事故
(頭が痛い……)
(頭だけじゃないな…
体もそうだしどこもかしこもだ
なんでこんなことになったんだっけかな…)
ボーッっとする頭を働かせてこの痛みの原因を
思い出した
(そうだ…あの時俺はトラックに轢かれたんだ)
学校の帰り道に音楽を聴きながら帰っているとき小さな風船を追いかけている女の子がいた
太陽の光を反射させるほど綺麗な白い髪が
印象的だった事は覚えている
小さい時は何も考えずに毎日が過ぎていく
毎日が楽しいことに溢れていた等と考えていた
今じゃ学校へ行き
勉強をしてご飯を食べる
そして夜になると眠る
ただそれを繰り返す毎日
何も変わらない日常
正直飽きていた
何か刺激が欲しいと考えていた
行動を起こさないとそんな事は起きないと思っていながらも起こせないでいた
俺に何が出来るわけでもないと決めつけていたから
俺を一言で表すなら平凡
それだけで事足りるだろう
色々出来るが肝心な所は抜けている
(器用貧乏とも言われるしな…)
等と自己嫌悪に陥っていると不意にクラクション
が聞こえた
ファァァァァァァァァァァァン!
大型のトラックが先程風船を追いかけていた
女の子にたいして鳴らしているクラクションだ
女の子は風船を追いかけていた
トラックの事など頭にないのか音の鳴る方へ
振り返ることもない
(嘘だろ!?)
数秒後あの女の子は死んでしまうのではないか等今起きている事を理解しようと頭を回転させる
(どうすればいいんだ!?何をしたら!!)
考えてる間も時間は流れ続ける
走っていた
頭で考える事じゃない
考えていたら間に合わないと脳が判断したんだろう
ファァァァァァァァァァァァン!
ファァァァァァァァァァァァン!
クラクションが鳴り響く
女の子の側まで来た
後は突き飛ばすだけだと自分に言い聞かせる
だが進んだ時間は無常にも少年と少女を吹き飛ばした
少年は咄嗟に女の子を抱え込むようにした瞬間意識を失った
トラックに轢かれたその場所には少年少女と
血に染まった学生証だけが残っていた