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幸広家本家

ゆっきー宅到着。

「こ、ここが、ゆ、幸広君のおうち、で、ですか……?」


「そうだよ、ここが幸広本家。幸広家は古くからの大地主で、幸広雪路はその本家の嫡男なんだ」


 萌田の呟きのような質問に、近衛は頷いてそう答えた。


 放課後、幸広の家として連れてこられた家の前で俺と萌田はその巨大さに思わず圧倒された。


 連れてきた近衛は当然のような顔をしているし、御加賀見も変わりはない。


 俺は幸広の家、と聞いておもわず学校近くのマンションのことだと思っていたのだが、蓋を開けてみれば自宅の方だった。


 まあ、マンションの方はそこにあれば便利、という扱いだったはずだから考えてみれば当然であろうが、幸広の自宅は当然という代物とは程遠いものだった。


 御加賀見の家が洋風の豪邸と言うなら、こちらは日本家屋のお屋敷。


 しかしこの塀、どこまで続いているのか。


 端が見えないんだが。


 萌田もお嬢のはずだが、このリアクションから見ると、自宅は一般的な想定の範囲内だろうな。


「それにしても、こういう日本的な建物も素敵ですわよね。雅紀がお望みでしたら、別邸で用意いたしましょうか? これだと少し小さいでしょうから、昔の平安貴族の寝殿造を参考にして」


 これが小さい?


 御加賀見、お前はもう少し謙虚さと常識を知れ。


「んー、お嬢様、それは雅紀にはひかれることはあっても好感は得られませんよ。常識外れと思われてますよ、きっと。これだけ一緒にいれてもそれすら把握できてないなら、さっさと諦めたらいいんじゃないですか」


「余計なお世話ですわ!」


 そして近衛は何故そこまで俺の心が読めるんだ。


 ……ん?


 この感じ、何か既視感があるような……。


「まあ、おしゃべりはこの辺として……、そろそろ行きますか」


 近衛はそう言うと、インターホンを押した。


「そう言えば近衛、事前にアポイントメントはいれてますの?」


「いえ、入れてませんよ? でも大丈夫ですよ、問題ありません」


「そ、そうですよね。わたしたち、幸広君の、お、お友達ですし……!」


 こくこく頷く萌田に、近衛は笑みで返した。


「それもそうなんだけど……」


『はい、お待たせ致しました。どちら様ですか』


「ああ、お久し振りです。近衛君です」


 誰何すいかを尋ねる声に、近衛はそう返した。


 が、その返答に俺は首を傾げた。


 ……久し振り?


 近衛は以前もここにきたことがあるのだろうか。


『近衛……君様……?』


 戸惑うその声からしばらくして、小走りでこちらへ走ってくる足音が聞こえてきた。


 そして、開かれる巨大な木製の門。


 そこに立っていたのは、淡い色の着物を纏った年配の女性の姿。


「君様……!」


「やあ、久し振りです、ばあやさん」


「まあ、まあ、まあまあまあ……! こんなに大きくなられて……! よくお戻りになられました……、君様……!」


「戻る?」


 戻る、というのはつまり、そこが戻ると呼ばれるのに相応しい場所ということで……。


 近衛は唖然とする俺に向かって、にっと喰えない笑みを浮かべて言った。


「改めて紹介するね。ここは、幸広雪路の自宅……、であると同時にこのボク、近衛君の実家でもあるんだ。つまりは……」






「ボクと幸広雪路は、親戚だってことだよ」


次回、ゆっきー登場なるか。

たぶん出て来ない、予定。

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