とあるクラスメイト(男子)たちの会話
他者群像視点・男子バージョンです。
「なあ、御加賀見さんと萌田さん、どっちのが好み?」
「えー、御加賀見さんだろー。超綺麗じゃん」
「いや、だってちょっと近寄りがたいだろ。その点萌田さんはふわふわしてて、ちょと抜けててかわいいしー」
「いや、あれはドジっ娘レベルじゃねーって。われらが生徒会長様だろ、そこは」
「……でもたまに寒気がするほど怖えー時あるよな。俺は無理だわ。うん、萌田のがいいな」
「えー、あのキョドリは俺ないわー。それより御加賀見様に見下されて踏んでもらいたい」
「げっ、おま、そーゆー趣味か。近寄んなよ、しっしっ」
「ひでー」
「ぎゃはは、でも確かに御加賀見さんは女王様、だよな。本人目の前にして言ったら冷たい視線で石にされそうだけど」
「言えてらー」
「まあどっちにしても俺らにゃ縁がねーわな」
「ああ、付き合うなんでぜってーありえねえって」
「つーかさー、あの人らに対等でいられる人間って、やっぱ限られた奴だけじゃね? 選ばれた人間っての?」
「あー、なー。幸広とかなー。あいつすげーよ。顔いーわ、背ー高けーわ、頭いーわ、運動神経抜群だわ、金持ってんわ。でもって性格もいーしなー。女に激モテるからふつーはヤローからは男の敵って嫌われそーなもんだけどよ」
「幸広チャライけど、女にも男にも態度かわんねーもん。いー奴だよまじ」
「俺はなんか苦手だけどな。だって腹見えねーんだよあいつ」
「あー。それはわかるかもー。でも、あいつ辰巳にだけは態度違うよなー」
「あー、それそれ。御加賀見さんも萌田さんもだよ。何者だよ辰巳って」
「よくわかんね。ただでさえ喋んねーのに、いつもあの三人の誰かがくっついてて接点ねーし」
「あいつどんな奴?」
「地味じゃね?」
「暗いよなー」
「別にこれと言って飛びぬけてるとこもねーよな。顔もフツーだし」
「でもあの3人の特別だぜ? なんかあんじゃねーの?」
「弱み握ってるとか?」
「ナイナイ。どっちかってーと、あの3人に囲まれて辟易してる様子だしよ」
「……辰巳、かー」
「お、なに、なんか知ってんの?」
「いや、あの3人と何があったかとかそーゆーのは全然。でも、ちょっとわかる気がするんだよな」
「意味深じゃん。なんだよそれ、早く言えよ」
「いや別に、そんなたいしたことじゃないんだけどさ。……俺、こないだ彼女に振られたって言ったじゃん?」
「ああ」
「でもそんな気にしてる様子なかったよな。もうわかってた、みたいな状態だったって」
「ああ。そう言ったし、変な気つかわれたくなくてそうつくろってたよ。でも実際は結構キてて、辛かったんだよな。あんま顔には出てなかったはずだけど。だけど、そんな時、辰巳、俺を見てさ。普段全然話したこととかもねーんだけど」
「うん」
「辛そうだな。無理すんなよ、って」
「おー」
「辰巳、たぶん俺が振られたとか知らねーはずだったんだよ。でもさ、なんか、そう言われて、俺、心が軽くなったってか、本当は辛いのわかってもらえたってか、めちゃ嬉しかったんだよ」
「そっか……」
「悪かったな。あの時慰めるどころかチャカして」
「それはいいんだよ。俺もあんまり触れてほしくなくてそう振る舞ってたんだから。そうじゃなくて、辰巳の話。だからさ、きっとあの3人もきっとそんな辰巳のそんなところにキてんのかなって」
「あー」
「そうかもなー」
「うんうん」
「でもさ、結局」
「辰巳って、何者?」
次は女子です。




