渡ししますね」



 お茶のおかげで和やかな時間が流れ始めた。ミーシャもやっと落ち着いたのか、さっきまで疲れ切った顔が、お茶を飲んで緩んできている。



「それで、ナタク君達は二人でいったいナニをしていたんだい?」



 今度はミーシャがお茶を噴き出した。正面に誰もいなくてよかった。



「普通にポーションの作製ですよ。俺が等級5のポーションでアキが等級外ポーションを作っていましたね。ミーシャさん、後で買い取り査定お願いしますね」


「はっ!はい!!そ、そうですよね、ポーション作っていたんですよね。解りました、解ってましたよ!では、お茶を飲み終わったら早速査定させていただきますね、あははは・・・・」


「なんだ、その落ち着き方だと本当に何もなかったのか。まぁ、二人の服や髪の乱れもないしね、せっかくいじって遊ぼうと思ってたのに、個人的にはとっても残念だよ」


「おっかない事をサラリと言わないでください!」


「しかし、あのミーシャの奇行を見たら何かあったか気になるではないか。実に判りやすい変質者っぷりだったよ?」


「アメリアさん!しぃーーーー!!!」


「あはは・・・・、もういいですよ。それよりも、実は三人にちょっとお願いしたいことがあるんですけど、少しだけ宜しいですか?」


「うん?エロいことかい??」



 今度はアキナとミーシャが同時にお茶を噴いた。アメリアの前に座って正解であった。



「違いますって、新しいアイテムを作ったので三人にテスターになってほしいんですよ!もちろんエロくない方向で!!」


「おぉ!いったいどんな物を作ったんだい!ポーションかい?それとも薬剤かい!?」


「分類的には薬剤になりますね、現物を今から出しますよ」


 アイテムを三人の前に出すと、いち早くアキナがアイテムの正体に気が付き声を上げた。


「先生!これを何時の間に!?って、これレシピ存在していたんですか!?」


「先ほどアキがポーションを作っていた時に、時間が少し余ってしまったのでその時間を利用して作ってみました。レシピ解放と表記されたので、間違いなくこれは新レシピになりますね」


「おぉ!ナタク君が作ったばかりの新レシピか!それはすごい、もしかしてこれ3つ全部かな?これにはいったいどんな効果があるのだい?これだからナタク君は面白い、ささ詳しく話してくれたまえ!!」


「はい、三つとも新レシピになりますね。


 1つ目、これは『石鹸』といって身体を洗浄する薬剤になります。


 解りやすく言えば、アブルの実の上位互換のアイテムになりますね。使い方は、スポンジや布にこすり付けて使うのですが、しばらくすると泡が立ちますのでそれを体に塗りこむようになじませて使ってください。アブルの実と比べて、洗い終りの爽快感は段違いのはずですよ。


 2つ目のアイテムは『シャンプー』といいます。


 こちらは頭髪洗浄専用の薬剤になりますね。獣人の方ならシッポや体毛に使ってもいいでしょう。アブルの実で洗ったときのような髪のギシギシ感も無く、こちらもすっきりとした髪の仕上がりになる筈です。こちらも泡立ちますので、頭皮から毛先までしっかり泡で包んで洗ってあげてください。


 3つ目はこの『シャンプー』の後に使って欲しい『リンス』という、髪を更に美しく保ってくれる薬剤ですね。


 これも頭髪専用の薬剤になります。痛んだ髪の毛を補修して髪をサラサラにする効果がありますね。こちらは髪の長い方ほどより効果を実感できると思うので、是非アメリアさんに試して欲しいですね。ちなみに、これだけは泡立ちませんので覚えておいてください。


 以上この三点のテスターをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?昨日貰った冊子を読んで見つけたのですが、確かここの研究棟には入浴施設がありましたよね?」


「あぁ!ばあちゃん監修の魔導具付きの豪華な入浴施設が確かにあるね!元々遺跡からの発掘品を研究して再現したものを実験を兼ねて導入したから、どこの入浴施設より豪華で機能性に優れている一級品さ!よし、早速試しにいこうじゃないか。ナタク君、二人は借りていくよ!」


「詳しい使い方はアキが知っていると思うので聞いて使ってみてください・・・・ってもう行っちゃったよ」



 アメリアは両脇にアキナとミーシャを抱えて部屋を出て行ってしまった。まぁ、二人がアイテム持っていったし大丈夫だろう。そう考えていると、不意に開いたままの扉からひょこっとアメリアが顔を出した。



