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来訪者

〆の前の再登場キャラその1、その2。

 姉からのメールは気にはなったものの、真正面から対峙する気力もないので、スルーすることにした。


 つまりは見なかったことに、だ。


 姉は滅多にこんな人を不安にさせるようなメールを送ってくることはない。


 親父は別だが。


 だから、きっとよっぽどのことがあったんだろう。


 それは推察できる。


 それだけに面ど……、厄介だ。


 しかし、俺はここ一番の厄介事を片づけたばかりなので。


 つまりは非常に疲れているのである。


 普段使わない神経や頭を酷使過ぎた。


 だから。


 すまん、姉よ。


 俺には今その余力がない。


 もともと俺にはトラブル解決能力なんぞない。


 相談なら下の弟のがはるかに役立つ。


 実際俺にこんなメール送っておいて祐史にはなにもないなんてことはないだろう。


 おそらく。


 希望的・観測的には。


 だから、な。


 祐史、後は頼んだ。




 そんな、人でなしなことを考えながら帰途につくと、俺の家の前にふたつの人影があることに気がついた。


 なにやら揉めているようだ。


 嫌だな、人ん家の真ん前で。


 面倒くせえ。


 眉を顰めながら近づいていくと、その人影が見覚えある人物のものだと気がついた。


 あれは……。



「な、なんなんだ、さっきから君は! 離したまえ! 失礼にもほどがある!」


「誰が離すか、この不審者! 辰巳の家の前でこそこそしやがって!」


「こそこそなんてしてないぞ! 僕は彼の知り合いだ! 兄のようなものなんだ! ただ彼が出かけているから帰ってくるのを待ってただけだ!」


「嘘つけ! そもそも本当の知り合いなら家の中で待ってるだろ!」


「本当だ! 僕だってそうしたかったが祐史君に、こちらには用はないのでお帰りを、と締め出されただけなんだ!」


「やっぱり不審者じゃねーか!」


「違う! そもそも君こそなんなんだ!」


「ふん! 不審者に教える義理はないが、せめてもの情けに教えてやる。俺は辰巳の友人だ!」


「そっちこそ、嘘をつけ! 彼に君のような粗野な友人がいるはずないだろう!」


「なんだと!」



 …………………………………………………………………………………………………………………………………。


 Uターンして幸広ん家戻って今夜も泊まらせてもらうかな。


 そう、逃避のように思った俺に、その人影×2はやっと気がついたかのように声を上げた。


「辰巳!」


 と、松江。


 なんでおまえここにいんの?


「義弟よ!」


 と、萌田兄。


 だから誰が義弟だ。


 そしてふと気がついた。


 当然の姉からのメール。


 突然の萌田兄の来訪。


 松江は知らん。


 その、符号の一致。


 理由まではわからんが、まったくの無関係ではないだろう。


 どうしてこう次から次へと……。


 俺は、脱力した。






 ああ、本当に面倒くせえ。


本当はラストに全員集合予定でしたが、メインキャラ重視の為、美沙姉・萌田兄・松江君はここでまとめます。次回へ続く。

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