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弟の情報源に戦慄する

予告通り、テーマパーク編スタートです。

 そして、約束の日(一方的な)。


 ああ、面倒くせえ。行きたくねえ。


 どうして休みの日にあのメンバーに会わなけりゃなんねーんだ。


 御加賀見・幸広・萌田。


 どれをとっっても面倒な奴らばかり。


 しかも行きたくないと言ったら萌田に涙ぐまれ、幸広に丸め込まれ、御加賀見に微笑まれた。


 御加賀見のあの笑顔の意味はなんだ。


 俺は溜め息をつくと、服を手にとった。


 さすがに制服で行くわけにはいかないから、今日はTシャツにジーンズ。それにパーカー。


 おしゃれのおの字もない格好だが、面倒だしこれでいい。


 待ち合わせ時間はいつもの登校の時間よりだいぶ早い。


 祐史に言うと面倒なので、今日はちょっと出かけると言って出てしまおう。




「おはよう、兄さん」


「……はよ」


 居間に入るとすでに祐史がいた。


 祐史はすでに着替えて新聞を読んでいた。


 いつにもまして早いなこいつ。いつ起きたんだ。


「今朝は手早く食べられるようにBLTサンドとカフェオレだよ」


「……手早く?」


「うん、だって今日出かけるでしょう。さあ、早く座って食べて」


「……」


 なぜ知ってる。


 言った覚えもないが。


「うん、兄さんからは聞いてないけどね」


 だから何故そこでその返事がくる。


 人の思考読むにも程にしろ。


「今日はテーマパークにいくんだよね。萌田さんがお詫びでくれたチケットで」


「……」


「メンバーは萌田さんに、幸広さん、それに隣りの千草さんだよね」


「……」


「僕、萌田さんと幸広さんには会ったことないんだよね、まだ」


「……」


「よかった。一度挨拶しておきたかったんだ」


 よかった?


 挨拶?


「今日は僕も参加させてもらうね」


「……は?」


 なんですと?


 祐史はにこにこしながらカフェオレの準備をしている。


「これは決定だから。はい、兄さん」


 そう言って、祐史はカフェオレを俺の前に置いた。


「でもおまえ」


「でもはなしだよ、兄さん」


「だけどチケット……」


「萌田さんが用意したチケット、5名まで無料なんだよね?」


 だからなぜ知ってる。


「兄さんと、萌田さんと、幸広さんと、……千草さんと、僕とで5名。問題ないよね?」


 いや問題あるだろ。しかもなぜ御加賀見の名前の前でためた、弟よ。


「だけどおまえが行くって言ってねーし。俺が用意したチケットじゃねーし」


 そう言うと、祐史は駄々っ子でも見るようなまなざしで俺を見た。


 なぜだ。


「大丈夫だよ、兄さん。萌田さんは性格的に喜ぶと思うし、幸広さんも性格的におもしろがると思う。千草さんのことははなから知ったことじゃないしね」


 だからなぜおまえは会ったこともない相手の性格的に思いそうなことを知ってるんだ。どこからそんなネタ持ってくるんだ。


「どのルートから仕入れた情報かって? それは、うーん、秘密」


 祐史は顎の下で手を組むと、にっこりほほ笑んだ。 


「ふふ、僕が兄さんのことで知らないことがあるだなんて、そんなこと許容できるはずないじゃない」






 俺の背筋に戦慄が走ったことは言うまでもない。

このテーマパーク編はゆっくり展開していく予定です。

よろしくお願い致します。

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