「ナタク君も一緒にお風呂に入るかい?(ニヤニヤ)」


「入りませんよ!!馬鹿いってないで早く行ってきてください!!!」


「それは残念。では今度こそ行くぞ2人とも!!あはははは!!」



 廊下にアメリアの笑い声と二人の悲鳴が木霊していた。聞かなかったことにしてゆっくりドア閉めておく。


 さてと、総じて女性のお風呂は長いし、アメリアに関してはだいぶ髪の毛が痛んでいそうなので、パックなどをして更に時間がかかるだろう。たぶんお土産を要求されそうなのでこの空いた時間で三つのアイテムを量産しておくことにする。


 レシピがもうすでにあるので失敗することはもうないだろうし、後は香りのバリエーションをいくつか増やしておくとする。あまり自分から甘い香りがしても変だと思ったので、自分用にはミントのみで香り付けしたものを用意した。


 それと、安価な値段設定になるように動物性の油で作った石鹸も用意してみる。そもそも脂身は市場で捨て値で売られていたので、こちらは最安値の商品にして一般市民にも浸透しやすいようにと考えて用意した。


 さて、これで交渉用の商品も用意ができた。後はどこに売り込むかだけど、最初は商人のリックのところに直接持ち込むことを考えていたのだが、追加を作っている最中にちょっと面白いことを思いついたので、今回は他のところに売り込むことに方針転換をする。


 きっと個人的な稼ぎを考えれば彼のところに持ち込んで利益を独占した方がいいのであろうが、それでは面白くない。自分はこの世界に技術革命を起こすために来たのだから。


 そうと決まればプレゼン資料を作成せねばと、片付けをそこそこに今度はレポート作りを開始する。資料は二部構成になっており、片方は錬金術を使用した作り方、そしてもう片方は材料以外は錬金術を使用しない物を用意した。等級5相当のレシピなのでそれほど難しいこともなく、レポートをあっさりと仕上げてしまった。


 後はなにを用意するかを考えていると、扉から来客を告げるチャイムが鳴ったので迎え入れることにする。どうやら三人が入浴から帰ってきたようだった。



「見てくれたまえ!!私の髪がここまで煌いたのは、きっと生まれて初めての体験だよ!!」



 部屋から出て行いった時のテンションよりも、更にご機嫌になったアメリアが戻ってきた。後の二人も使い心地がよかったのか、とてもご満悦そうで何よりだ。


 他の二人の髪の仕上がりも素晴らしかったのだが、アメリアのその髪の変化は一段と凄かった。


 あまり手入れをされていなかったであろうダークブルーの髪は、いまや光沢を得てきれいなブルーの髪へと進化していた。また癖のついた髪は痛んでいたためにウェーブがついてしまっていたらしく、今はサラサラとした絹のような髪に様変わりをしている。またアメリアが歩くだけで揺れる髪から、まるでバラの庭園にいるかのごとく心地よい香りが漂ってきており、彼女自身の魅力を何倍へと高めていた。



「ナタク君は私達をここまで磨き上げていったいどうするつもりだい?美味しく食べてしまうのかい??(ニヤニヤ)」


「人聞きの悪いこと言わないでください、食べませんから!!てか、ちゃんとテスターって言いましたよね?そっちの二人もお願いですから、露骨に後ずさりしないでください!!」


「なんだいつまらないなぁ、今ならちょっとはその気になったかもしれないのに!しかし、これは素晴らしい発明だよ。きっと売り出したならば国中の貴族のご夫人達もこぞってこの商品を買い求めるだろうね。私が絶対の自信をもって断言させてもらうよ」


「それは素直に嬉しいですね。三人の様子を見てから売り込みに行こうかと思っていたので」


「私の感想は大満足だよ!なんでこんな素晴らしい商品が今まで存在しなかったのかを解き明かしたいぐらいさ。元々アブルの実で髪を洗った時のあの感じがすごく嫌いでね。そのせいで髪を洗う行為自体が大嫌いだったんだけど、これがあるなら毎日でも洗いたいぐらいだよ!


 それで、この素晴らしい商品をどこに売り込みに行くつもりだい?なんだったら一緒について行ってこのアイテムの素晴らしさを大いに語ってあげようではないか!」


「それは心強い。ちょっと大口の取引相手にこの商品のレシピと製法を売りつけようと考えていたので助かりますね!」


「そうなのかい!して、その取引相手に選ばれた幸運の人物はいったい誰なんだい?」



 そして、ナタクがにっこりと微笑みながら、ある人物の名前を口にした。















「それは、この“イグオール”を治める領主様です!!」







エロいことかい?(`・ω・´)キリッ



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