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リアルダブル  作者: 干物スタッフ
9/10

一日振りの再開

ゆっくりと目を覚ました


目の前にはカンナがいた

軽い頭の痛みはカンナの頭とぶつかった

ものだろうか



凄い密着されてる


カンナはまだ寝ていた

その白い髪の毛をサラサラと撫でて楽しんでいる


起きる様子が無いので背中をぽむぽむと

数回軽く叩いて名前を呼んだ


「おはようカンナ

そろそろ起きないか?」


「ん~…

あ…お兄ちゃんだ~…」


そう言い抱きつく力を少し強めたカンナは

そのままゆっくりと赤い瞳をこちらにむけた


「おはよお兄ちゃん

昨日の夜中にお兄ちゃん来たよ」


「そうかそうか

何か久しぶりな気がするな」


そう言いつつ体を起こそうとする

だけど体を起こす事が出来なかった

カンナが抱き着いたまま離さなかった


「もうちょっとだけ…!」


その言葉を聞き体の力を抜いた


再びベッドで休みカンナの方へ体を向けた


するとやっぱりぎゅっと抱き締めてくる

カンナがとても可愛いく思える


こっちも抱きしめ返すと少しだけ

カンナの体温が上がった気がする


温かさと女性特有の柔らかさが少し

心地好く感じる


カンナは随分と甘えてくる

一日空けたからだろうかと考えしばらくの間は

カンナに身を委ねていた


いつまでそうしてただろうか


そろそろ行こうかとカンナに声を掛け二人で外に出た


少し緊張した面持ちでカンナが横に立っている


というのも今はギルドの扉の目の前だからだろう


「行こうか」


そう言い扉を開くと視線がこっちに集まった


カンナはびくっとして咄嗟に俺の右手を

強く握った


それを拒むことなく優しく握り返してやる


少し安心した様子のカンナの手を引いたまま

そのまま奥へと進んだ


「おばさんあの時ほんとにありがとうございました」


そう感謝の告げて頭を下げた


カンナもそれと同様頭を下げた


「そうかい、それは良かった」


「お前さん、この前言ったことを覚えておるかい?

この世界で生きるためには非力すぎると」


この世界に来て二回目

その時に会い、言われた言葉だった


「はい…」


「そう落ち込むんじゃないよ

あんたは…その子を守るんだろ?

少し荒っぽくなるが…その子を守る力が欲しいかい?」


おばさんは真剣な顔付きでそう尋ねた


「どうすればいいのですか…?」


「そうさね…

アンタには一片死んでもらう事になる」


「えっ…

それってどういう事なの!」


死という恐ろしい言葉に咄嗟に答えたのは

俺ではなくカンナだった


「そこの男は見たところ魔力血栓も開いていない

それを私は無理やりこじ開ける事が出来る」


「おかしな話さね…

アンタはこの世界の人かい?

この世界の人は生まれた時から皆少なからず魔力血栓が開いているものだよ」


「アンタは例外も例外さね

だからこそ化ける可能性がある

ただ…耐えれなかった時は死ぬ」


どうする?

と尋ねるようにこちらに目を合わせてくる


カンナは俺の顔を見ている

その綺麗な赤い瞳をこちらに向けて心配そうに

ただ俺の返答を待っている




(俺は…)


(俺はカンナを守りたい…守ってやりたい)


どの道ここから進めなくては野垂れ死にする事は

目に見えている


この世界で生きていく上で働けないなら

ギルドに入りそこでこなしていくしかない


それさえ今詰んでいると言われてるなら…





カンナの瞳を真っ直ぐ見据え俺は決意を決めた



カンナはその様子で全てを理解した





俺は…守りたい人を守るために




「お願いします」





「いい覚悟さね…

さぁ…一度死んでおいで」




バチバチバチバチ!




瞬間


体がスパークした


最後に目に映ったのは泣き出しそうな顔で

駆け寄ってきたカンナの姿だった

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