調停者登場
申し訳ないですが、少し更新ペース落とします。
どーすんだこの状況、と思ってたところに、思わぬところから救いの主が現れた。
「おっひさー! たっつみーん!」
どすっ。
いきなり後ろから覆いかぶさってきたのは……、いつものテンションの幸広だった。
目の前の状況に気をとられてうっかり今日は抱きつかれてしまうのを避けられなかった。
「おっそいなーって思ってたらまだこんなところにいたんだねー。迎えにきたよー、たつみーん」
幸広はそう言うと、ぼすっと俺の肩に顎を乗せた。
そしてぐるりと周囲を見渡す。
「えーと、現状確認ー。たつみん疲れてるー、これ普通ー。お姫様怒ってるー、これも普通ー。天使ちゃん困ってるー、これも普通ー。僕達囲まれてるー、目立ってるねイエーイ。見知らぬお兄さんいるー、誰ー?」
「萌田の兄だと」
「ふううーん、天使ちゃんのお兄ちゃんかー。これがイレギュラーだねー。はい、原因確認終了ー」
幸久はぽんっと手を叩くと、周囲の生徒をぐるりと見渡して言った。
「はいはいみんなー教室行こーねー。ホームルーム始まるよー?」
それから萌田兄を見ると、にっこりと笑いかけた。
「お兄ーさんー? 見ての通り僕達これから教室に行かないといけないんだよー? 僕達は高校生で、今日は平日だからねー。だから、出直すか終わるまで待っててくれるかしてくれますかー?」
しかし、そんな幸広の正論にも、萌田兄は聞く耳を持ってないようだった。
「失礼だが、僕はその小僧に用があるんだよ。関係ない者は黙っていてくれたまえ」
「お兄ちゃん!」
「本当に、失礼なのはどなたなのかしら……」
「お姫様」
萌田兄の態度に再度怒りのオーラ溢れさせた御加賀見に対して、幸広は冷静な声でそれを制した。
「わかってる? これは本来お姫様の役割だよ。たつみんのことで頭に血がのぼるのはわかるけど、お姫様まで一緒になって同調しちゃ駄目だよ」
言われた御加賀見は、はっとなって口を噤んだ。
「それからお兄さん、僕は幸広と言って生徒会副会長です。この学校の生徒が絡まれてるのであれば、関係ない者ではないですよ。どんな事情、理由はあるかは知りませんが、これから学校が始まる時間です。それを阻害しているのはあなたです。ここはひいてもらいます。でなければ不審者として通報しますよ」
冷気を感じるくらいの声で、幸広はそう言いきった。
正直驚いた。
こいつ、普通の話し方もできるのか、と。
「なにを偉そうに……」
それでもひく様子のない萌田兄。
なにがどうしてそこまでさせるんだいったい。
俺がなにをした。
「っもう、お兄ちゃん!」
突然萌田が今までにないくらいの大声をあげた。
見ると、その目には涙が浮かび、肩はぶるぶると震えて、顔は真っ赤になっている。
「もうっ、もう…っ、もう! もう、お兄ちゃんなんて、お兄ちゃんなんて……、大っ嫌い……!」
ビシッ。
あ、なんか音がした。気がする。
見てみると、萌田兄が目を大きく見開いて固まっている。
萌田はそのまま、校内へと向かって走り去っていく。
ずるい、俺もそうしたい。
その場はしん……っ、と静まりかえった。
おい、この状況どうしろと?
ゆっきー、一番予定外の言動してくれます。
勝手に動きます。喋ります。
なので、実は最初に考えてたたつみんとゆっきーの出会いネタ、ミスマッチになりそうで再考必要になりそうです……。




