待ち合わせ 2
集合二人目はゆっきーです。
「で、他の奴らは?」
「あ、はい。御加賀見さんはまだです。幸広君はさっきまでいたんですが、ちょっとお手洗いに……」
「あ、たつみんだー。やほー」
そんなのんきな声とともに現れたのは、幸広雪路だった。
「たつみーん、今日はたくさん楽しもーねー。……と? あれ、一緒にいるのは誰ー?」
「おはようございます。弟の辰巳祐史です。いつも兄がお世話になってます。今日は一緒に同行させてもらうことになりました」
「へー、たつみんの弟君かー。……うん、ずいぶんしっかりしてそうだねー。今中3だっけ」
「はい」
「そかー、うん、よろしくねー。僕は幸広雪路、君のお兄ちゃんの親友さっ」
「誰がだ」
「楽しい人ですね、幸広さん」
「あははー。あれー、でもこのことお姫様は知ってるのー?」
「いえ、言ってませんから」
「へえー、そう。じゃあ、来たらびっくりするねー」
ああ、びっくりするだろうさ。
祐史と御加賀見の舌戦に。
「それにしても御加賀見さん、遅いですね。待ち合わせ時間、今ちょうどなのに」
「ああ、あいつにしては珍しいな」
御加賀見は基本きっちりした性格だから遅刻は普通ありえない。時間にも厳しいはず。
「あ、これはあれだね」
幸広が楽しそうに手を叩いた。
「あれ?」
「あれだよ、あれ。デートの時に、彼女が『ごめーん、遅れちゃった。今日が楽しみでなかなか眠れなくて。寝坊しちゃったよ、てへ』とか『あなたに一番綺麗なわたしを見てほしくて、一生懸命オシャレしていたらいつの間にか時間が過ぎてて、ごめんなさい』とかゆー奴」
「あ! わたしそれ小説でそーいう展開の読んだことあります。……ちょっと憧れちゃいます」
「ねー、だよねー。 定番だよねー?」
「……御加賀見はそんなタイプじゃないだろ」
「嫌だな、たつみん。お姫様はぐるぐる考えて一周半くらいまわっちゃうとそういう結論に行きついちゃうタイプだよー?」
「あはは、もしそうなら(腹の底から)思いっきり(嘲)笑ってしまいますね」
祐史、黒い黒い。すでに爽やか君の仮面が剥がれてきてるぞ。
「ま、雅紀……!」
そこで現れたのは、噂の当人の御加賀見。
小走りで来たのか、少しあがる息。
揺れるサラサラの黒髪。
真っ白な清楚なブラウスと、繊細なレースが施されたロングスカート。
周囲の視線を一斉に集める、その完璧な美少女っぷり。
「ご、ごめんなさい。どんな服装が、一番雅紀のそばにあるのに相応しいか迷ってたら、いつの間にか時間が……」
まさかの定番だった。
と、そこで、御加賀見の視線が一点に釘付けになる。
そこには、俺の横に並ぶ、祐史の姿が。
「な……、なんであなたがここにいますのー!?」
ゴーン、と聞こえないはずのゴングの音が鳴り響いた気がした。
でも三人目のお姫様も登場。




