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新たな波乱

お兄様登場です。

 姉が戻り、休みが終わり、また日常が始まる。


 休みだったはずなのに、何故か異様に疲れた。


 はあ…………。




「兄さん、おはよう。今日はBLTサンドとオニオンスープ、それにレモンミントティーだよ」


「……はよ」


 そして、俺はいつもの通り祐史が作った料理を食べる。


 うまいわ、やっぱし。


 オニオンスープって、作り手によって結構差が出るよな、うん。


「今日からまた学校だね、忘れ物はない?」


 弟よ、お前は俺の親か。


 いや、親にはそんなこと聞かれたことはないが。


「ああ、そろそろ時間だね。……まったく、忌々しい」 


 最後にぼそりと呟かれたセリフ、兄は聞かなかったことにしておくよ。


 と、そこでドアホンが鳴る。


 バッグを持って、玄関を開けると、そこにはいつもの美少女が立っている。


「おはようございます、雅紀。お休みの間お会いできなくて寂しかったですわ。寂しすぎて死んでしまいそうでしたわ」


 大げさだなおい。


「おはようございます、千草さん。でもそんな繊細な振りなどされなくてもわかってますよ。あなたの神経が超硬合金並みの強度があることは百も承知ですから」


「まあ嫌ですわ、祐史さん。仮にも淑女に対してそのお言葉、紳士の風上にもおけませんわね。お兄様である雅紀を見習ってはいかがです?」


「兄さんは素晴らしい人でもちろん僕はその足元にも及ばないですよ。見習うなんておこがましいくらいだ。ただ、自分で自分のことを淑女と評するあなたには、適切な対応だと僕は思っていますが?」


「まあ、ふふふふふふふふ」


 おまえらいいかげんにしろ。


「もう行く」


「兄さん、行ってらっしゃい」


「雅紀、待ってくださいな」


 歩き出した俺に、祐史は笑って手を振り、御加賀見は慌ててついてきた。



「雅紀、久しぶりですわね」


「ああ」


「わたくし、休みの間も雅紀に会いたくて仕方ありませんでしたわ。でも仕事が忙しくて。雅紀でしたらわかってくださいますでしょう?」


「ああ」


「やっぱり、雅紀は優しいですわ。雅紀は休みの間、わたくしのことを思い出してくださいまして?」


「……ああ」


「まあ! 本当に? 嬉しいですわ。そんな気はしましたの。時々胸がほんわりあたたかくなることがあって、きっと雅紀がわたくしのことを思ってくださってるって」


「…………」


「でも時々妙に背筋がぞわりときたり、臓腑がむかむかすることがあって、あれはなんでしたのかしら?」


「………………」


「でも、それはともかく雅紀の気持ちがわたくし、とても嬉しいですわ。そうそう、息抜きに出かけた先の教会がとても素敵でしたの。結婚式の教会の候補のひとつとして、一度見に行ってみませんこと?」


「誰が行くか」


「もう、雅紀ったら照れ屋さんなんですから」


 そんなこんなであっという間に、学校前。


 そこには、ひとりの見知らぬ男が立っていた。


 あ、嫌な予感。


 男は俺の方に気がつくと、ずんずんと近寄ってきた。


 そして、俺の前までくると、びしっと俺を指差した。


 つか初対面の人間に向かって指差すなよおい。


 その男は俺を見据えてこう宣言した。


「おまえが辰巳雅紀だな。貴様なんぞに僕の可愛い妹は絶対にやらん!」






 ………………また変なのが増えた。

わかりきってるとは思いますが、誰のお兄様でしょう。

回答は……、次回にて。

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