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ある小学校女性教師の昔話

これはフラグではありません。補足回です。

「あー、なんか急に昔のこと思い出しちゃった」


「えー、なによー。突然」


 とある小学校の職員室、ふたりは机も隣同士、年齢も近い若い女性教師とあってもともと仲が良い。


 それにくわえ、すでに夕方も過ぎ夜にさしかかった時間帯で帰宅した教師も多く人気ひとけは少ない。ということもあり、さきほどから気が置けない女子トークに花が咲いていた。


 それは校長が聞けば溜め息をつき、教頭が聞けば青筋をたて、生徒が聞けば大人って……、と思うことさもあらん、な内容である。


 が、本人達は誰も聞いていないのを幸いに、話題尽きることなく話し続ける。 


「あのさー、あたしが教育実習生だった時なんだけど」


「うんうん」


「すっごい悪ガキがいたのよー。授業はサボるわ人の給食は食っちゃうわ池の鯉はつり上げるわ掲示板のポスターに落書きするわ椅子投げてガラス割るわ水道だしっぱで廊下水浸しにするわ花壇の花根こそぎ引っこ抜くわ」


「えー、それガセでしょー? だって小学生でしょ? そこまでするー?」


「いやいや、してたって。あたし自分が先生になった時こんな生徒にゃ当たりたくないわってまじ思ったもん」


「そりゃわたしだってそう思うわ」


「だよねー」


「で、なにその子。新聞でも載ったの? 悪い方で」


「いやいや、その後は知らないけどね。でも意外と普通に育ってんじゃないのかなー。ある一件からずいぶん大人しくなったって当時仲良くなった先生から後で聞いたから」


「へー。でなに、そのある一件って」


「あー、うん。あたしが実習入ってた時の話に戻るけど、ある日、窓ガラスが割られたのよー。で、そこにその子もいてさー。まー、当然その子がやったんだろうって思われて当時のあたしの指導教員、ちょー怒ったわけ」


「あー、ねー」


「でも実は濡れぎぬ……ってか勘違いだったってわかったのよ。やったのは違う子で、その子たまたまそこにいただけだったってオチ。あ、違うか。ガラスの破片で怪我してたから、むしろ被害者ね。まあでも、それまでの言動が言動だから仕方なくね? とはその時も思ったんだけどー」


「ありがちー。でも本人にしちゃたまったもんじゃない話よね」


「そりゃねー。あのせんせー、頭に血が上り過ぎててその子怪我してんのも全然目に入ってなかったみたいだし」


「んでなに? あんたが間に入ってあげたってオチ? そんでその悪ガキに懐かれたとか」


「えー、違う違う。あたしじゃなくて、その場にいた別の男の子がその子じゃないって指摘したの。しかも、え? これ小学生? ってくらい冷静な態度で」


「へー。優等生タイプー? もしくは正義感の燃えてるよーな?」


「それが違うのよー。それだったら納得っていうか。その子、どっちかってーと目立たない感じの子でねー、先生とかに物言いするタイプではないわけよ」


「じゃあ友達かばってってやつ?」


「それも違くて。特に友達ってわけじゃなさそうだったのよねー」


「ふーん。でもそれって特段記憶に残るようなこと?」


「それって言うか、それきっかけでちょっとその男の子気になっちゃって、見るようになったわけ。で、よく見てたらその子、全然小学生らしくないのよ」


「どんな感じで?」


「なんかすっごい冷めてるってゆーかー、まわりと一線画してるってゆーか?」


「大人っぽいってゆこと?」


「それとはなんか違くてー。あー、なんか言葉にするの難しー。でもあれよー、こーゆータイプって成長するとイイ男になるかダメンズになるかの二極よねーって思ったのは覚えてるわー」


「へー、でその子、今……高校くらい? そろそろ片鱗見せるころよねー。あんたはどっちに成長してると思うわけ?」


「さあねー、どーかしら。でもイイ男の方かしらねー。だってあのころでさえ、超絶ハイスペックな彼女がいたんだもの」


「小学生? ませてるわー」


「あれー、彼女じゃなかったんだっけ? でも相手の子はべったりだったわー。超絶美少女。よくこんな子がいるもんだわーって感心したわ。その辺の子役やアイドルなんか目じゃないレベルよ、希少種よ。そんな子に嬉しそうにまとわりつかれてもへーぜんとしてたんだけどねー、あの子」


「そりゃまた、ぜひ一度は会ってみたい気がするわ」


「あたしもよ。えーと、あの子、名前なんてったっけ……?」






「…………あ、そうそう。確か辰巳君、だったわね」

この先生達はフィクションの登場人物であって、決して実在の人物をモデルにしているわけではありません……なんちて。

冗談はさておき、再登場予定はありませんのであしからず。

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