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姉の帰宅

今回は短めです。

「ただいま戻りました」


 家にいるのが弟である俺と祐史だけだってわかっているだろうに、姉はそう言って帰省の挨拶をした。


 彼女の名は、美沙みさ。 


 大学2年になった俺の姉だ。


 性格は、どうやったらあの両親からこれが生まれたのかと思うほど堅苦しい。


 それを言えば俺や祐史も別の意味で同じことが言えるかもしれんが。


 容姿は兄弟の欲目を省いても美人だと思う。


 御加賀見や萌田のような、はっとするような華やかさはないが、いわゆるスラリとしたスレンダー美人。


 ただ惜しむべくはあまり表情筋がないらしく、あまり表情が変わらない。


 この辺はやはり俺の姉なのか、と類似点に思うところだ。


 そんな姉の将来の予定は教師になることらしい。


 夢や目標ではなく、予定とのこと。


 ちなみに高校教師。


 ……ハマリすぎててなにも言えん。


「おかえりなさい、姉さん」


 にっこりと祐史が出迎える。


「……おかえり」


 俺も一応そう返す。


 姉は厳格な性格で、小うるさいので無視は厳禁だ。すれば説教が待っている。


 ただ口のきき方には注意は入らないのでそこは幸いだった。


 俺には姉の基準がイマイチわからん。 


 両親がアレなので姉としては俺らの保護者でいる意識が強いらしい。


 しかし、姉は俺より4つ年上でしかないのだが。


「ふたりとも、息災で過ごしていましたか」


 言い回しからしてもう堅苦しい。


 どこの時代劇ですか。


 息災って日常会話で使う言葉ですか。


「ああ」


「はい、姉さん。僕が兄さんの健康管理に気を抜くことなんてないから心配しないで」


「……あいかわらずですね」


 祐史、姉は別の心配をしてる様子だ気がつけ。


 しかし、祐史はにこにこと姉に話かける。


 それはスルーなのか気がつかないのか。


 俺に対する読心術はどこいった。


「それより、せっかくだから今日の夕食は姉さんの好きなものをつくるね。なにがいい?」


「わたしに好き嫌いはありません」


 姉よ、そこはなんか言っとけ。でないと。


「そっか、さすが姉さん。じゃあ兄さんの好きなものにするね。なにがいい?」


 こうなるから。


「俺もなんでもいい」


「そっか。じゃあ今日はご飯と肉じゃがと卵焼き、味噌汁は豆腐となめこで食後のデザートには羊羹をだすね。兄さん、今日は和食の気分だもんね」


 たしかに和食の方が食いたい気分ではあるが、なぜわかる。


 そして姉、疲れたような溜め息つかない。


 溜め息つきたいのは俺だって一緒だ。




 結果、夕食は非常にうまかったです。




 そしてやってきた説教ターイム。



「雅紀、祐史。ちょっとそこにお座りなさい」


 姉はリビングのソファを指示すとそう言った。






 …………俺、部屋に戻りたいです。

次回は姉と弟の対決(バトルではありません)編です。

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