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君の名は 3

サブタイトルが同じなのは、関連性があるからで。

考えるのが面倒だったとか、そんなこと。

ない、はず。

 2度目の出会いは、小学校3年の春。


 再会は桜の花が舞い落ちる下で。


 学校帰りに、そいつはいた。


 桜が立ち並んでいる通りで、まるで辺りは一面の桜色の花吹雪。


 そいつは、楽しそうにくるくると踊るようにまわっていた。


 およそ半年近く過ぎていたけど、すぐにあの冬の日の変な奴だとわかった。


 あの日、そのまま名前も名乗らずに別れていたから、そいつの名前は知らなかった。


 どこに住んでるとも尋ねなかったから、家も知らない。


 ただ、同じ学校の生徒ではないことだけはわかった。


 こんな変な奴、いたらわからないはずはない。


 ふと、そいつは俺に気づき、くるくるまわるのをやめた。


 そして、ふっと笑みを浮かべた。


「やあ、久しぶり」


 そして、ごく当たり前のように、そう挨拶した。


 そして、たたたと俺のそばまで駆け寄ってくると、ついと袖を引っ張った。


「ほら、こっち来てみなよ」


 そういって、さっきまでそいつがくるくるまわっていた場所まで連れてこられた。


「ここが、一番綺麗なんだ」


 相変わらず、突拍子もなくマイペースな奴だった。


 そいつは俺を連れ、もとの場所まで戻ると、両手を広げまたまわり始めた。


「はは、綺麗だねえ。本当に綺麗だ。こんな綺麗な光景が年に一日かそこらしかないんだよ。ボクらは本当についてる。雨が降ったらお終いさ。天気が悪くてもイマイチだ。こんなにいい天気で、さわやかな風もあって、桜の花びらがハラハラと舞う。最高の気分だね」


 そう言いながらくるくるまわるそいつを見ている俺に、そいつは不思議そうな顔をしてみせた。


「ん? もしや、桜が嫌いなのかい?」


「……嫌いとかじゃなく、そんなことする意味がわからん」


 そう答えた俺に、そいつはいきなり、にっと笑みを浮かべると、俺の両手をもって強引に一緒にくるくるとまわりはじめた。


「そんなの、決まってるじゃないか」


 引きずられるように一緒にまわりながら、俺は「なにが」と問いかけた。


「もちろん」


 そいつは、満面の笑みで答えた。


「楽しいからさ」


 本気でそう思ってるとわかるそいつの様子に、俺はなにも言えなかった。 


 俺はそのまましばらくそいつにつきあって、桜の花びらが舞う中で踊るようにくるくるとまわっていた。





 

 またも、そいつの名前を聞くのを忘れたと思い出したのは、その日の夜寝る前になってからだった。


次回もたつみん回想回。

そしてサブタイトルは、「君の名は 4」。

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