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松江君の日常

久しぶりの松江君です。覚えていらっしゃいますでしょうか。

「松江、今日の放課後カラオケでも行かね?」


 そうクラスメイトから昼休みに声をかけられた俺は片手をあげて断る。


「わりいな。バイトがあるんだ」


「またかよ、おまえいくつ掛け持ちしてんの」


 そのクラスメイトは呆れたようにそう言った。


「あーと、今は2つだな。時間的な条件あえばもういっこ増やしたいけど」


「はあ? まだ増やす気かよ。なににそんなに金使うんだよ。おまえ別にブランド好きじゃねーだろ」


「ブランドものなんかいらねーよ。金は大学進学の費用だな」


「なにそのまじめな理由。つまんねえ。親は出してくれねーの?」


「つまんなくて結構だよ、ほっとけ。親は一応出してはくれるけどさ、どこ行くかわかんねーんだから、多めに用意しておくにこしたこたねーだろ。うちそんな余裕あるわけじゃねーし」


 そう、俺がバイトに精を出し金を貯めている理由。


 それは辰巳がどこへ進路を決めてもいいようにしておくこと。


 その為には勉強にも手が抜けない。

 

 高校は駄目だったが、大学こそは出来れば同じ学校に入りたい。


 そして同じ場所で楽しいキャンパスライフを過ごすのだ。


「ふうん、偉いなー。俺は先のことなんてなんも考えてねーよ。おまえなんかなりたい職業でもあんの?」


 職業か……。


「そこまで考えたことはなかったな」


 ふむ。


 これはよく考えた方がいいか。


 同じ大学へ進学できてもその期間はせいぜい4年間。


 それはそれでとても楽しいだろうが、さすがに職場まで一緒、というわけにはいかないだろう。


 できれば、辰巳の役にたつ、というか頼りにされるような職業がいい。


 医者や弁護士は知り合いにひとりはいるといいと言うし、どうだろうか。


 しかし、俺の頭でなれるだろうか。


 もしくは、警察官とか?


 警察官は市民の安全を守るため、ひいては辰巳を守る為……それもいい。


 だけど、辰巳に会えないのも寂しいしな。


 今もなかなか会えないが。


 辰巳、会いたいな。


 旅行とかも行きたい。


 将来は、俺の家庭と辰巳の家庭で一緒に旅行とかってのもいいな。


 それでお互いの子供を仲良くさせたり。


 うまくいけば結婚に発展したりとか。


 そうなった時には、「俺達、これからは本当に親戚になるんだな」とか言ってみたり。


 なんだそれ、いいなそれ。まじいいな。


「……い、おい、松江、大丈夫か?」


「あ? あ、わりい、ちょっとトリップしてた」


「まじ大丈夫か? 気持ちわりい顔してにやにやしてたぞ」


「気持ちわりとは失礼だな。……でも、サンキュな」


 気味悪そうに俺を見るクラスメイトに軽くパンチを当てた後、俺はにっと笑ってみせた。






「おかげで、さらに先の将来の目標が決まったぜ」


松江君、生涯にわたってのたつみんス〇ーカー計画順調に歩んでおります。

たつみん知ったらきっと「キモい」というに違いなし。本当キモい。

世の中には知らないことがいいこともたくさんあるってもんですよ。

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