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お出かけ前夜:辰巳祐史の場合

今回は弟君の情報源は、の話です。

 明日は兄さん達がテーマパークへ出かける日。


 僕はカレンダーの見て、溜め息をついた。


 結局、兄さんは僕にそのことを言ってくれなかった。


 言うと面倒って思ってるんだろうけど、僕は知ってるのに。


 内緒にされて、少し寂しいけど、明日の兄さんの反応は楽しみかな。


 きっと驚くだろう。


 なんで知ってるのかって。


 ふふ、駄目だよ兄さん。


 僕の目をごまかそうだなんて。


 そんなこと、見逃してあげないよ。


 ふと、電話のコール音が鳴りだした。



「はい、……ああ、姉さん。


 はい、こんばんは。


 うん、そうだね。


 うん、やっぱり兄さんは言ってくれなかったよ。


 うん、大丈夫、嫌とは言わせないから。


 はは、それよりそっちはどう?

 

 そう、萌田さんのお兄さんの足止めは出来てるんだね。


 ふーん、大丈夫だった?


 へえ、そっか。


 うん、大学の。


 そう、教授に動いてもらったんだ。


 そうだね、それなら間違いないね。さすが姉さん。


 で、どうやったの?


 へえ、そうなんだ。


 うん、よく考えたね。


 ふふ、まあそう言わないで。


 そう、姉さんも生理的に嫌いな人間のそばにいるのは苦痛だよね。


 うん、でも兄さんのためだもんね。


 うん、兄さんのためならどんなことだってするつもりだよ。


 そう、僕も生理的に受けつけないあの人と一日一緒にいるのはとても苦痛だけど頑張るよ。


 はは、まあそうだね。姉さんよりはましか。


 うん、天国と地獄が一緒にあるようなものだね。


 そうだね、姉さんは地獄のみか。


 え、ああそうだね、ちょうどよかったよ。


 ああ、いい機会だと思うよ。噂の幸広さんと萌田さんに会えるのは。


 うん、よく観察させてもらうよ。兄さんの害にならない相手かどうか、ね。


 はは、そうだね。頑張るよ。


 うん、わかった。姉さんも頑張ってね。


 もう、考え過ぎて胃に穴あけないようにね。


 そう、うん。そうだね。お互い様か。


 了解、後でちゃんと連絡するよ。


 じゃあ、また」


 僕はそう言うと通話を切った。


 舞台を整えてくれた姉の健闘を祈りながら、僕はうっすらと笑った。






「本当、明日が楽しみだよ、兄さん」

しかし弟君、立派にヤンデレへの道へ進んでおります。


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