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ところでその弟は実在してますか

しかしこの学校教師はいるのか、全然登場ならず。

「おーまーたーせー。お兄ちゃんは来賓室に放り込んできたよー」


 そう言いながら幸広が教室に入ってきた。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 そんな幸広に、萌田はぺこぺこと頭を下げながら謝っている。


「んー? 別にいいよー。真っ白になってたお兄ちゃん、ひっぱったら一応自分の足で歩いたから、そんなに動力使ってないしー。んでー、どうするのかな? この後は」


「そうですわね、とりあえずは放課後まで様子見かしら」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「天使ちゃん、話進まないから謝んなくていーよー。問題なのはお兄ちゃんであって、天使ちゃんじゃないし」


「はい……、すみません……」


「でもあの方、いきなり何故現れたのかしら? そして、あのわけのわからない言動はいったいなんですの? 妹はやらないだの、意味がわかりませんわ。雅紀はわたくしのものですのに」


 おまえのじゃねーよ。


「すみません、わたしのせいです。お休みで大学から帰省してきた兄に、嬉しくってつい……」


「ついー? なにー?」


「素敵な男の子の友達が出来たって……」


「あー」


「で、でもわたし何度もちゃんと、お友達って言ったんです。本当です。でも、言えば言うほど、お兄ちゃん……」


「確認するけれど、萌田さん、あなた本当に雅紀のこと、異性としては意識されていないのかしら」


「も、もちろんです! 辰巳君はとっても優しくていい人だけど、とてもわたしなんかが釣り合う相手ではないですし。な、なにより、わたし、辰巳君と御加賀見さん、とってもお似合いだと思ってるんです……!」


 両手を胸にあわせ、そう言う萌田。

 

 いやまじやめて。

 

「まあ……、そんな、それは当然ですけど、そう言ってもらえると嬉しいですわ。ではやはり、問題はお兄様のようですわね」


 当然言うのやめて。


「そもそも、この年になってあまり妹にかまうことがおかしいのですわ」


 まあそうだな。あの言動は明らかにアウトだ。


「実際わたくしも弟がいますけれど、接点などありませんもの」


 は? 弟? いたのか? 見たことねーけど。


「たかが血縁と言うだけで兄弟を束縛する方がおかしいのですわ。たとえばわたくしの隣の、あの雅紀に寄生する弟ですとか」


 うちの弟は寄生生物扱いか。


「わたくしは弟の行動にまったく関心もありませんし、興味もありませんわ。……あら、実際あれは今どこにいるのかしら。というか、最後に会ったのいつだったかしら?」


 所在地すら不明か。興味あるなしの話どころじゃねえ。それはそれで問題ねーか。


「はいはいー、話それてるよー。でー、もーすぐホームルームだし、とりあえずここまでー。後は放課後持越しー。それまでにお兄ちゃん帰宅してるようならそれで、考えよー。まだ来賓室にいるようなら、そこできちんと話をしよー。ここまで乗り込んでくるようならお話しにならないので強制退場させるからね、いいー?」


 ぽんぽんと手を叩くと、幸広はそうまとめた。






 こいつを頼もしく思えるこの現状が怖い……。


弟君フラグきたー。

が、たぶん登場はまだ先かと。

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